登壇者、各社詳細

REALITY XR cloud 春山様(以下、春山と表記)「これより3社の対談セミナーを開催します。テーマは『メタバース利活用を支えるプラットフォーム』です。よろしくお願いします。」



KDDI 矢島様(以下、矢島と表記)「KDDIの矢島です。よろしくお願いします。」



Cluster 亀谷様(以下、亀谷と表記)クラスタ―株式会社の亀谷です。弊社はメタバースプラットフォーム『cluster』を運営しております。」



春山「最後に私は春山と申します。REALITY XR cloud株式会社という、グリー株式会社のメタバース事業を担う子会社に所属しております。メタバースのBtoB事業を行っており、3社ともメタバース領域にプラットフォーマーとして参入しております。

REALITY XR cloud 株式会社|春山様

REALITY XR cloud株式会社

グリー株式会社のメタバース関連子会社。



春山様

REALITY XR cloud株式会社代表。

長くゲーム関係職に就いており、GREEで内製タイトルを複数ご担当。

途中でBtoB事業に魅力を感じ、現在に至る。

KDDI株式会社|矢島様

KDDI株式会社

「αU(アルファユー)」というメタバースサービスを今年(2023年)発表。『cluster』上でREALTY社とともに「バーチャルハロウィン」を運営。



矢島様

Webコンサルの受託系の会社に従事した後、2013年にKDDIへ入社。

メタバース企画の運営などを行っている。

クラスター株式会社|亀谷様

クラスター株式会社

メタバースプラットフォーム『cluster』を運営。年間およそ250件の企業イベントを開催。



亀谷様

新卒でサイバーエージェントに入社、エンタープライズ事業部を担当した後、クラスタ―社で法人向けの企画営業やディレクションを担当。

 

メタバースの活用事例

春山「今回のテーマは『メタバースの利活用』ということで、まずは各社様の事例のご紹介から始めたいと思います。」



春山「まずは、KDDI様からお願いします。」

KDDI|幅広い人脈を活用したBtoB支援&メタバース構築

矢島「当社の事例としましては、まずは『バーチャルハロウィン』を挙げさせてください。」



矢島「このバーチャルハロウィンは毎年50万人以上を動員するイベントです。また今年から、新しく『αU』というメタバースプラットフォームを立ち上げました。」



矢島

「今年のバーチャルハロウィンですが、リアルの渋谷の街に集まってしまうことで治安やゴミの問題等の社会的な問題が発生してしまう事もあり、その問題を渋谷区としても懸念されていた事から、バーチャルで解決しよう、と区と共に企画されました。メタバースは社会貢献としても役立つと考えています。」



春山「イベント実施のコツを伺えますでしょうか?」



矢島「スタッフや業界の熱量だと思っています。ビジネスとしてだけでなく、社会を良くしようという意気込みで立ち回っています。」



矢島「イベント実施の観点で言うと、KDDIはエンターテイメント事業も手がけているので、あらゆるところにパートナーリングやリレーションがあります。そのケイパビリティやアセットを組み合わせることで実現できました。」

BtoB領域で伸びるメタバース

矢島「メタバースはともするとブームが去っているのではという社会的風潮がありますが、実はBtoBの領域では伸び続けています。」



矢島「今までは特定のイベントやショーケースに使うのみで、普通のインターネット媒体に比べたらあまり人が来ないという不安を抱えていたのですが、最近はそういった事業課題に直接取り組む企業さんが増えています。」



矢島「例えば、不動産系では自分たちのワールドを立ち上げ、顧客接点をそこに築くための導線を作ったり、教育係では子供に楽しんでもらうコンテンツを考えたりなど、一歩踏み込んだことを考え始めています。」



矢島「そうなると単発の売上ではなく、継続的な連携が必要となります。事業として膨らんでいくので、マネタイズだったり集客をロングテールで考えることも必要となり、規模も大きくなってきます。」



矢島「我々はメタバースだけでなく、XRやNFT、デジタルツインやコマースのご提案もできるので、そういった部分がお客さんに刺さると考えています。メタバースをやりたいというお客さんに、こっちの商材の方が良いのでは、というご提案が可能なので、そこが強みだと思っています。」

Cluster|クリエイターを巻き込んだ体験型メタバース

亀谷「Clusterは年間およそ250件の法人様イベントを行っており、かなり幅広い領域で使っていただいています。その中の事例を2つご紹介します。」

亀谷「1つ目は、ジャパンモビリティショーです。国内の自動車メーカー12社と共同で、メタバース空間の中で車を作ったり、組み立てる体験を提供しました。車未所有の方に向けてリリースしており、デジタル空間の中で身体性を伴う体験が可能です。」

