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毎年9月は「防災月間」です。特に9月1日は防災の日だったので、非常用持ち出し袋の中身を確認したという人も多いでしょう。
でも、緊急用のクスリ箱として、最初からパッケージされているセットを購入し、それで揃えた気になっているとしたら大変危険です。ムダな商品が多く、本当に役立つものが揃っていることはまずありません。また、ミリタリーグッズコーナーにあるような大層な救急セットも、1~2万円とむやみに高いので避けるが吉。数千円あれば、もっと上等なクスリ類を自分で揃えられます。
いざというときに使うモノだからこそ、きちんと把握しておくべき。自分で買い揃えればそれができますし、ムダなモノを減らせていいことづくめなわけです。というわけで、今回は非常用のクスリ箱に入れておきたいモノについて、「アリエナイ理科」シリーズでおなじみのくられ氏に紹介していただきました!
まず、慢性疾患や喘息などに処方されている処方薬は、必ず予備として1セット入れておきましょう。病院で救急箱に入れておきたいとちゃんと説明すれば、大抵の場合、少し多めに処方してもらえます。そして、家族用の救急箱に入れる際は、「誰が何のために使うクスリなのか」をマジックで分かりやすく書いておくこと。非常時にはそうした記述が重要になります。
続いて、薬局で買えるクスリを揃えていきます。実は、それほど多くの種類は必要ありません。クスリの成分に絞っていけば、かなり省略できます。
市販薬では最強のNSAIDs(非ステロイド性解熱鎮痛薬)。炎症と痛み(体部痛)を抑える効果は一番高いため、とりあえずコレを入れておけば安心感が違う。頭痛から風邪まで、幅広く症状を抑えるのに役立つ。
市販薬で唯一に近い鎮痙剤。鎮痙剤とは、内臓の異常位置や収縮などで起きる痛み(内臓痛)を和らげるクスリのこと。生理痛から肩こり、腰痛などの痛みにまで幅広く効き、ロキソニンなどNSAIDsでは届かない痛みに効果を発揮する。
ロキソニンは胃を荒らすことがあるので、一緒に飲んでおくことで副作用を抑えられる。また、胃腸障害から粘膜の再生を促すことも可能。薬局薬の中では応用範囲が広いため、入れておいて損はない。
ステロイドと抗ヒスタミン剤が合わさったもので、さまざまな炎症に効果がある。古いクスリだが、安くて使い勝手がよいので用意しておきたい。
傷や火傷の化膿止めに使える。『テラマイシン軟膏』(武田薬品工業)、『ドルマイシン』(ゼリア新薬)などなどいろいろあるので、どれか1本入れておこう。
食品消毒薬ともいえるクスリ。多少傷んだものを食べても、食中毒菌が腸内で悪さをしないように殺菌できる。衛生的な現代の日本ではほとんど不要なクスリといえるが、非常時にはどんな汚染があるか分からないので、手元に置いておきたい。
薬品類は、とりあえずこれだけ常備しておけばOK。非常時に体調を崩した場合などは、症状に合わせてこれらのクスリを服用します。たとえばホコリを大量に吸ってアレルギーのような状態で熱が出ている場合や、生理痛がひどい場合などにも対応可能です。
上記のクスリ以外に、もしあれば頼りになるものも紹介しておきましょう。
感染症対策はもちろん、いざという時は燃料としても使用可能。
ただのうがい用に非ず。薄めていろいろと利用できる。傷口や口腔内などの、デリケートな場所の消毒。さらに、どうしようもない状況下で、汚い水しかなかった場合、イソジンを数滴入れて殺菌すると生存率がアップする。
大入りボトル(100gくらい入っているもの)を1つ加えておくと、大きなケガでも対応可能。傷口を洗い流したら、ワセリンを大量に塗って、ビニールやサランラップを緩く巻けば応急処置になる。
さりげなく大事。塩は食料の栄養源として必須なほか、水に塩を入れて生理食塩水を作ることで、こちらも傷口などデリケートな場所の洗浄に使える。
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最低限の装備でも、応用次第でさまざまな救急用途に利用可能となります。これらを入れておくと、いざという時に頼りになりまくりますよ!
※本記事は書籍『アリエナイ理科ノ実験室2』から一部抜粋し、加筆修正を加えたものです。