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近年、Web3(Web3.0)というワードを耳にすることが多くなりました。
明確な定義はありませんが、経済産業省はWeb3.0により実現できる世界について以下のように説明しています。
【Web 3.0】:ブロックチェーンによる相互認証、データの唯一性・真正性、改ざんに対する堅牢性に支えられて、 個人がデータを所有・管理し、中央集権不在で個人同士が自由につながり交流・取引する世界。
簡単に言えばWeb3は、ブロックチェーン技術を活用した非中央集権型の新しいインターネットの概念と言えるでしょう。
Web3のサービスが増えたり大手企業が続々と参入したりしている中で、フロントエンドエンジニアとしてWeb3業界への転職を検討している方も多いのではないでしょうか。
まずはWeb3業界においてのフロントエンドエンジニアがどのような仕事なのか、役割・魅力・年収について解説します。
Web3やブロックチェーンについてわかりやすく知りたい方は、こちらの記事も是非ご覧ください。
Web3のフロントエンドエンジニアは、ブロックチェーン技術を活用したwebサービスやアプリケーションにおいて、ユーザーが直接見たり触れたりする部分を開発するエンジニアのことを指します。
具体的には、
などのサービスそのものの操作画面、またはそのLPやキャンペーンサイトの設計・実装などを担当します。
Web3のエンジニアと言うとブロックチェーンそのものの開発やスマートコントラクトの開発を行うイメージがあるかもしれませんが、それらの業務はブロックチェーンエンジニアと呼ばれる職種が担当する場合が多いです。
ブロックチェーンエンジニアについては以下の記事で詳しく解説していますので、是非参照してみてください。
フロントエンド開発ではHTML、CSS、JavaScript、PHPなどは基本ですが、Web3企業においてはTypescriptやReact、Next.jsを使用する仕事が多いです。
以下ではその3つについて解説します。
TypeScript
TypeScriptは、JavaScriptを拡張した言語として2012年にMicrosoft社からリリースされました。
JavaScriptとの大きな違いの一つとして、型付けの違いが挙げられます。
JavaScriptはデータ型の宣言が不要な「動的型付け」であるのに対し、TypeScriptはデータ型を明示的に指定する「静的型付け」を採用しています。
予めデータの型を宣言してから開発を行うことにより、実行時のエラーを大幅に削減することが可能になっています。
React
Reactは、オープンソースのJavaScriptライブラリで、React.jsと呼ばれることもあります。
コンポーネント指向のため、後からプログラムを変更する際に全体的な変更の必要がなく、対象のコンポーネントだけを変更すれば済みます。
また、仮想DOMの採用により高速な描画処理が可能となっています。
比較的簡単に、洗練された最先端のUIを作ることができるのも特徴の一つです。
Next.js
Next.jsは、Reactをベースに開発されたオープンソースのJavaScriptのフレームワークです。
Reactと違い、サーバー機能やURLルーティングの自動生成機能を持っています。そのため、単体でWebアプリを動作させたり、初期化時に生成されたフォルダにファイルを配置するだけで簡単にURLを生成したりすることができます。
また、SSR、SSG、ISRという3つのレンダリング機能を持つため、ページ表示を高速化できます。
Web3のフロントエンドエンジニアの最大の魅力は、やはり新しい分野に触れられる点ではないでしょうか。
次世代のサービスの開発実績が得られ、Web3の技術スタックをキャッチアップすることもできます。
新規プロジェクトの立ち上げから関われるチャンスや、自分が開発に携わったサービスが社会全体に大きな影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
Web3は新しい領域ゆえに、常にアンテナを高く張り最新の情報や幅広い知識を把握することは大変とも言えますが、その分大きなやりがいにも繋がります。
