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電気屋さんの電源タップコーナーには「ON・OFFスイッチ付き」製品がたくさんありますね。電源タップは作りがシンプルであるほど良しとはいえ、スイッチがあると何かと便利だし、節電にもなる。たくさん製品が売っているのは需要があるから。ならば、スイッチ付き電源タップはどれを買うのが安心? ハンダマスターかしま氏にガチ検証してもらいましたよ!(編集部)
今回検証した「スイッチ付き電源タップ」は以下の7製品。アマゾンほか家電量販店などでも比較的購入しやすいモデルをピックアップしている。価格はアマゾン販売価格(2016年9月24日時点)。
ガワ(ケース)の装甲が厚く、絶縁性に優れ、頑丈かをチェック。電源タップは足もとに置くものなので、うっかり踏んでも簡単には壊れないくらいの強度がほしい。
スマホの充電程度なら多少いい加減な構造でも大丈夫かも知れないが、大電力機器を使用した時には発熱や電圧低下の原因になる。
ハンダは銅よりも電気抵抗が高く、240℃以上で溶け始めるため、電力配線にはなるべく使わないほうがよい。
壁コンセントとタップの口までの間のスナップ式コンセント、ON/OFFスイッチ、サーキットブレーカーなどはなるべく無いほうがよい。 接触部は導電部の何百倍もの電気抵抗があり、発熱や電圧低下の原因となる。電気抵抗は、ショート状態にしたプラグを一箇所挿し込み、タップのプラグ両端を4線式抵抗計で計測。
※本企画の検証結果はすべての商品で同様の結果を保証するものではありません。個体差等により結果が異なる可能性を踏まえたうえで、購入する際の一材料として参考にしていただければと思います。また分解等の検証は専門知識を持つ者が行なっております。真似しないようご注意ください。
それではさっそく検証していこう。
2008年発売の古くからあるモデルだ。 老舗家電メーカーだけのことはあり、全体のデキは良く、文句の付けどころが無い。分解検証では毎回感心させられる。
スイッチ部にはゴムブーツが被せてあるほか、コンセントのシャッター内部にもゴムパッキンが付いており、他のシャッター付きタップとはもはやレベルが違う。まぁ、洗い場でバシャバシャやっても大丈夫というわけにはいかないだろうが、工場の作業場など油ベトベトの手でスイッチの操作程度ならOKの範囲内だろう。間違いなくオススメできる一品。
ちなみに検証品はコード長が3mあるため、今回検証した製品の中では抵抗値は高めとなっている(1mのほうが安かったので購入)。
Panasonic ザ・タップX(安全設計扉・パッキン付コンセント)(4コ口)(個別防水スイッチ付)(スナップキャップ・3mコード付)(ホワイト)
<参考リンク>
・パナソニック|ザ・タップX
パナソニック的には比較的新しい商品だが、2011年発売であり、もう5年も経過している。しかし、中を開けてびっくり。スイッチ部のON/OFF表示が機械式になっており、その構成部品の細かさたるや、もはやテーブルタップの域を超えている。
表示に電気を使わないエコ設計だが、自光しないので夜間はON/OFFの判別ができないのが難点。大きなスイッチは押しやすい半面、物が落ちたり、足で踏んだりしてスイッチを誤操作してしまうことがあるかも知れない。
Panasonic ザ・タップZ(ACアダプター対応)(4コ口)(スナップキャップ・2mコード付)(ホワイト)
<参考リンク>
・パナソニック|ザ・タップZ
内部導体のコード接続はハンダの無い圧着なのに、元栓スイッチのためにハンダ付け有りとなっているのは残念なところだ。ガワの装甲が薄く、手でねじるとギシギシッと歪んでしまう。ただ、非常に買いやすい価格、コンセント下の底板部品や壁掛け穴が臓物のある腹腔内(?)に通じていない点は評価できる。
ELECOM 電源タップ 一括&個別スイッチ 省エネ スイングプラグ 4個口 1m ホワイト T-E7A-2410WH
