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料理に欠かせない料理酒ですが、うっかり切らしてしまったとき、ほかのもので代用できるのでしょうか?日本酒や焼酎など、ほかのお酒で代用した場合の味の違いも気になりますよね。この記事では、料理酒の代用品の紹介と、代用したときの味や仕上がりの違いについて検証してお伝えします。
そもそも料理酒を使うことで、どのような効果を得られるのでしょうか?まずは料理酒の主な役割についてお伝えします。
料理酒を食材にかけたり、浸けたりすることで魚や肉の臭みを取り除いてくれます。料理酒が臭みを消してくれる理由は、大きく2つあります。
まずは料理酒に含まれるアルコールは加熱することで揮発しますが、そのときに食材の臭みも一緒に飛ばしてくれます。さらに食材の臭みとなる成分を料理酒の成分が抑えてくれることもあり、臭みを消してくれるのです。
料理酒には食材をやわらかく仕上げる役割もあります。
アルコールは水に比べると肉や魚の水分量を保ってくれる働きがあります。たとえば料理酒を使って調理することで、肉の筋繊維から水分逃げにくくなり、加熱してもパサつきにくく、やわらかく仕上がります。
料理酒は料理にコクや旨みをつける働きもあります。
日本酒に含まれる糖分が料理に甘みを加え、アミノ酸などの成分が料理にうまみやコクを与えてくれます。
料理酒には「酒類」と「食品」の大きく2種類に分かれます。
料理をおいしく仕上がるなら「酒類」を選ぶのがおすすめ。
食品の料理酒は、食塩をたくさん入れ飲用できなくすることで酒税がかからないようになっているため、比較的安価です。ただし海水に近い濃度の食塩が入っているため、たくさん使うと料理が塩辛くなってしまいます。また風味も清酒に比べると劣ります。
一方、清酒の中でも料理用に加工された「料理用清酒」は、普通の清酒に比べるとうまみ成分を多く含むように加工されています。酒税がかかってしまうのがデメリットですが、料理用に常備しておくなら、この料理用清酒を選ぶのがおすすめです。
食品の料理酒は原材料名の欄に「食塩」が入っているため、確認して選ぶといいでしょう。
代用品を使うことで、料理酒の役割である「臭み消し」「やわらかく仕上げる」「コクやうまみを足す」のいずれかの効果が期待できます。代用品6つのそれぞれの特長と、向いている料理を詳しくお伝えします。
料理酒の代用品の中でも、一番適しているのが日本酒です。日本酒も料理酒も、同じ日本酒の一種である清酒のため、味わいが近くなります。
日本酒の中でも純米酒を選ぶと、コクやうまみがあるため代用として使いやすいでしょう。純米酒がない場合は、それ以外の醸造酒で代用していいでしょう。
焼酎を代用品として使いたい場合は、チューハイに使われるクセの少ない甲類焼酎が最適です。または、本格焼酎の中でも比較的クセの少ない米焼酎や麦焼酎を使うようにしましょう。芋焼酎はクセがあるため、料理の味に影響してしまうことが考えられます。
焼酎は日本酒と違い、蒸留しているため糖質を含まず、甘みやうまみといったものはあまりありません。ですが、アルコールによる臭みを消す効果や食材をやわらかくする働きは期待できます。
焼酎を代用品として使いたい場合は、肉や魚の下処理用、または濃い味付けで焼酎の風味が気になりにくい煮物などの料理に使うといいでしょう。
みりんを代用する場合、「みりん風調味料」でなく、「本みりん」であれば代用できます。みりん風調味料と違い、本みりんはアルコールを含むからです。
本みりんで代用することで、料理にコクやうまみを与え、食材の臭みを消してくれる働きがあります。
ただし、みりんは糖分を約40%も含み、入れすぎると料理の味を甘くしすぎてしまいます。また焦げの原因にもなります。
使う場合は砂糖の量を減らして調整し、火加減に注意して焦げないように気をつけましょう。
ワインは洋食において料理酒と同じように使われることが多いため、料理によっては代用ができます。
ワインは食材の臭みを消し、やわらかく仕上げ、料理にコクやうまみを与えるといった料理酒と同じような働きがあります。
ただし、料理にワインの風味が残りやすいため、とくに和食には合わない場合もあります。ワインの中でも、甘みやクセの少ない白ワインを使うと比較的影響が少ないでしょう。
ビールには、肉をやわらかくする働きや、料理にビールのコクを与えるといった働きが期待できます。
