料理の下ごしらえの際に行う野菜のアク抜き。アク抜きが必要な野菜と、アク抜きなしでも使える野菜がありますが、なすはアク抜きが必要なのでしょうか?なす独特の色合いや風味を楽しみながら、おいしく料理するための知識を紹介します。


そもそもアクとは?

「アク」とは一般的に、食べ物の持つ苦みや渋み・えぐみなどのこと。この成分は食材の酸化・褐変(かっぺん)の原因ともなります。例えばわらびやゼンマイ・筍などはアクが強い野菜なので、おいしく食べるためにはアク抜きが必要な場合がほとんど。

また、アクの成分が空気に触れて酸化することが原因で、野菜の切り口が茶色く変色してしまうこともあり、見た目をきれいに仕上げるためにアク抜きを行う場合もあります。

アク抜きをしないとどうなる?

アク抜きは、「アク抜きなしでは、渋みや苦みで食べられない!」という食材以外は必ずしも必要という訳ではありません。

しかし食べられない程では無いものの、アクの強い野菜の場合は、切った後そのままにしておくと、どんどん色が黒ずんでいきます。変色しても気にならない、醤油などを使った料理の場合は良いですが、白く仕上げたい料理などの場合は、見た目が悪くなってしまうのです。

なすにアク抜きは必要?



「アク抜きが必要」といわれる野菜の一つである、なす。しかし、なすのアクの成分はポリフェノールの一種で、体に悪いものではありません。そのため必ずアク抜きが必要かというと、そんなことはありません。

なすをアク抜きする理由は、切り口の変色を防ぐためや、生で食べた時に感じる独特の渋みを取り除くため。作る料理によってアク抜きが必要か判断すると良いでしょう。

アク抜きが必要な料理、不要な料理



なすの変色はアクの成分が空気に触れて酸化することで起こるため、変色を防ぐという面から考えると、酸素に触れる時間を短くするということも効果的です。料理する直前に切って、そのまま煮たり炒めたりすことができる場合は、アク抜きは必要ありません。

また、独特の渋みも油と料理するとほとんど感じなくなります。炒め物や揚げ物も、アク抜きなしでもおいしく食べられます。

一方サラダや漬物にして食べたい場合には、アク抜きが効果的。たっぷりの出汁を含ませて作る炊き合わせなど、上品な味に仕上げたい料理の場合も、アク抜きをすることですっきりした味わいになります。

また水なすのように元々アクが少なく、アク抜きが必要ない品種もあります。最近では技術の向上からか、一般的な千両なす(いわゆる普通のなす)でもアクの少ないものが多く、そのままでもあまり変色しないものも多いようです。

なすのアク抜き方法

なすの一般的なアク抜き方法としては、「水にさらす」「塩水にさらす」「塩をふって出てきた水分を拭き取る」などが挙げられます。それぞれどの程度の効果があるのか比較してみました。

なおどの方法もアク抜き後は表面に水が付いているので、揚げ物などにする場合にはしっかりと水を拭き取ってから使いましょう。

アク抜き方法【1】水にさらす



もっとも手軽な方法です。ボウルに水をため、切ったなすを入れていきます。水に入れても浮かんでしまうので一度水に沈め、途中ザッと混ぜると良いでしょう。さらす時間は2〜3分程度です。

アク抜き方法【2】塩水にさらす



2カップの水に小さじ1/2程度の塩を溶かします。水と同様に切ったなすを入れて、一度水に沈め、途中ザッと混ぜます。さらす時間は2〜3分程度です。

塩水にさらすと、塩味がつくという程ではないですが、水にさらした場合に比べ、少し味がしまる様な印象になります。

ちなみに実験的に、塩の濃度がどう影響するのか倍量(小さじ1)の塩を入れた塩水でも試してみましたが、見た目・味わい共に大きな差はありませんでした。

アク抜き方法【3】塩をふる



切ったなすの表面に塩を少々ふります。2〜3分程度でうっすらとなすから水分が出てくるので、キッチンペーパーなどで拭き取ります。


キッチンペーパーにはうっすら茶色の水分が

この方法だと、塩水にさらした場合に比べてしっかりと塩味がつきます。適度に水分も抜け、炒め物や揚げ物などにする時に効果的な方法です。ただし塩をふりすぎたり、時間を長くおいたりすると、水分がどんどん出てきてなすがしぼんでしまいます。

それぞれのアク抜き方法、見た目と味を比較

アク抜きをしなかったなすと、それぞれのアク抜き方法でアク抜きしたものを比較しました。

見た目はほとんど変わらない

今回使用したなすは一般的な品種のものなのですが、何もしなかったものもうっすら茶色くなったかな?という程度であまり変色せず、見た目はほとんど変わりませんでした。



味はアク抜きした方が食べやすい

食べてみると、何もしなかったものは口の中がキシっとするような独特のえぐみが残りましたが、アク抜きをしたものはすっきりとした味わいに。見た目はさほど変わらずとも、サラダなど生で食べる場合には、アク抜きが効果的といえそうです。

「なすとキュウリの爽やかヨーグルトサラダ」のレシピ

最後になすをアク抜きして、生でおいしく味わうレシピを紹介します。今回はなすの翡翠色の美しさをいかすために皮を剥きましたが、皮を剥かないで作ってもOK。ただし生の皮は食感が少し硬いので、少々味わいも変わります。



材料(2人分)

なす 1本 / きゅうり 1/2本 / ヨーグルト 大さじ2 / 塩 ひとつまみ / おろしにんにく 少々

作り方

1. なすはピーラーなどで皮を向き、1cm程度の角切りにする。塩水に2〜3分さらしてアク抜きし、ザルにあげる。


今回は塩水に浸すアク抜き方法を採用

2. キュウリはなすより少し小さめの角切りにし、塩少々(分量外)を振って5分程度おく。ザルにあげて水気を切る。



3. ボウルにヨーグルト、塩、おろしにんにくを入れよく混ぜる。1と2を入れて和える。




ポイント

  • お好みでチリパウダーをふるとちょっとエスニックな味わいに!
  • 時間が経つと野菜から水分が出てくるので、食べる直前に和えましょう。

なすのアク抜きは必ずしも必要なものではなく、調理の直前に切るなどの工夫で、アク抜きをしなくてもおいしく味わえる場合が多いです。アク抜き自体はとても簡単にできるので、生で食べたい時、すっきりと上品な味わいに仕上げたい時、アクが強めのもの(例:露地栽培されているもの)を使う時にはアク抜きを行ってみてくださいね。


情報提供元: トクバイニュース
記事名:「 なすは料理によってアク抜きする、しないを判断!おすすめのアク抜き方法紹介