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――本日はよろしくお願いします。
――まず最初に、8月に設立されたAIタレント専門事務所「AIタレントエージェンシー」に関するお話を伺いたいと思います。
――AIがタレントになる、というのはどのようなことなのでしょうか?
庄司一慶様(以下、庄司)「文字通り、AIが現実世界のタレントと同じようにSNSや動画配信などを行い、ファンを獲得し、商品のPRを行うことです。」
庄司「現在は3名のAIタレントが在籍していますが、生年月日や好き嫌い、口調といった部分まで細かく設定しています。」
庄司「感情の度合いを内部的に設定して対応した感情表現を行うことも可能で、人間的な細かな感情表現も可能となっています。」
――現在はどのような形で活動しているのでしょうか。
庄司「現在は所属タレントの一人『もも』ちゃんがYoutube上で生配信を行っています。コメントが投稿されたらそれに応じた返答を行う簡易的なものです。」
庄司「ももちゃんはAIなので24時間365日常時配信が可能です。そのため、何時でも話しかけることが可能です。」
庄司「また、企業向けに専用のAIタレントの生成をサポートしています。画像ベースで2Dの表現に留まっており、声も機械音声なのですがしっかりと受け答えは可能で、物を持たせるといった表現も可能です。」
――AIタレントに着目した理由についてお伺いしたいです。
庄司「人が持つ限界をAIで超えていきたいからです。」
庄司「人間は24時間働くことも、膨大なデータを一瞬で処理することもできません。そうした人間ができないことをAIで代替できるようになればいいと思い研究していたところ、ChatGPTが登場しました。」
庄司「ChatGPTをはじめとした生成系AIが大流行する中で、AI VTuberのようにAIが人間を代替するケースも出現しています。そうした試みは非常に拡張性の高い概念だと感じ、別のアプローチとしてAIタレントを着想しました。」
――AI領域は今後も急成長を続けていくと思われますが、その中で今後どのような課題を解決しながらAIタレントエージェンシーの活動を拡張していく予定ですか?
庄司「まずは、より人間らしい表現を模索していきたいです。人間らしい感情をつけることに課題を感じているので、もっと感情豊かにしていきたいです。」
庄司「事業面では、24時間フルで活動可能でありバーチャルに生きているAIタレントの強みを活かした事業を展開していきたいです。」
庄司「具体的にはインフルエンサー業や俳優業などを想定しています。」
庄司「インフルエンサー業としては、商品のPRをSNSや配信の中で行うことを想定しています。俳優業では、生身の人間では危険であるようなアクションをAIタレントが行うことは需要があると考えています。」
庄司「ただ、個人的には何もかもをAIで置き換えるようなことは避けたいです。現実のタレントの方やインフルエンサーの方と競合するつもりは無くて、人とAIそれぞれの強みに応じて棲み分けをして共存していきたいと考えています。」
――Emposy様はAI領域において幅広く事業を展開されているとのことで、そうした観点でお話を伺っていきたいと思います。
――AIタレントエージェンシーの他に、Emposy様はどのようなサービスを展開されているのでしょうか?
庄司「最近力を入れているサービスでは、LINEで簡単に画像生成が可能となる『GPT AIチャット』があります。」
庄司「LINE上でChatGPTとstableDiffusion(高性能の画像生成AI)を利用でき、安価で簡単に画像生成ができるチャットボットです。日本語でのプロンプト入力にも対応していて、現在は30万人のユーザーが利用されています。」
――画像生成AIのプロンプトは基本的に英語での入力ですよね。日本語で入力できるのは非常にありがたいです。
庄司「他にも『AdLabo』ではAIを活用した広告運用のサポートを行っています。」
庄司「広告情報を大量に学習させたAIがユーザーの関心を持ちやすいキャッチコピーとデザインを生成してくれるサービスです。人力では途方もなく手間のかかる過去の広告データの検討を、AIを用いて高速で実行させることができます。」
庄司「運用もサイバーエージェントにて膨大な量の広告を運用した経験を持つメンバーが担当しています。AIと人間双方の強みを掛け合わせた広告運用事業として展開していく予定です。」
――お話を伺う限り、Emposy様は画像生成AIを非常に多岐に渡る形で活用されている印象があります。
庄司「『GPT AIチャット』の運営を通して、画像生成系のAIが強みとなった感覚があります。先ほど話したようにAI領域には以前から挑戦していたため、比較的研究データやノウハウの蓄積が多いことも強みの一つです。」
――AIビジネスはChatGPTの台頭により急増した印象がありますが、Emposy様はそれ以前からAI領域に注目されていたのですね。
庄司「はい。CEOの木谷がAIに精通しており、AIに関連したビジネスにも挑戦していました。現在も『Aiの島』という、AI関連情報を発信するメディアの運営も行っています。」
庄司「EmposyはAIの会社である、という点を皆さんに知っていただくことも目的の一つです。」
庄司「そうした事情もあり、ChatGPTに対しても技術の進歩に対する驚きはあったものの、すんなりと受け入れることができました。」
――AI領域に携わり続けた立場として、ChatGPTの台頭をどのように捉えておりますか。
庄司「ChatGPTの画期性は、AI技術を世間一般に浸透するほどのクオリティでリリースした点だと思います。そのおかげもあり世界中でAIへの注目度が高まり、AIの活用事例や論文が爆発的に増加しました。」