春山「どのように進められたのでしょうか?」



亀谷「自動車のメーカー様からCGモデルをいただき、リデザインさせていただきました。各メーカーのデザイナーの方にも入っていただき、体験から見た目まで、力を入れて作りました。」

クリエイターとの共創空間を作る

亀谷「メタバースを作り、コミュニティ運営をするために、デジタルクリエイターを巻き込む施策が今後必要になります。そういった観点でのイベントです。」



亀谷「ドズル社さんというマインクラフトを中心としたyoutubeで動画を配信している方々と一緒に作った『ドズバース』というメタバース空間があります。そこではユーザーが自分たちで空間を作ったり、推し活や応援イベントを行うことができます。」



亀谷「自分たちが作った空間でイベントを行い、ファンを集めることができます。イベントもショットで終わらせるのではなく、よりコアな熱量を持つ人たちをどう巻き込むか、何を作るのかなど、クリエイターを巻き込む形での良い活動ができたと思っています。」

REALITY XR cloud|リアルを拡張させるメタバースの造営

春山「最後に、弊社の事例もご紹介させてください。まずは、バーチャル東京ドームワールドです。」



春山「これは、三井不動産様、東京ドーム様と提携した企画で、韓国のアイドルグループ『aespa』さんとリアル×バーチャルの両面でのタイアップも行いました。

バーチャル東京ドームワールド

春山「タイアップの内容としては、『aespa』様のダンスミュージック動画に合わせたモーションデータを作成し、『REALITY』のアプリ上で『aespa』と同じダンスができる、という取り組みを行いました。」



春山「他にも、現地では即完売してしまったライブTシャツがバーチャル上だと確実に手に入れられる、といったメリットがありました。リアルとバーチャルで両方ゲットした、というSNS投稿などもあり、大きく盛り上がりました。」



春山「以上のように、アーティストの認知拡大コミュニティ作りをメタバースで行う取り組みをしています。」

大阪駅のメタバース化

春山「JR西日本さんのグループ会社と業務提携をし、大阪駅をバーチャル化しました。コロナ禍中に駅の利用や運輸がストップしてしまったことが大変だったため、デジタル空間に駅を作れないか、と我々にお声がけをいただいたことが背景にあります。



春山「大阪駅に新しく『うめきた地下口』という出口ができたのですが、これをリアルの一週間前にメタバースでオープンしました。プロモーションの一環として展開し、1か月半ほどで600万人程ご来場されました。さらにリアル側でも連動イベントを行うことによって、バーチャルで見た景色がリアルでもある、と盛り上がりを見せました。」



春山「さらに実証実験として、マネタイズや誘客のデータ収集も一緒に行いました。」

メタバース市場における各社の見解

春山「各社事例のご紹介をいただいたところで、ここからはメタバースの市場と、法人様のニーズ等ついて、各社様のご意見をお伺いしたいと思います。」

KDDI|toB向けサービスからtoCへ繋げる

矢島「メタバースのユーザー数は伸び続けているので、これからの市場だと感じています。反面、C向けのサービス展開に時間がかかっています。」



矢島「先日行った発表会でもC向けのサービスをたくさん発表させていただいたのですが、我々のところで先に立ち上がるのはB向けのサービスです。」



矢島「Bのお客様にきちんと場所を提供して、そこにコンテンツが生まれると人が増える、そういった循環が今のメタバース市場だと思います。」

矢島「一方で、C向けのイベントでは、季節性のイベントが大きなカギになってくると思います。」



矢島「先ほど紹介したハロウィンイベントは今年で4年目になります。実はこちらでのユーザー数も右肩上がりで伸びています。」



矢島季節性イベントは大きな盛り上がりどころとなっています。企業さんのイベントを開催すると、瞬間的に人は来てくれるのですが、季節性イベントの方が大きく盛り上がりを見せます。」



矢島「例えばクリスマスやお正月などのタイミングに合わせて大きなイベントを起こし、たくさんの法人のお客様もそこに協賛していただくと、大きく盛り上がります。ストーリーをお客様に届けやすいという意味では、季節性プロモーションはすごく重要だと考えています。」

矢島「私がお話をさせていただくクライアントニーズは、メタバースを導入する際、どのプラットフォームにするか、という観点です。」



矢島「我々が考えているのは、オープンメタバースの世界です。各プラットフォームごとに良し悪しがありますし、会社によってできることが違うので、統合して1つのオープンメタバースにしたいと思っています。」



矢島「例えば、我々に依頼をいただいた際には、色々なプラットフォームとも同時連携できるようになると、KDDIとしてメタバースをやってきた意味があると考えています。」