ただしビールの風味が残りやすいため、繊細な味つけの料理には向きません。洋風の料理や濃い味付けの料理などの場合に代用しましょう。
ウイスキーは特徴的な香りがあるため、使う料理を選べば代用として使えます。
臭み消しやコクを与えるというよりは、ウイスキーの香りをつけるといった使い方になるでしょう。ステーキを焼くときのフランベや、ビーフシチューや角煮などのこってりとした煮込み料理などに使えます。
紹介した代用品で実際に代用した場合、仕上がりにどのような差が出るのでしょうか?今回は、サラダや和え物などを作りときに便利な「鶏ささみの酒蒸し」を作ってみて、仕上がりを比較してみます。
鶏ささみ1/3本に対し、代用品をそれぞれ小さじ1ずつ振りかけ、ラップをして電子レンジ600Wで40~50秒ほど加熱。粗熱が取れるまでそのまま蒸らしたものを食べ比べてみます。
まずは代用品ではなく、料理酒を使って蒸したものです。
料理酒の風味は残らず、鶏の臭みは消え、しっとりやわらかくなりました。しっとり具合は代用品にかなうものはなく、一番やわらかい仕上がりでした。
日本酒で蒸したものは、しっとりさは料理酒に比べると減り、ややパサついた仕上がりになりました。
鶏の臭みは消え、日本酒の香りなどは残っていないので、臭み消しの代用品としては十分でしょう。
甲類焼酎を使ったものは、しっとりしているものの、やや水っぽく感じました。
気になる焼酎の香りなどは全く残らず、鶏ささみの臭みも消してくれました。甲類焼酎でも代用品として十分使えそうです。
米焼酎で代用したものは、意外にもしっとりとしています。
米焼酎そのものは甲類焼酎に比べるとクセのあるにおいですが、意外にも蒸したあとの香りはほとんど残っておらず、全く気になりません。しっかりアルコール分を飛ばせば香りも飛んでくれるので、代用品として使えるでしょう。
みりんを使って蒸したものは、一口食べた瞬間みりんの甘さが気になりました。鶏ささみを砂糖漬けにしたような甘さ……。
やわらかさはあるものの、甘みがかなり気になり、そのままではほかの料理に使えそうにありません。みりんを代用品として使うなら、みりんを使う料理のときに使うことを強くおすすめします。
白ワインを使ったものは、しっとりとやわらかく仕上がりました。
鶏の臭みは消えて、白ワインのよい香りが残ります。これはこれでおいしいのですが、ワインの風味が残っているため和食には合いそうにありません。洋風のサラダやマリネなどであれば使えそうです。白ワインで代用する場合は、洋食の場合にしておきましょう。
ビールで代用したものは、やわらかく仕上がると思いましたが、意外にもパサつきが気になりました。生肉の状態でビールに漬け込んでおくと、やわらかくなったのかもしれません。
味はビールの香りがかなり残っています。目隠しをしていても、ビールを使ったとわかるくらいの風味です。シンプルな酒蒸しや、鶏ささみのようなあっさりとした食材には合わないようです。味つけの濃いものや、脂の多い肉類なら合いそうです。
ウイスキーを使ったものは、しっとりさはあまりなく、ややパサつきが気になりました。
ウイスキーの香りがしっかりと残り、酒蒸しというよりは「ウイスキー蒸し」。鶏ささみには合うはずもなく、ちょっと残念な仕上がりに。ビールと同じように、濃い味付けのものや脂の多い肉類、またウイスキーの香りが残ってもおいしく食べられるメニューのときに使うといいでしょう。
料理酒の代用として何にでも使えそうなのは、日本酒と焼酎(甲類焼酎・米焼酎)という結果になりました。
みりん、白ワイン、ビール、ウイスキーで代用する場合、料理を選ぶでしょう。
検証して一番実感したのは、料理酒のすごさ。鶏ささみが断トツでしっとりと仕上がったのは感動ものでした。普段料理するときには気付かない、料理酒の効果を知ることができました。
料理酒の代用品もないときは、酒蒸しなど料理酒メインの料理でなければ省略してしまってもいいでしょう。
肉や魚の臭み消しには、酒だけではなく、しょうがやにんにくなどの香味野菜、こしょうやカレー粉などのスパイス、レモンやゆずなどの柑橘類などが役立ちます。料理に合わせてこのようなものをプラスしてみましょう。
料理酒を切らしても、ほかのお酒や臭み消し効果のあるものなどで手軽に代用できます。料理に合わせて代用品を選び、おいしい料理を作ってくださいね。