先日、編集スタッフにハンドドリップコーヒー用のお湯を沸かしてもらったときのこと。85~90℃くらいに調整をお願いしたところ、80℃以上にならない! この温度計、狂ってる! と絶望していました。どうしたことやらと思ったら、ああ、温度計の使い方が間違っておるじゃないですか~。クッキング用温度計、正しく使っていますか?



クッキング用温度計は先端だけでは測れない


クッキング用温度計って金属棒をお湯だったり油だったり肉だったりに突っ込んで温度を測定できるベンリなアイテムですよね。表示がデジタル方式のもの、アナログ方式のものがありますけど、どれもお手頃なプライス。好みで選んでいる人が多いかと思います。でも、それぞれ温度検知方式が異なる場合があることはご存知でしょうか。


サーミスタ方式



たとえばこちらのタニタ製『スティック温度計 TT-533』。温度検知にはサーミスタを使っています。温度変化に応じて抵抗値が変わるサーミスタの特徴をいかして、精度の高い検温を実現しているんですね。使用上の注意点は、金属棒の先端から20mmほどを没入させないと正しく測定できないところでしょうか。




タニタ(TANITA)スティック温度計 グリーン TT-533-GR


バイメタル方式



こちらもタニタ製『料理用温度計 5496B』。アナログ表示に味がありますね。温度検知方式はバイメタル式。金属の熱膨張を利用した測定方式ですね。検温部分に熱膨張率の異なる2枚の金属を使い、わずかな金属の曲がり変化をとらえて、温度を測定します。使用上の注意点は、金属棒の先端から没入線まで(約50mm)を入れないと正しく温度を測定できないところ。




タニタ(TANITA)料理用温度計 5496B



おまけ。こちらはアマゾンでわりと人気の『Haborクッキング温度計』なるもの。表示はデジタル。温度検知にはおそらくサーミスタを使用しているのだと思われます(ヘッド部分の角度を変えられるし)。没入ラインは想像で20mmというところでしょうか。




Haborクッキング温度計 料理用 デジテル ℃/°F 防滴 180°回転 油/ミルク/揚げ物/お茶/お肉/ハンバーグなどの温度管理用


 


というわけで、湯量の異なる熱湯で温度を測ってみましょう。


約90℃の熱湯 / 没入ライン20mm で温度を測ると……



90℃ほどの熱湯を計量カップに入れてみました。水深は20mmほど。この状態で温度を測定してみますと……、



バイメタル式温度計は「80℃」でストップ、サーミスタ式温度計は「86.4℃」「86.3℃」という測定値になりました。今回使用したバイメタル式温度計は50mm以上の没入が必要なので、20mm程度の水深では正しく温度を測定できません。スタッフ女子はこれにハマったわけですね。コーヒー一杯分だけの湯量だったら、まぁ、そうなりますよね。ひとこと言っておかなくてスイマセン!


約90℃の熱湯 / 没入ライン55mm で温度を測ると……



続いて同じく90℃程度の熱湯を計量カップに入れ、水深55mmほどにした状態で温度を測定してみました。



結果はバイメタル式温度計(約88℃)もサーミスタ式温度計(87.9℃ / 89.0℃)とだいたい同じような測定値を示しました。各温度計の正しい測定結果を得るために必要な没入ラインを満たしていたからですね。


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クッキング用温度計は、金属棒の先端しか入らないような対象物の温度は正確に測れないケースが多いので覚えておきましょう。ちなみにバイメタル式温度計の場合、棒自体を曲げてしまうと熱膨張率を正確に検知できなくなるため、当然ながら温度も正しく測れなくなります。取り扱いにはご注意ください!


情報提供元: ミトク
記事名:「 壊れてると思いがち? 「クッキング用温度計」で正しく測れないときのチェックポイント!