求人サイトに掲載されているWeb3のフロントエンドエンジニアの求人を見てみると、年収は大体500〜1000万円の範囲が多いです。中には1200万円の求人も見られます。
対して一般的なエンジニアの平均年収は、職種によって異なりますが、厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査を参考にすると約550〜660万円となります。
ですので、Web3のフロントエンドエンジニアは、スキルや経験によっては比較的高い水準の年収を目指せる可能性が高いと言えるでしょう。
参考:賃金構造基本統計調査 / 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種|厚生労働省
結論として、Web3業界及びWeb3のフロントエンドエンジニアの将来性は非常に高いと言えます。
以下では、フロントエンドエンジニアの需要とキャリアパスについてご紹介します。
ブロックチェーンを活用したサービスは数多く開発されており、国内外の大手企業も続々と参入しています。
市場調査会社のグランドビューリサーチによると、世界のWeb3.0ブロックチェーン市場は、2030年までに335億3,000万ドルに達すると予想されています。2023年〜2030年の年平均成長率は47.1%になる見込みだそうです。
国内市場についても、世界と比較すると規模は劣りますが、確実に成長を遂げています。
株式会社ミック経済研究所によると、国内のブロックチェーン市場は年平均成長率66.4%増で成長を続け、2024年度には1,000億円を超えると予想されています。
出典元:
Web 3.0 Blockchain Market Size &Share Report, 2030|Grand View Research, Inc.
大きく活用用途広がるブロックチェーン市場の現状と展望 2019年度版|ミック経済研究所
ブロックチェーン市場の盛り上がりに比例し、そのサービスの開発に関わる人材も必要となってくるでしょう。
今後、Web3サービスがより普及していくための課題の一つとして、利用ハードルの高さが挙げられます。
例えば、ウォレットの作成からサービスの利用までにも複数のステップが必要となり、Web3の知識が無い人やITリテラシーの低い人にとっては使いづらいのが現状です。
わかりやすい操作性を提供するためのUI/UXでサービスを開発できるフロントエンドエンジニアの需要は、ますます高まっていくのではないでしょうか。
Web3のフロントエンドエンジニアのキャリアパスは、企業や個人の志向により多岐に渡ります。
フロントエンドのスキルを磨いてスペシャリストとして専門性を高めるほか、サーバーサイド技術も学ぶことで、バックエンドエンジニアやフルスタックエンジニアへのキャリアチェンジも可能となります。
また、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーなどのマネジメント職にキャリアアップするほか、ゆくゆくはフリーランスとして独立するという選択肢もあります。
Web3業界はまだ発展途上であるため、先見性を持って仕事をすることで、将来的に重要なポジションを開拓し活躍するチャンスも期待できます。
特にWeb3企業にはスタートアップの勢いのある会社が多く、CTO(Chief Technical Officer/最高技術責任者)や、CDO(Chief Digital Officer/最高デジタル責任者)などのトップを目指せる可能性も高いでしょう。
実際にフロントエンドエンジニアとしてWeb3業界に転職するには何が必要なのでしょうか。
もちろん、求人によって必須要件・歓迎要件・求める人物像は異なります。
以下ではそれぞれを網羅的にご紹介しますが、応募したい求人に対して自分がマッチしているかどうかは求人ページの要件をよく確認しましょう。
Web3のフロントエンドエンジニアになるために、必ず取得しなければならない資格はありません。
特定の資格よりも、フロントエンド開発経験が求められます。
Web2のフロントエンドエンジニアとしての実務経験がある方であれば、Web3でもそのスキルを発揮し活躍できるでしょう。
多くの場合に必須ではないものの、Web3のフロントエンドエンジニアの業務に役立つ資格は存在します。
WEB3.0検定や暗号通貨技能検定は、ブロックチェーンについての知識を学習できる民間の資格検定ですので、こちらにチャレンジしてみるのもおすすめです。
