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本書に収められた36本のエッセイを振り返り、松下はこう語った。
「2021年から書いていて、『ああ忙しい、忙しい』ばっかり言っているんです。でもこれからもっと忙しくなるのを僕は知っているから懐かしい気持ちになったし、その後に待っているたくさんの出会いと別れをまだ知らない自分がここにいて、不思議な気持ちになりました」。
36本のうち、松下が一番気に入っている章は?
「『鬆』です」。
明朝、早起きしなければいけないのに、深夜iPhoneで延々と珍しい漢字を探し続けてしまう話だ。
「『麤』という漢字について、『こんなにたくさんの鹿に会ったのは、修学旅行で行った奈良公園ぶりだった』って書いていて、我ながら『うまいこと言うね!』と(笑)」。
本書の心温まる文章に、SNS等でも「心が洗われる」といった感想が多い。
「僕もそんなにいつも前向きなわけではないので、どの章もポジティブなことばかりではないです。悩んだり悲しいことがあったりするのは当たり前ですが、それだけで終わらせないようには努力していました」。
「最後に小さな光をちょっと置いて。それは、読み手のみなさんのためというよりは、自分のためだったのかもしれません」。
「悲しいことを悲しいままで終わらせてしまうと、そこから抜け出せなくなってしまう気がして……。悲しくても、明日頑張ろう。そういう思いをそっと残して終われるように、工夫していました」と松下。
締めくくりは、「みなさん自身の心の中にもお守りのようにして、何かに悩んだり悲しい気持ちになったときに読んで、もう1日頑張れる力を皆さんにお届けできればいいなと思ってます」と、読者へのメッセージ。
トーク中も当選した会場のファンだけでなく、生配信を観る視聴者にも心を配っていた松下。
終始、和やかで温かさに包まれたイベントとなった。