これまで10,000mAh級モバイルバッテリーの検証で基準としてきた『cheero Power Plus 3 13400mAh』に変更が加えられているようです。


昨年9月、販売元のティ・アール・エイは、本商品の特徴であったパナソニック製リチウムイオンセルに加え、LG化学製セルも併用することを発表しました。リチウムイオンセルの世界的な需要の高まりによって、パナ製セルの調達が難しくなったことが理由です。


現在アマゾンで注文するとLG化学製モデルが届くようですが、旧モデル(パナ製セル搭載・Auto-IC非対応版)と同じだけの能力はあるのでしょうか。気になったのでチェックしてみましたよ!(mitok編集部)



cheero『Power Plus 3 13400mAh』134,00mAh / 2,580円




バッテリー(円筒型セル)



基板





放電グラフ



バッテリーに5.0V/2.0Aの負荷をかけ続け、終止電圧(バッテリー充電1回分の寿命となる目安の電圧、モバイルバッテリーの場合は4.5V)に下がるまでの時間。1回の充電でもっとも長く使えるモバイルバッテリーの指標となる。


負荷テスト



1Ahあたりの容量コスパ(10,000mAh級製品との比較)



Power Plus 3(旧)はパナソニック製セル搭載モデル。


検証結果まとめ



  • 充電池 円筒型セル x4 LG化学製LGGBF1L1865 3.7V 3,350mAh 2並列+2直列(7.4V0

  • 公称容量 / 実測容量 13,400mAh / 11,236Ah(3.7V換算・誤差-16.1%) / 8,315mAh(5V換算)

  • サイズ / 重量 80×92×23mm / 249.5g

  • コントローラー 不明

  • microUSB固定 ハンダ4カ所 強度◯

  • USB固定 ハンダ穴4カ所 強度◎

  • 60分後電圧 5.00V

  • 識別電圧 Apple 2.4A自動(CW3002F)

  • 2.0A負荷放電時間 251分44秒

  • 最大供給電流(公称値) 2.36A(2.0A)

  • 1Ah単価 229.6円(本体2,580円)


総合評価 ★★★★☆


結論からいえば、リニューアル(マイナーチェンジ?)された『cheero Power Plus 3 13400mAh』は“買ってもOK”だろう。公称スペックはクリアしているし、容量コスパも10,000mAh級ではトップだ。


しかし、新モデル(LG製セル・Auto-IC対応)は旧モデル(パナ製セル・Auto-IC非対応)ほどの好結果は得られなかった。負荷テストでは旧モデル(5.59A)の半分以下となる 2.36A で 4.5V を下回る結果に。回路の保護切断ポイントは 5.2A で旧モデルに及ばなかった。


もう片方のUSBポートの負荷試験では最大1.48A。ノイズの激しい異なる結果となった。2つのUSBポートは基板上で並列接続されているだけなのだが、結果が異なる原因としては、DC-DC変換回路のコイルの先とコネクタまでの距離、平滑コンデンサ(Power Plus 3では積層セラミックを使用)の容量、取付位置、固体性能の違いがこのあたりの電流特性にあらわれるのだと考えられる。


なお、旧モデルと測定値の差が大きいため、念のためもう1台を取り寄せて検証してみたが、結果はほぼ同じだった。


なぜ旧モデルほどの性能ではないのか

パナソニック製セルを搭載していた旧モデルと比べると負荷テストで大きく見劣りする結果となった。


今回検証した新モデルは、ティ・アール・エイが昨年9月に発表したとおり、LG化学製の円筒型バッテリーセルに変更されていた。しかし、モバイルバッテリーの性能は基板回路に大きく依存するため、LG化学製リチウムイオンセルへの置き換えが著しく影響しているとは考えにくい。


となると、基板回路の変更(部品変更等)が原因と考えられる。新モデルの基板回路に見られる変更点は、Auto-IC機能の追加以外だと、DC-DC変換ICチップが MPS NB671 から MP8758 に変更された点が挙げられる。


データーシートによると耐圧は旧型の NB671 チップが 6A 、新型の MP8758 は 10A になっており、本来なら性能は向上するはずなのだが、不思議なことに実際には旧型に劣っていた。このあたりはコイルやコンデンサなど補機類の品質や容量、基板レイアウトの善し悪しが影響しているのかもしれない。こうした違いについては改めて検証した結果をお届けしたいと思う(そんなニーズがあるのだろうか)。


以上、ネガティブな流れになってしまったものの、『cheero Power Plus 3 13400mAh』がしっかり水準を保っている点に変わりはない。容量面での差も見られない。旧モデルのような「圧倒的に良い」と評価するレベルではなくなったのは極めて残念だが、買って損しないモデルではある。


なお、ティ・アール・エイの発表によれば、本商品はパナソニック製セルモデルとLG製セルモデルが併売されているようだが(1台に2社混在は無いとのこと)、アマゾンで購入した2製品はいずれもLG製セルモデルだった。価格競争の激しいモバイルバッテリーでは、パナソニック製セルを採用するのは難しくなってくるのかもしれない。


※本企画の検証結果はすべての商品で同様の結果を保証するものではありません。個体差等により結果が異なる可能性を踏まえたうえで、購入する際の一材料として参考にしていただければと思います。また分解等の検証は専門知識を持つ者が行なっております。真似しないようご注意ください。


情報提供元: ミトク
記事名:「 LG製電池に変わった優良モバイルバッテリー『cheero Power Plus 3』は買ってもOK? ガチ検証の結果…