香川照之・主演、監督集団・5月が仕掛ける異色のサイコ・サスペンス、WOWOW「連続ドラマW 災」の放送・配信がスタートした。現代を生きる罪なき6人の主人公たちの人生を描く群像劇で、あるひとりの“男”(香川)がもたらす無慈悲な“災い”を描く。ミステリアスな展開が待ち受けるなか、神奈川県警捜査一課の刑事・堂本翠を演じる中村アンに話を聞く。

ーー本作はまず2名の監督(関友太郎、平瀬謙太朗)が脚本と編集もされるなど、独特な制作体制でしたが、感想はいかがですか。

監督であるおふたりが脚本を書かれていたので、撮影現場で自分のセリフの意味を改めて聞いたり、堂本という役柄のその時の心情を聞いたりしました。また、本に書かれている思いを伝えてくださったので、お互いに意見を言い合い、堂本という役を作っていけました。疑問なく進められたことが、とても楽しかったです。

ーーそれは刺激的な体験になりますね。

そうですね。普段は監督はひとりなので、今回は違う方向からの意見が出てくるのが新鮮でした。迷った時にヒントをくれるのが監督なのですが、その選択肢が自分の中で増えたんです。些細な気づきですが、刑事とはこういうものという思い込みが自分の中で勝手にあったのですが、自分のお芝居のクセも含めて、自然に正して導いてくださいました。あと、監督がふたりいると、ひとりの人とずっと話しているよりは気分が変わるので、そういう意味でも楽しかったです(笑)。

ーーネタバレになるのであまり多くを語れない作品かと思いますが、ストーリーの印象はいかがでしたか?

香川さん演じる“男”が、6人の主人公たちに“災い”をもたらしていくという奇妙な物語ではあるのですが、他人ごとではない感じがしました。そもそも災いとわたしたちは隣り合わせで生きているもので、たとえば何かがきっかけで人間関係、恋愛と、ガタガタ崩れていく様を見ていると、生きていくこと自体が尊く、大切にしたいものだと思えますよね。それらは当たり前にあるものと普段思いがちですが、そうではない。明日かその先か、災いは本当に降りかかってくるかも知れないものだと思うんです。

ーー演じられた神奈川県警捜査一課の刑事・堂本翠は、仕事中毒という設定ですが、演じるにあたりどのように準備されましたか。

そうですね。仕事に集中するあまりお風呂に入ることもままならず、周囲に何か言われても意に介さないような性格を、まずは自分の中で組み立てました。歩き方や話し方も自分なりに考えて、監督たちと話し合いながら、少しずつ作り上げていきました。

ーーチャレンジなことが多そうな印象でしたが、いかがでしたか。

本当に仕事に熱中する刑事を演じられればいいなと思っていたので、たとえば姿勢をそれほどよくしなかったり、衣装も麻っぽいもので、身ぎれいにならないように気をつけました。「中村アン」をちょっと忘れてみてもらえたら嬉しいですね(笑)。あと、監督に言われるだけでなく、自分自身も意見を持ち、伝える、ということを大切にして、一緒に作り上げていくスタイルもわたしにとってはチャレンジでした。

ーー撮影中、リクエストをされたのですね。

お互いに理解を深めながら、尊重し合いながら作品作りをさせてもらえた気がします。今までは求められたことを忠実に、言われたことに応えることでいっぱいでしたが、今回は自分の意見もちゃんと伝えられましたし、監督がその空気を作ってくれました。

ーー最後になりますが、これからご覧になる方にメッセージをお願いいたします。

堂本翠は劇中で「人は理由なく死なない」と強い思いを持っているのですが、世の中には「そんなことはない」と感じる人もきっといると思います。この作品は観てくださる方の感情や価値観によって、いろんな受け取り方ができると思います。その余白を楽しみつつ、観終わったあとに誰かと意見を交換したくなるような作品ではないかと思いますので、ぜひ楽しんでほしいです。

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記事名:「 【インタビュー】中村アン、「仕事に熱中する刑事を演じられていれば」WOWOW「連続ドラマW 災」で仕事中毒の刑事役