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クルマ移動時に欠かせないアイテム「車載用シガーソケットチャージャー(USB充電器)」。スマホを充電するために使いますよね。これから買おうと思っている方、アマゾンで買える商品の中から、mitokのガチ検証でおすすめモデルを選んでみました。ご参考にどうぞ!(編集部)
※本企画の検証結果はすべての商品で同様の結果を保証するものではありません。個体差等により結果が異なる可能性を踏まえたうえで、購入する際の一材料として参考にしていただければと思います。また分解等の検証は専門知識を持つ者が行なっております。真似しないようご注意ください。
今回チェックした「車載用シガーソケットUSB充電器」は Amazon.co.jp の売れ筋品から8製品。価格は購入時のもの。
メーカー公称の充電性能があるかどうかをチェックするため、電子負荷回路を自作し、負荷容量と充電電圧をデータロガーで記録。ヒューズ付きのチャージャーは負荷をかけすぎると切れてしまうので、ヒューズ部分を短絡し、電源供給を直結して検証を行なっている。
DC-DCコンバーター電源制御チップの名称。型番が削られていたり、記載されていなかったりして不明であるものもあるが、一応身元をチェック。
USBポートの数
スマホが認識する充電器属性の種類。 属性がスマホに正しく認識されないと急速充電が開始されない。昨今の充電回路では識別用の専用ICが使われている。型番がわかる場合は明記した。
0.5A負荷時の電圧。
電流負荷をかけ、出力が4.5V以下(充電できない)に降下した時の負荷値。 高負荷時、電流値が乱高下状態となり一瞬でも4.5Vを下回った次点で検出値となる。
ガラス管、自動復帰(PTC)タイプ、中には基板パターン自体がわざと切れるものもある。昨今のほとんどのモデルが自動復帰するPTCヒューズを使用している。 PTCヒューズには寿命がある。
過電流保護回路の動きの種類。保護回路が無いモデル、ポートが複数あっても一括オフになってしまうモデル、ポートごとに過電流保護が作動するモデルがある。保護からの復帰方法は、電流が下がった時点で復帰するモデル、プラグを取り外さないと復帰しないモデルがある。
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QC(Quick Charge)ポートを2口備えたAnker最新鋭モデル。過電流保護はポートごとの個別検出で、最大電流値は3.3Aだった。電源回路の安定度は3.0A底上げ計測でも負荷グラフにほとんど変化がなく、ポテンシャルとしては3.3A×2=6.6A以上はあるものと思われる。
電源はひとつの回路から分配するのではなく、上下の基板に1回路ずつスイッチング回路を持つ完全なデュアル構成となっている。QCはポートごとに出力電圧の切り替えが要求されるので、必然的にポートの数だけ電源チャンネルが必要となる。
QC制御チップはそのマーキングからEOSMEM社製 NT6008 と推測される。12VまでのQC供給に対応しており、Apple系デバイスでも属性は2.4A、Android系short属性へも自動切り替えとなっている。QCポートはApple系スマホ(iPhone)でも使用可能だ。
PowerIQ自動認識ポートを3口搭載したAnker製品の上級モデル。PowerIQならではといえるポート個別2.97Aの過電流保護、負荷試験では底上げの有無に関わらずグラフの変化は小さく、供給が安定している。基板の工作精度は決して良いとは言えないが、半導体数の多い凝った回路設計となっている。
アルミ製のガワは高級感があって好印象。電源チップは、今回検証したAnkerの2製品と同くaxelite製を採用している。
過電流保護は一括OFF式。片側3.0A弱で保護断すると、もう片側も同時に切れる。保護断ぎりぎりの3.0Aでの底上げ計測時では、もう片側の保護断ポイントは少し低い2.43Aとなった。とはいえ、どちらも充電属性の2.4Aを上回っているので、必要十分な供給容量はあるので問題はないだろう。
RAVPower USBカーチャージャー 2ポート (24W 4.8A 、12V・24V車対応) iPhone Android スマホ タブレット 急速充電 iSmart機能搭載
電源回路はデュアル構成で、片側が完全にぶっ壊れても、もう一方は生きている安全(?)設計となっている。ただ、負荷 2.1Aを超えたあたりから急に電圧ノイズが大きくなっているのが気になる点だ(もちろん充電2A超えの状態がずっと続くわけではないが)。充電時の音楽再生には注意が必要かも知れない。同じく、入力ヒューズが付いていない点も気になる。きっと設計者は相当な強者だろう。QCポートは Apple系スマホ対応で、属性は2.4Aとなっている。
小型タイプのわりに保護断6.95Aと電流供給能力が高い。片側3.0A底上げの計測で3.95Aの電源断となるので、2ポートトータルで6.95Aだ。価格が898円と安く、QC不要、小型パッケージング重視ならもうコレで決まりだ。
MPS製(CPU用のVCORE制御チップを作る会社)の電源コントローラーは制御周波数が高く、小型でも性能が良好。 ただ、高周波数のスイッチングは熱が発生しやすく放熱を必要とされるのが難点だ。
