- 週間ランキング
暗闇にゆらめくオレンジ、赤、緑、青の光。オーロラ? もしかしてCGで作った?
いいえ、これは燃料用アルコールを燃やした“炎”です。
その証拠に、サイエンスライター・くられ氏のYouTubeチャンネル「まっどさいえんすTV」の動画をご覧ください。
とても幻想的ですね! そして、確かに実写の炎だとご理解いただけたかと思います。でもこの炎の色、どうやって作ったのでしょうか?
そこで動画の作者であるくられ氏に、解説をしていただきました!
動画を見て、どうやったのか理解できた人もいるでしょう。これは学校の化学の授業でやった「炎色反応」の実験を派手にしたものです。
「炎色反応」は、物質を燃やしたときに出る特定の色の炎を観察することで、その中に含まれている元素が分かるというもの。
花火なんかはその応用で、色とりどりの美しい火花が私達の目を楽しませてくれます。また、最近のライターの中には、視認性を高くするために炎に多少色をつけるように細工したものもあります。
人間の目で認識できるものが特に炎色反応として知られていますが、実際にはあらゆる元素が固有の光を持っています。まあ、難しい話はさておき、これを利用すると、ゲームの演出に出てきそうなカラフルな炎を簡単に作れるのです。
身の回りにも炎色反応を示すものは結構あって、押し入れの乾燥剤はオレンジ色の炎色(塩化カルシウム)、薬局に売っている消毒などに使えるホウ酸は美しい黄緑色の炎色(ホウ素)が確認できます。これらの物質を燃料用アルコールに溶かして、実験を行ったのです。
燃料用アルコールは、メタノールが主成分のものを選びました。エタノールやイソプロピルアルコールが多いと、炭素のオレンジ色が強く出てしまい、せっかく炎にほかの色を付けても見えにくくなってしまうからです。
今回の炎は、オレンジ、赤、緑、青の4色で構成されています。それぞれの色を出すために使用したものについて説明していきましょう。
このようにして色別に作ったアルコールを、サイズの違うバットにそれぞれ入れていき、着火すると動画のような美しい炎を観察できるというわけです。
ちなみに、消火は、全体を覆えるような蓋をかぶせて行います。水をかけると、かえって炎が広がってしまう危険があります。また、使用したバットは炎と金属塩で腐食しやすいため、実験後は早々にきれいに洗浄しました。
この実験に限らず、火の扱いは事故が多いものです。みなさまくれぐれもご安全に!
※本実験は、専門知識を持つ者が安全確保に注意を払いながら行なっております。事故の危険がありますので、決して真似をしないようご注意ください。