定期預金を利用していますか。低金利が続いて魅力が少なくなってきているとはいえ、定期預金は普通預金に比べると金利が良いのは確かです。他にも定期預金ならではのメリットも。FPウーマン所属のファイナンシャルプランナー・石倉博子さんが、定期預金の賢い使い方について解説してくれました。


定期預金についておさらいしよう

定期預金は、あらかじめ預け入れ期間が決められている預金のこと。その期間中は払い戻しができない代わりに、普通預金よりも金利が高く設定されています。現在の普通預金の金利が0.001%(三大メガバンク及びゆうちょ銀行)~0.02%(ネット銀行の中で金利が高いもの)で推移している中、定期預金(1年)の金利は0.010%(三大メガバンク及びゆうちょ銀行)~0.15%(ネット銀行の中で金利が高いもの)となっています。※2018年11月現在

預け入れ期間は1カ月、3カ月、6カ月、1年、2年……と続き、最長10年とするところが一般的で、中には1週間や2週間という超短期の定期預金もあります。当然ながら、預け入れ期間が長いほど金利が高くなり、また預け入れ金額によっても金利が変わってくる場合があります。ちなみに、名称が「定期預金」なのか「定期貯金」なのか迷うことがあると思いますが、これは預け先の呼称の違い。銀行や信用金庫であれば「預金」、ゆうちょ銀行やJAバンクでは「貯金」といいます。ここでは「預金」で統一したいと思います。

定期預金のメリットとデメリット



定期預金の金利は普通預金に比べると高いものの、他の金融商品と比べると低いといわざるを得ません。100万円を1年間、定期預金(金利0.010%)にして預けても、利息は100円しか付きません。その利息から税金を引かれたら増えるのはたったの80円です。預ける意味があるのかと考えてしまうほどです。この金利の低さがデメリットだとしたら、定期預金のメリットはどこにあるのでしょうか。

まず、金融商品をリスクが高い順に並べてみると以下になります。

株式>投資信託>国債>定期預金

リスクの高さは、そのままリターンの高さにもなります。増える可能性も高いけれど、減る可能性も高いというのがリスクがあるということ。つまり、定期預金はリターンが低い分、リスクも低いということです。さらに定期預金は「預金保険制度」の対象なので、万が一預けている金融機関が破綻した際に、1金融機関ごとに元本1,000万円までとその利息が保護されます。絶対減ることがない安全資産であるところが定期預金のメリットです。

もう1つの定期預金のメリットは、手軽さです。知識も経験も時間もいりません。「とりあえず定期預金」にしておけば、資産は守られます。また、自動積立定期預金であれば、毎月決まった金額を普通預金口座から自動で積み立ててくれます。ボーナス月には上積みの積立もできます。貯金が苦手な人にとって、この自動積立は先取り貯金として大変効果があります。

ネットバンクなら定期預金の金利は比較的高め



定期預金のデメリットとして金利の低さをあげましたが、ネットバンク(インターネット銀行)の中には高金利のものがあります。いくつかピックアップして紹介してみたいと思います。

「じぶん銀行」

じぶん銀行は、三菱UFJ銀行とKDDIを親会社に持つネット専業銀行です。KDDIが出資しているだけに、スマホやインターネットと相性がよく、スマホアプリを使ってATMから出金できる「スマホATM」などのサービスがあります。「ステップアップ定期預金10年」(金利: 1年~5年は0.15%、6年~10年は0.2%)などを展開中。

「オリックス銀行」

こちらもネット専業銀行で、インターネット取引専用の証書を発行しないシンプル運営により、高い金利が可能となっています。「スーパー定期」(金利: 3年、5年で0.15%)などを展開。2週間という短期間で満期がくるインターネット限定の定期預金「2週間定期預金」でも0.05%の金利です。

「あおぞら銀行インターネット支店」

あおぞら銀行のネット専用店舗です。「あおぞらネット定期」(金利: 1年で0.25%、3年・5年で0.15%)などを展開。現在キャンペーン中で、1年ものが0.25%という高金利となっています。あおぞら銀行、は今年「GMOあおぞらネット銀行」というインターネット専業の銀行も立ち上げています。こちらは証券口座とセットで金利アップキャンペーンなどを行っています(※2018年11月28日現在の情報)。

「SBJ銀行」

韓国のメガバンク「新韓銀行」の日本現地法人です。日本に本店のある日本の銀行という位置づけなので、「預金保険制度」の対象です。定期預金1年で0.15%、5年で0.25%などの金利が設定されており、新規客限定で金利上乗せキャンペーンを度々行っています(※2018年11月28日現在の情報)。

いろいろな定期預金

「外貨定期預金」



ここまでは、日本円を預金する「円定期預金」の話をしてきましたが、「外貨定期預金」というものもあります。外国の通貨を預金する「外貨預金」が定期になったものですが、日本よりも金利が高い外国の通貨で預金するため比較的リターンが高くなる可能性があることが魅力です。一方で、為替変動のリスクを負います。預け入れた時よりも円安になっていればよいですが、円高となった場合は元本割れとなってしまいます。

また、外貨預金は手数料もかかります。日本円から外貨へ、外貨から日本円へと交換する際にそれぞれ為替手数料が発生します。さらには、外貨預金は預金保険制度の対象外となっているためもしものときには注意が必要です。金利の高さに釣られがちですが、これらのリスクをしっかりと頭に入れておきましょう。

「iDeCo」で定期預金

iDeCoで定期預金を選ぶ方法もあります。現在、定期預金の利息には20.315%税金がかかりますが、iDeCoではこれが非課税となります。そう聞くと、一見良いように思えますが、iDeCoの運用期間中には手数料がかかり、この手数料が今の低金利下では一般の定期預金で支払う税金よりも高くなりがちです。また、定期預金の満期は長くても10年であるのに対し、iDeCoで定期預金をすると60歳まで引き出すことができません。

一方で、iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となるため、節税になるという大きなメリットがあります。そのため、所得税を多く払っている人は節税効果も大きいので、人によってはiDeCoで定期預金を選ぶ選択はありです。

「とりあえず定期預金」でも、金利が比較的高いネットバンクを選んだり、自動積立定期預金を利用したりすれば、こつこつと確実にお金を貯めることができます。そうしてある程度まとまった金額になったら、その一部をそこそこリターンの高い投資信託などの金融商品で運用してみてはいかがでしょうか。


情報提供元: トクバイニュース
記事名:「 FPおすすめ定期預金金利の高いネット銀行--定期預金も活用方法でメリットが