過電流保護のリセットが、自動復帰ではなく一旦プラグを抜かないと復帰しないようになっている。今回検証した他のモデルは電流値が設定値を下回ると供給が再開される自動復帰タイプが多いが、過電流状態というのは被充電側の機器に何か問題が発生している状態(という想定)であるから、一旦プラグを抜くというリセット方法のほうが理に叶っていると言える。過電流で燃えそうになって切れても、そのまま電源供給が復帰してしまっては今度こそ燃えてしまうだろう。基板の工作精度は悪くない。
……と安全性に優れた製品なのだが、残念ながら容量が属性2.4A×ポート数を満たしていないので(2.4Aが2ポートに対し最大負荷3.0A)、評価としては星1つとした。一応、1ポートしか使わないなら問題は……。
7.8Aという供給容量は十分以上であり、電圧ノイズも悪くない。といって特筆すべき点が無いのでウンチクを垂れるのに困るが、900円を切るお手頃価格は見逃せない。QCも特に不必要というなら選択しても悪くない製品である。
SmarTop ZNTカーチャージャー 2ポート 24W/4.8A 2.4A急速充電 iPhone7 Andriod対応 オートパワーセレクト搭載 全米No.1 USB充電器同型 ZNT-B101
電源回路は1口のQCポート側と、3口のAi(自動)ポートというデュアル構成となっており、過電流保護は回路単位で動作する。Aiポート側は3ポートが一括で保護断。つまりAiポートのひとつで保護が発生すると、他の2ポートもOFFになり、QCポート側だけが通電ONになる、といった具合だ。
電源容量に気になる点がある。カタログ値では54Wという触れ込みにもかかわらず、実測42W弱(5V Ai 5.84A、QC 2.47A)で保護断してしまった。Aiポートの保護断電流は3ポート合計で5.84Aなので、2.4A充電を3ポート使う(7.2A)には容量が足りないようだ。54Wとは、Ai 12W×3+QC 18W=54Wという計算なのだろうか、実測が到底及ばない。電源製品は「54W」と謳ったら、“少なくとも”54W供給できないとダメだ。
また、QCポートのApple用の充電属性電圧が確認できなかった。よって、Apple系スマホをQCポート側に挿しても0.5A標準充電しかできない。ちなみに、このQCポートに使用されている属性制御チップは Power Integrations 社の CHY100 というチップだ。データーシートには、属性切り替えは DCP short(Android対応)モードまでとされており、本当にApple系に対応していない模様だ。 Apple系スマホを充電する場合は、Aiポート側に接続しないと急速充電が開始されないということになる。 QCポートでもiPhoneを充電できます、とは明記されていないので問題はないのだろうが、容量的に必要スペックを満たしていないので星1つとする。
今回検証したシガソケ用USB充電器でベストに推すのは『Anker PowerDrive Speed 2 39W』。他製品と比べて値段は高いが(2,000円弱)、性能面では申し分ない。2口のQC(Quick Charge)ポートをデュアル電源回路で実装した豪華なモデルだ。電源容量のポテンシャルは推定6.6A以上、高負荷時もノイズの発生は見られない。予算的に問題なければコレを買って損はないだろう。⇒レビューの詳細はこちら
安くていいもの、なら『Archeer USBカーチャージャー 24W』を推す。QC非対応だが、価格は1,000円を切る(Amazonプライム会員じゃないと送料はかかるが……)。小型タイプのわりに最大6.95Aと電流供給能力が高い。MPS社のDC-DCコンバーターチップを使っているためか、電圧変動も少なく小型な回路の割には良好。車種によっては大きなチャージャーが使えないことがあるが、本製品なら問題ないだろう。小型サイズを重視するなら、迷わずコレ。
今回検証した車載用シガソケUSB充電器はほとんどのモデルが必要充分なスペックを満たし、良好な結果が出ているように見える。
規格スペック未満で星1つ評価としたAukeyとBufferloの製品については、技術が成熟してスペックを満たすモデルが多くなる中で目立ってしまった格好だ。それでも、2年前の検証のように、全ポートどころか1ポート分すら必要供給電流を満たしていないモデルと比べたらずっと良心的ではある。
検証したモデルはぞれぞれQC有無、ノイズ性能の違いなど多少あるが、もう予算かデザインの好みで選択しても良いレベルだ。たとえば、iPhone用に1ポートだけ使う程度なら、どのモデルもスペックは必要十分。選ぶ際は、搭載車種のシガーソケットとサイズが合うかは確認が必要だが。
ガチ検証では初めてチェックしたArcheerのモデルが、スイッチング周波数の高いMPS社製電源チップを採用していた。周波数の高いコンバーターは制御が細かく高効率である半面、カーラジオの電波にノイズが入りやすくなるというデメリットもある。
QC対応という表示=どのスマホでも性能発揮、ではない点に注意。検証では、iPhoneなどApple系デバイスを接続した場合、急速充電ができないモデル(Aukey)があることがわかった。QC対応モデルはまだ割高なので、自分のスマホに関係ない場合は、一般的な自動ポート搭載モデルを選んでおくのも吉だ。とくにiPhoneユーザーは購入予定モデルのQCポートがiPhoneなどApple系デバイスに対応しているかは調べておくとよいだろう(面倒ではあるが)。