<参考リンク>
・エレコム
エレコムもサンワサプライも似たような作りかと思ったが、サンワ製の元栓スイッチはちゃんとハンダレスの圧着接続になっている。 個別スイッチのON/OFFランプが無い点は好みの分かれるところだが、安価のわりには全体的に良い作りとなっている。
サンワサプライ 節電エコタップ 2P 4個口 1m TAP-S16-1
<参考リンク>
・サンワサプライ|節電エコタップ
具を詰め込むために内部導体を曲げて無理矢理収めている感じで工作がかなりよくない。内部の接続はブレーカーがハンダ、スイッチがハンダ、ハンダハンダハンダ……。 8個口タップでスイッチ4つという仕様で、口数を求める人向けなのだろうが、さっぱり魅力を感じない。
BUFFALO 電源タップ 8個口 個別スイッチ4個付 1.5m ホワイト BSTAPSD2815WH
<参考リンク>
・バッファロー|BSTAPSD28
ガワはそこそこ強く丈夫、内部導体はエントリー中もっとも。 やや残念な点は、抵抗値が高めなところと、コンセント口には防塵シャッターが付いているのに底面の壁掛け穴は内部スルーなところだろうか。
YAZAWA(ヤザワコーポレーション) 個別スイッチ付 節電タップ 4個口 1m ホワイト Y02BKS441WH
<参考リンク>
・ヤザワコーポレーション|個別スイッチ付き節電タップ
フチの変な場所にスイッチが付いているわりには、ガワのねじれ強度がそこそこある。スイッチがプッシュ式で、誤操作が心配されるが、押下げ力は固めの設定になっていて悪くない感じだ。 ON/OFFインジケーターはLED式で、50Hzのちらつきが顕著で少し目障り。スイッチ内部のコンタクトの板金が0.4mmと薄く多少気になるところ。壁掛け穴の皿状の保護部品は芸が細かい。
<参考リンク>
・オーム電機|節電タップ
Panasonic ザ・タップZ(ACアダプター対応)(4コ口)(スナップキャップ・2mコード付)(ホワイト)
今回検証したスイッチ付き電源タップのうち、パナソニック製は『ザ・タップX』と『ザ・タップZ』の2製品。いずれもさすがは老舗のパナソニック製という作り。ハンダは使わず、工作精度は高い。ガワの強度も問題なし。ではどちらがベストバイか? となると、価格のお手頃感で『ザ・タップZ』をチョイスすることにした。コンセント口の間隔に余裕があるので、幅広のACアダプタに対応できる点も使い勝手の点で評価できる。
なお表示に電気を使わないエコ設計の機械式スイッチは、発光しないため、スイッチ式を選ぶときの目的によっては不便かもしれない。その際は次点の『ザ・タップX』(波形スイッチ)を選びたい。
Panasonic ザ・タップX(安全設計扉・パッキン付コンセント)(4コ口)(個別防水スイッチ付)(スナップキャップ・3mコード付)(ホワイト)
スイッチ部にはゴムブーツが被せてあるほか、コンセントのシャッター内部にもゴムパッキンが付いており、他のシャッター付きタップとはもはやレベルが違う。
サンワサプライ 節電エコタップ 2P 4個口 1m TAP-S16-1
パナソニック以外で唯一ハンダ加工無しの製品。 一括元栓スイッチ、壁掛け穴も装備し、何と言っても安価。
今回検証した電源タップの中には、黒い押しボタンのブレーカーが付いたモデルがある。
ブレーカーが付いていることによるメリットは、過電流を検出して自動的に電源を切断する、という点。ブレーカーの仕組みは、電流が流れると熱でわん曲する金属(写真中央)の働きでスイッチが切れるようになっている。電流によって生じる熱を使用するので、ここには電力損失が生じてしまう。15Aの一般的なブレーカーの内部抵抗値は10mΩ程で、これは1,000Wの電力使用時、1Wがブレーカーのために損失となって熱になる計算となる。これを損とするか安全のための得とするかはユーザーの考え方次第だ。