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猛暑だった今夏、エアコンの電気料金がどれほど上がったのかが気になっている人も多いことでしょう。しかし、家庭の電力消費量の2トップは冷蔵庫と照明機器だということをご存知でしょうか。この2つを節電できれば、電気料金のダウンに結びつきそう。そこで、家電スペシャリスト・本多宏行さんに節電テクニックを教えてもらいました。
「年間を通して考えると、夏や冬に話題になる冷暖房のための電気料金よりも、多くの電力を消費している電気機器があります。1位は冷蔵庫、そして2位は照明です」。そう話すのは、住宅設備機器や家電製品などの延長保証サービスを行う「テックマークジャパン」の本多宏行さん。「総合家電エンジニア」の資格を保持し、幅広い家電の知識を持っている家電スペシャリストです。冷蔵庫の節電ノウハウとは?
※照明の節約ノウハウは9月10日11:00公開予定!
経済産業省資源エネルギー庁のデータ(※)によると、確かに冷蔵庫が年間電力消費量の1位に。1年中休むことなく庫内を一定の温度に保っていることを考えると、納得できるかもしれませんね。今日から簡単にできる冷蔵庫の節電テクは以下になります。
食材を詰め込みすぎると冷風循環の妨げとなり、無駄な電力消費につながってしまうそう。冷蔵庫は冷風を循環させることによって温度を低く保っています。庫内がぎゅうぎゅうだとその循環が悪くなり、温度調節機能が稼働し続けて余計な電力を使ってしまうとか。
「家庭の冷蔵庫をチェックしていてよくありがちなのが、冷蔵庫に入れる必要のないものまで冷蔵保存しているケースです」と本多さん。未開封の瓶詰調味料や根菜類などは常温保存可能ですが、冷蔵庫に入れている家庭も多いようです。もし入っていたら冷蔵庫以外の場所で保存してみてはいかがでしょうか。
冷蔵庫と冷凍庫には温度設定をするツマミや電子スイッチがついています。暑い季節や食材を多く保存しているときなどは、なんとなく"強"にしているという家庭や、夏場は"強"に、冬場は"弱"にと考えている人も多いようです。しかし本多さんによると、「冷蔵庫を正しく使っていれば、"強"にする必要はありません。最近の住宅は機密性が高く効率的な冷暖房と計画的な換気機能が備わっているので、年間を通して"中"でOKです」とのこと。因みに、"中"と”強”の温度差は3度程度だそうです。この"中"とは、冷蔵庫や冷凍庫、野菜室の温度として最も適した温度に設定されています。"強"にし続けると冷蔵庫内は冷えすぎの状態が続いてしまうのです。
ちなみに"強"を使うべきシーンを伺うと、「新しい冷蔵庫を設置してすぐに庫内を冷やしたい場合や、冷蔵庫を開けっぱなしにしてしまい庫内の温度が上がってしまったときの対応として考えるべき」だそうです。いずれにせよ、その頻度はとても少なそうですね。
冷蔵庫の背面部には、暖かい空気を放出する大切な役割があります。ここは大量のホコリが付着してしまう場所でもあり、そのホコリにより放熱効果が低下して無駄な電力を必要としてしまうことにつながるそう。とはいえ、背面を掃除するのはとても大変なイメージですが……。
「半年~1年に1回のペースでOKです。年末の大掃除時でもいいですね。冷蔵庫の底の背面側には車輪がついているので、動かすのは想像するほど大変ではありません。後ろ側に傾けてから前にずらしましょう。あるいは調節脚を回転させると車輪が使えるようになるタイプなど、メーカーごとに仕様が異なりますので、取扱説明書で確認してみましょう。その後、背面のホコリを掃除機で吸えばOK。せっかくなので床や壁もきれいにすれば完璧です」。
たまったホコリの量にもよりますが、この掃除によって平均10%もの節電につながると言います。さらにもう1つの節電テクも教えてくれました。
「冷蔵庫をもとの場所に戻す際は、壁から3~5cmほど離しておきましょう。これも放熱しやすくするコツです。また、振動音や壁面の変色・汚れの対策にもなります」。
冷蔵庫の下にはプラスティック製のカバーがついている機種があり、簡単に取り外すことができるのをご存知でしょうか。これを取り外すと冷蔵庫を置いている床部分のすき間が露出し、簡単に掃除できます。冷蔵庫の底は、メーカーや機種によって異なりますが、前述した背面部と同じように、排出された熱気の通り道、あるいは機械室を冷却するための吸込口として設定されている場合があります。ホコリやゴミをなくすことは節電につながります。
「そもそもこのカバーが取り外しやすいのは、定期的に冷蔵庫の下を掃除しやすくするためでもあります。メーカーによってはカバー内に冷蔵庫を水平に調節するための専用工具が収納されていたりします。背面に比べると掃除もしやすいですし、ほんの数分で掃除できますよ。ぜひ月に1度はきれいにしてください。害虫の住処にもなりやすい場所ですから、きれいにしておくのは一石二鳥です」。
最後はすでに多くの人が実践しているかもしれませんが、冷蔵庫の開け閉め回数を減らすこと。冷蔵庫を開けると外気が庫内に入り、温度を上げてしまいます。「再び設定温度に下げるためには多くの電力を消費するので、開ける回数はなるべく少なく済ませたいところ。また、開いている時間が長ければ長いほど温度は上がってしまうため、中にあるものはサッと取り出し、すぐに締めることも節電につながります」。
食材が迷子にならないように冷蔵庫内の整理整頓を心がけたり、よく飲む麦茶などは保冷タンブラーに入れて冷蔵庫外に置いておくことなども、開け閉めの回数や開けている時間を減らす工夫のひとつだそうです。
さまざまな節電テクニックがありますが、冷蔵庫の電気代を最もダウンさせる最終手段は、実は買い替えです。最新式の冷蔵庫は節電機能にも優れ、もしかしたら数年で元が取れるほどになる可能性も。8年以上前の機種をお持ちの方は、そろそろ新しい冷蔵庫のリサーチを開始してもいいかもしれません。とはいえ、すぐに買い替えをするのは難しいですよね。今使っている冷蔵庫で、今日からできる節電をまずは心がけてみましょう。