矢島「1つのキャンペーンを開いた時にいろいろなプラットフォームで同時並行、同時多発的な展開ができるようになると、皆さんのニーズを解決できると考えています。」

Cluster|次世代がメタバースビジネスの根幹を担う

春山「亀谷さんはいかがでしょうか?」



亀谷「先ほどの季節性イベントのお話から接続すると、こういった機会は、法人の皆様が気軽に参加できるタイミングだと思っています。一定のユーザー参加が見込める季節性イベントは、メタバースで試してみたかった実証実験やデータ分析を、ユーザーを巻き込んで行える場であるからです。」



亀谷「当社も、近鉄不動産様と共同で開発した『バーチャルあべのハルカス』にてハロウィンイベントを行いました。



亀谷ハロウィンイベントは『cluster』上のバーチャル渋谷・バーチャル大阪でも実施しており、これらのワールド間で相互作用が生まれるよう導線を引かせていただきました。そこではユーザー動向の収集、データ分析も行っています。」

亀谷「グローバルに目を向けますと、ロブロックスさんやフォートナイトさんのような、いわゆるデジタル空間上で身体を動かしながら体験ができるサービスが増えています。」



亀谷「ロブロックスさんだとMAUが月に3億人という規模感になっており、その中の54%が13歳以下の子供です。これはメタバースサービスを毎日触っている小学生が、1.5億人以上いるということになります。」



亀谷「10年先を考えると、その子たちが20代中盤になり、メタバースネイティブの若者が世界中でビジネスの根幹を支えていく、という未来をclusterは見ています。そのため、法人の皆様とは今からできる実証実験やデータ検証をセットでご提案しています。」

Cluster|立体的なデータを活かしたマーケティング支援

亀谷「メタバースの強みは、2Dで表現できなかったものが、3Dによって奥行きが出せること、その空間でアバターを使った身体性が伴う体験ができること、などがあります。」



亀谷「また、直近で一番伸びていくのはデータ領域になると思っていまして、2Dの表現が3Dになることで、取ることができるデータが拡大します。」



亀谷「例えば、空間内にいる皆様がどこを見ているのか、どういう恰好をしていて、いつ誰がどこに来て、どういう会話をしているのか、というデータは全て『cluster』のプラットフォーム上に残ります。



亀谷「そういった行動データや見た目、コミュニケーションデータを、デジタルマーケティングや事業戦略に使っていただき、それを新規事業としてやっていく選択もできます。」

REALITY XR cloud|メタバースは着実に浸透している

春山「弊社のBtoCアプリ事業『REALITY』は、メタバースのSNSプラットフォームとなっています。5年程運営しておりますが、ユーザー数は右肩上がりで伸びています。」



春山「まもなく1500万DLを突破する見込みとなっています。アクティブ数に関しても、1日数時間、毎日遊んでいただいている方が多く、年代としては60〜70%が10代〜20代の方です。」



春山「以上を踏まえると、先ほど亀谷さんも仰っていた通り、10年後にはメタバース市場は今より盛んになると思っています。世間ではメタバースのハイプ・サイクルが幻滅期のような扱いとなっている中、ユーザー数は伸びています。」

春山「メタバース=仮想現実なので、現実世界で起こっていることはだいたいバーチャルでも再現できるし、それ以上に踏み込むことが可能です。」



春山「例えば弊社の特徴でお話をすると、プロモーションとして活用いただけます。1イベントで何百万人に届けたい、という現実世界だと難しいことをアレンジさせていただく機会が多いです。」



春山しかし、最近はメタバースの将来性を不安視し、事業展開が慎重になっている傾向もあります。なので、ひとつの空間を作ったら色々な企業がそこを活用できるような、少額の予算で試すことができる機会を引き続き作りたいと考えています。」



春山「それ以外では、普段から使えるオンラインツールとしてのメタバース需要が高まっています。例えば、我々は会社内で月曜の朝礼をバーチャル上で行っているのですが、実際にそのようなバーチャルオフィスへの出社は年間数万社が行っているようです。」



春山「今まで遠い存在だったメタバースが地に足をつける感覚になっている、そういったムーブがBtoBで起こっていると感じています。」

メタバース大手3社の今後

春山「最後に、各社の今後の展開について語っていきたいと思います。まずは弊社から。」

REALITY XR cloud|横断的・低予算のメタバース事業支援

春山「弊社は引き続きアライアンスだったり、バーチャル新規事業のご支援ができればと思っています。いろいろな商品設計をしていまして、低予算でもご提供できるプランを準備していこうと思っています。」



春山「あとは横のつながりで、マルチプラットフォーム化していくこともあると思うので、ぜひ企業の皆さんには良いところを取っていただければと思います。」

春山「我々はメタバース事業自体が新規事業です。親会社のグリーはBtoC向けのゲームやサービスをメインに作っているので、BtoB事業に慣れていませんでした。一方で、開発することは得意です。企業様の話を聞いてご提案する力はあると思っています。」