基本情報技術者試験、応用情報処理技術者試験、その他プログラミング関連資格など、ITエンジニア向けの資格を転職を機に取得するのも良いでしょう。
その他、あると便利なスキルは以下の通りです。
フロントエンドエンジニアはユーザーが直接触れる外観や体験に関する部分を開発するため、UI/UXについての知識や、それらを考慮しながら開発をした経験があると良いでしょう。
また、ブロックチェーンそのものの開発を担当するわけではなくとも、Web3及びブロックチェーンについての知識は備えておくことをおすすめします。
転職においては、要件をクリアしているだけでなく、企業の求める人物像に合致しているかどうかも重要なポイントです。
Web3のフロントエンドエンジニアに求められる人物像として挙げられるのは、以下の通りです。
Web3という発展途上の分野は、どんどん情報がアップデートされ、新しいサービスも生まれていきます。
その中で、変化を楽しみ柔軟にチャレンジしながら取り組める人が求められます。
新しい分野だからこそ、技術的にも向上心を持って取り組めると良いでしょう。
自ら目標を立てて遂行し、自発的に情報収集できる人が求められます。
Web3業界への転職を目指すのであれば、Web3やブロックチェーン技術への興味関心が強いほどアピールポイントになります。
まだ深い知見が無くても、これから勉強していきたいという意欲が大切です。
Web3業界での経験を必須条件としている求人はあまり見られませんので、業界未経験でもフロントエンドエンジニアの求人へ応募し転職することは可能です。
とは言え、やはり事前に勉強して一定の知識・経験を身に付けた方が望ましく、転職において有利になります。
ブロックチェーンの仕組みを解説した書籍や、中立的立場からの資料、各研究機関が出してる資料、BitcoinとEthereumのホワイトペーパーなどに目を通すと良いでしょう。
以下の記事では、初心者におすすめのわかりやすい動画や書籍について紹介しています。
実際に、仮想通貨、NFT、DeFi、ブロックチェーンゲーム(GameFi)などに触れてみることもおすすめです。
また、最新の情報を収集しアップデートしていく必要もあるため、情報の正誤に注意しながらTwitterなどのSNSや専門情報サイトを活用しましょう。
当メディア「GAMEMO」でもWeb3やメタバースなどの領域に特化した記事を多数掲載しておりますので、是非参考にしてみてください。
Web3業界におけるフロントエンドエンジニアの転職活動は、一般的な転職活動と同じように、求人の探し方や応募方法を把握することから始めます。
以下では、求人の探し方と志望動機のポイントについて解説していきます。
Web3に特化した求人サイト・転職支援サービス・キャリア支援サービス、またはWeb3関連のプロジェクトに携わっている企業のサイト・コミュニティなどから求人情報を収集し、応募先を選定します。
希望の求人が掲載されていなくても、「Plus Web3」や「Web3.0 Jobs」で面談をすることで企業とマッチングできる可能性があり、転職を有利に進めることができます。
履歴書や職務経歴書などの応募書類を準備する上で、志望動機は最も重要な項目の一つです。応募する企業ごとに、以下のポイントを意識して簡潔にまとめましょう。
企業の事業内容やビジョン、業務内容についてしっかりと調べて理解を深めた上で、自分の軸やキャリアビジョンなどとの接点を見出していく必要があります。
自分のこれまでの経験・スキルを転職先でどのように活かせると考えているか、根拠となる過去の実績やエピソードをもとに具体的かつ簡潔に書きましょう。
Web3及びブロックチェーンに関する学習実績、ブロックチェーン開発経験などがあれば盛り込みましょう。
業界未経験であっても、入社後のポテンシャルを感じてもらえるようアピールすることが大切です。
Web3は今後も急速に発展し、ますます注目を集める分野です。
Web3業界のフロントエンドエンジニアは、ユーザーが次世代のサービスにスムーズに触れられるような見た目や操作性を作り出す上で欠かせない重要な存在です。今後も需要は高まることが予想され、将来性も期待できるでしょう。
Web3に興味を持ち転職を考えているエンジニアの方は、ぜひWeb3に特化した求人サイトや転職支援サービスを活用してみましょう。