庄司「とはいえ、生成AIは未だに課題の多い領域です。AI技術で日本を盛り上げるために、我々が持つ知識をしっかりと伝えていくことが大事だと考えています。」
――Emposy様は企業向けに生成AI導入支援や情報発信を積極的に行われている印象があるので、非常に納得できます。
――まさに、生成AIのプロフェッショナルだと感じました。
――先ほどCEOの木谷様はAIに精通していると仰っていましたが、木谷様はどのような方なのでしょうか。
庄司「CEOの木谷は京都大学出身のエンジニアで、フルスタックで色々な言語を使いこなせます。現在はCEOを務めつつ、AI関連の開発全般を担当している状態です。」
――木谷様がAIに精通していると先ほど仰っていましたが、他のメンバーの方も元々AI領域に強みを持っていたのでしょうか。
庄司「いえ。私は本分がゲーム開発で、AIはChatGPT以降学び始めました。現在はゲーム作成とAI技術を組み合わせた新しいゲーム開発の手法を模索しています。」
庄司「現在は会話内容を学習したAIを実装することで、ゲーム内のNPC(ノンプレイヤーキャラクター)を独立した一つの人格として成立させられないかと思い色々試しています。」
庄司「他のメンバーもAI以外で強みをそれぞれ持っており、そうした強みとAIを掛け合わせて新しいサービスを模索している形ですね。」
――幅広くAI関連事業をなされているのは、メンバーの強みとAIを掛け合わせて事業を展開されているからなのですね。
――Emposy様は現在、CTOを募集されているとお聞きしました。今後の展望と併せてお話を伺いたいと思います。
――将来的に、Emposy様が実現したい未来について教えてください。
庄司「AI領域に限定されない話だと、日本にシリコンバレーみたいなスタートアップタウンを作りたいと考えています。」
庄司「GAFAのように世界を牽引するような事業・サービスが展開できる企業を作ることが、日本を盛り上げるために必要なことだと個人的に感じています。」
庄司「そのためにはスタートアップが自由に挑戦できる環境を作ることが重要です。」
庄司「日本でも様々な取り組みが行われていますが、本場のように上手くいっているとは言い難い。ドローンやロボットが当たり前のように街中に存在しているようなスタートアップタウンを作っていきたいです。」
庄司「AIタレントも、そうしたチャレンジを支えるIPという側面があります。」
――現在CTOを募集されているとのことですが、募集に至った背景を伺ってもよろしいでしょうか。
庄司「自社サービスの開発以外にも、対応できる領域を広げたいからです。」
庄司「ありがたいことに、外部の企業様からお問い合わせをいただくことが増えています。我々としてもそうした機会を大事にしたいと考えており、そのために開発の基盤を整える必要がありました。」
庄司「現状はCEOの木谷が開発全般を担当していますが、CEOはCEOとしての業務に専念してもらいたいです。」
庄司「CTOとして開発全般を管轄する方を採用することで、盤石な基盤の元で事業を拡大できると考えています。」
――CTOとして採用されるエンジニアの方に求めている条件などはございますか?
庄司「フルスタックで開発可能な技術力を持った方を採用したいと思います。PythonとPHPがしっかりと使えて、それ以外の言語に触れている経験があると望ましいです。」
――CTOとして、プログラミング方面で高いスキルがある方を求めているということですね。
庄司「そうですね。スキルがあって、Emposyが構想する未来に賛同してもらえる人であれば、それ以外の部分はあまりこだわっていません。むしろ、『変わり者』ほど、Emposyに来てほしいと思います。」
庄司「変わり者だと思われる人ほど、何かに特化したスキルを持っているケースが多いと思います。変わり者と関わるのが好きですし、何より私やCEOの木谷自身、自他ともに認める変わり者です。」
庄司「成果主義的な価値観がかなり強いですが、逆に言えば成果さえ出していれば何をしていても許容されるチームだと思います。」
庄司「腕に自信があり、変わり者である自覚があるのであれば、ぜひ一度話を聞かせてもらいたいですね。」
――今後はどのような方向性で事業を展開される予定なのでしょうか。
庄司「新しいことに挑戦しつつ、AIのプロフェッショナルとして市場を牽引していきたいです。」
庄司「メンバー全員新しいことに目が無くて、どうアプローチしたら面白くなるかを常に考えています。最近では顔の動画からリアルに、立体的に動く3Dっぽい人物を作ることに成功しました。」
庄司「色々とチャレンジしていますが、残念ながら事業に繋がらないものも相当数ありました。最近は生成AIの流行に併せて事業に繋がる挑戦を積極的に行い、成長したいと考えています。」
庄司「とはいえ、会社として『面白い』ものを作っていきたい気持ちは変わりません。行動力と開発力、そして発想力を活かして、これからも色々な挑戦をしていきたいと思います。」
――本日はありがとうございました。
株式会社Emposyは、『サービス屋さん』として未だない価値を提供する企業です。強みである開発力を活かしたIT事業を展開し、唯一無二の「おもしろさ」を追求しています。
日本国内にスタートアップタウンを設立し、世界へ羽ばたく企業を生み出すことを目標として、近年ではAI技術を活用したコンサルティング事業やエンタメ事業を展開しています。
AIスタートアップ・株式会社Emposy COO
2031年を目標に海外水準のスタートアップタウン設立を目指し事業展開を行う傍ら、AI技術を活用したゲーム開発を研究している。