春山「メタバースやAIは様々な企業が注目されている領域なので、一緒に取り組める、というのが弊社のポイントです。」



春山「また、メタバースのバーチャルイベントだけではなく、『SaaS』のようなバーチャル会場を作ることも得意です。それを外販していく中で、手ごたえを感じながらも品質改良を頑張っています。」

春山「私からもお話をすると、動作の軽快さが重要だと思っています。スマートフォンでアプリを出しているのですが、スマホの限界ギリギリを攻めつつも、動作を軽くしています。動作が重いとメタバースも触っていられないと思うので、いかに軽くして体験価値を作るかということを大事にしています。」



春山「VR端末の軽量化も進んでいくと思っていて、普段使いされるぐらい普及してくると、メタバースも更に広がると思っています。通信関係でも5G以降の話があると思っていて、これによりメタバースがよりサクサク動くようになると、エンタメだけでなくシステムの観点でも活用できると思っています。」

Cluster|ユーザー・企業を巻き込んだメタバースの共創

亀谷「メイン事業がプラットフォームの運営になります。我々のプラットフォームであるバーチャル空間に住んでいる住人の皆さんや、クリエイターの皆さん、企業の皆様とともに空間を作っていく、共創関係をプロデュースするのが、我々の事業です。」



亀谷「デジタルの空間でイベントをやる、という単発的なものだけでなく、事業検証や企画を皆様と模索したいと思っています。」

亀谷クラスタ―社では、皆様と一緒にプロジェクトを立ち上げることが得意です。」



亀谷「例えば、先ほどお話したモビリティショーですと、元々車をカスタマイズしたり、乗り物に乗るという機能は、1年前には『cluster』にありませんでした。しかし、プラットフォーム上でサービスの開発や更新を行うことができるので、モビリティショーに合わせた機能を新たに実装しました。」



亀谷「また、先ほどもお話した通り、余暇時間のほとんどをデジタルに投資しているユーザーさんがいる背景を考えると、各企業様と一緒にPOCやR&D研究などをやらせていただくことも可能だと考えています。」



亀谷「AI活用の開発チームも既にスタートさせています。コミュニティ運営ではマーケティングのチームが新しく動き出したりもしているので、奥行きのある新しいデジタル事業のご提案をさせていただければと思います。」

KDDI|メタバースの可能性を広げ、現実世界へ拡張する

矢島「先ほどもお伝えしたオープンメタバースは引き続き目指していきたいと思っています。いろいろなパートナーさんと連携して、継続的な取り組みとして昇華させたいと思っています。」



矢島「また、メタバースを現実の世界に拡張していきたいと思っています。デジタル上で完結してしまうのではなく、メタバースにXRを掛け合わせて現実世界でも似たような体験ができるようにしたり、現実世界に来てくれたお客様に地域通貨のような形でNFTを活用したいと思っています。」



矢島「旅前にメタバースで楽しんで、旅中はARとNFTで自分たちのリアルエコノミクスに繋げていく、そういった拡張現実に踏み込んでいきたいです。」

矢島「KDDIは新規事業を作り続ける会社なので、オープンイノベーション分野でご評価いただいています。」



矢島「直近に発表したサービスでは『αU』が一番大きいと思っていて、『αUメタバース』だけではなく、NFTのウォレットであったりマーケット、『αUライブ』というエンターテイメントの要素であったりとか、メタバース領域に近いところだと『αUプレイス』というサービスをローンチさせていただきました。」



矢島「『αUプレイス』は、店舗をスマートフォンで撮影してメタバース空間を構築できるサービスです。無印良品様の銀座店を『αUプレイス』で3Dスキャンし、大きなメタバース空間を作り、簡単に調整するだけでコマース体験ができる、という取り組みを行いました。」



矢島「BtoBtoCのサービスであるこの『αUプレイス』は、これからのニーズにマッチしてると思っています。」

春山「皆様、本日はありがとうございました。今後もメタバースに関わる各社で連携して、事業を進めていきたいと考えております。何卒よろしくおねがいいたします。」

公式リンク

REALITY XR cloud 株式会社:https://reality-xrcloud.inc



クラスター株式会社:https://corp.cluster.mu/

メタバースプラットフォーム cluster(クラスター):https://cluster.mu/



KDDI:https://www.kddi.com/

αU:https://alpha-u.io/

情報提供元: GAMEMO
記事名:「 メタバース市場、今後はどうなる?! 大手3社が語る未来予想図|REALITY XR cloud 春山様、KDDI 矢島様、cluster 亀谷様