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『Matr1x』公式サイト(https://matr1x.io/)から引用
11月27日、シンガポールを拠点とするゲーム企業Matr1x社が、14億円以上の融資を受けたことがわかりました。まだ正式にリリースされている作品はありませんが、これまでの融資の総額は28億円を超えており、極めて注目度が高いことがうかがえます。海外のメディア、PocketGamer.bizや、decryptが伝えています。
参考:
NFTs incoming: Matr1x doubles funding to $20M ahead of its debut Web3 mobile lau | Pocket Gamer.biz
Game Studio Behind Matr1x Fire Raises $10 Million for NFT Mobile Shooter | Decrypt
Matr1x社は、ブロックチェーン技術を活用した次世代のNFTゲームを制作する、シンガポールのスタートアップ企業です。2023年にベータ版で公開された「Matr1x Fire」は、スマートフォンでプレイでき、NFTを活用して楽しめる高クオリティなFPSゲームです。
NFTについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
NFTは「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」の略で、ブロックチェーン上に記録される代替不可能なデジタルデータのことを指します。従来、音楽や画像などのデジタルデータに資産価値を認めるのは困難でした。こうしたデータは簡単に複製できてしまうので、オリジナルの資産としては所有権の証明が難しかったのです。ですが、NFTに紐づけられた画像や音楽などは、コピーされても複製品であるか判別することができます。そのため、デジタルデータを唯一無二の価値を持った資産として所有でき、より効率的に透明性のある取引も行えるようになりました。
特に芸術や金融といった領域で活用が進んでいるほか、ゲームの世界でもNFTの導入例が増えています。NFTを取り扱うゲームは、通称NFTゲームやブロックチェーンゲームと言われ、その新しい可能性から関心が集まっています。ゲーム内で得られるNFTを市場で取引して収益を得るなど、新しい経済圏を作ることができるのです。
Matr1x社は、そうしたNFTゲームを制作する、次世代の新興企業です。同社がどのようなゲームを作っているのか、初作品である「Matr1x Fire」を通して見てみましょう。
「Matr1x Fire」はMatr1x社が最初に制作したFPSゲームです。5vs5のチーム戦ができるほか、バトルロイヤルモードなども実装予定で、幅広い楽しみ方ができます。基本プレイ無料で、AndroidとiOSに対応しており、スマートフォンでプレイできます。
「Matr1x Fire」では、多数のゲーム内アイテムがNFTとなっています。キャラクターのアバターやプロフィール画像、武器のスキンから、バッジやグローブといった装飾品、土地といったものまで、幅広い種類のNFTがあります。また、所持していると宝箱などの特典や、ゲーム内での特権を得られるアイテムもあるとのことです。
『Matr1x』公式ホワイトペーパー(https://matr1x.gitbook.io/matr1x-whitepaper/4.-nft/weapon)から引用
これらのNFTはステータスには影響せず、見た目だけの変更なので、課金していなくても同条件で楽しめます。
取得したNFTは、NFTの売買ができるマーケットプレイスのOpenseaで売買できます。
Openseaについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
『Matr1x』公式Opensea:https://opensea.io/Matr1xOfficial
「Matr1x Fire」から配布、発売されたNFTコレクションは、どれも注目を集めています。先日は、Matr1x公式から、「KUKU」というNFTコレクションが発売されました。
『MATR1X KUKU』公式コレクションページ(https://opensea.io/collection/matr1x-kuku)から引用
「KUKU」を所有していると、ゲーム内で多くの特権を得ることができます。例えば、「KUKU」を所有している状態でクエストをクリアすると、「KUKU」のレベルが上がり特別な報酬を得ることができます。また、Matr1x社は将来、ゲーム内のNFTをプレイヤーが制作する、「クリエイターエコノミー」を実現することを目指しており、「KUKU」はその際に特権として使える見込みです。
現在は「Matr1x Fire」のみで使用できるNFTですが、将来はMatr1x社のほかのゲームでも「KUKU」が機能する予定です。
合計6,666個の「KUKU」NFTが作られ、現在も取引が行われています。こちらのリンクから、「KUKU」のより詳しい情報を得られます。
『Matr1x』公式サイト(https://matr1x.io/)から引用
「Matr1x Fire」はeスポーツシーンへの進出も目指しており、大会の開催などが企画されています。NFTとeスポーツシーンが融合することで、新たなエンターテイメントの在り方が見られるかもしれません。
今回の融資は、「Matr1x Fire」の正式リリースおよび、次のゲームの開発のために用意されたものです。Matr1x社は現在、MMORPGの「Matr1x WAR」と、メタバースの「Matr1x Evolution」の開発を進めています。
これらのゲームは同じ世界観を共有しているだけではなく、同じNFTを共通で使用できる見込みです。複数のゲーム間で共有のNFTを流通させる、という新たな試みで、さらなる経済圏の活性化が期待されます。
こうした魅力的なビジョンもあり、多くの投資家がMatr1x社に関心を持っています。11月23日にMatr1x社が公式X(旧Twitter)にて投稿したポストでは、シンガポールのSeven Venturesや中国のFolius Venturesといった団体から、1,000万ドルの投資が集まったことが報告されました。
これまでMatr1x社は韓国のHana Financial Investmentといった団体からも1,000万ドルの融資を受けており、その合計は2,000万ドル、日本円にして28億円以上にもなります。特にアジア圏で、Matr1x社が大きな注目を集めていることがわかります。
Folius Venturesの創業者、Jason Kam氏は、以下のようなコメントをしています。
Matr1x社は、ゲーム業界の未知の領域を開拓する、大きな可能性を秘めています。Matr1x社は、洗練された方法でバランスを取ろうとしています。うまくいけば、Web3の衰退を完璧に防げるでしょう。規模を拡大し、多くのマーケットにアピールして、持続的に利益を上げられるようになるかもしれません
<span style="color:#a9a9a9;"><span style="font-size:10px;">(筆者翻訳)</span></span>
特に、長期的な利益が期待されていることがわかります。Matr1x社の戦略が、より大きな規模で関心を集めて、将来的に大きな市場を作る可能性があると見られているのです。
Matr1x社公式Xのポスト(https://twitter.com/matr1xJP/status/1687108170609750016)から引用
Matr1x社への融資の情報と、Matr1x社がどのような企業なのかについてまとめました。
次世代の技術であるブロックチェーン技術やNFTは、ゲームの世界でも活用が広がっています。
複数のゲームでNFTを共有するというビジョンを掲げるMatr1x社は、ブロックチェーン技術を利用した新しいゲームの形を提示しようとしています。その可能性が認められ、Matr1x社は多くの融資を受けています。
大きなポテンシャルのあるMatr1x社と、NFTゲーム業界に注目です。