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2024年度のNHK大河ドラマ『光る君へ』で吉高由里子が演じ、再び脚光を浴びている紫式部。そんな紫式部と為時が京の都から越前国に赴いたのが長徳2年(996年)。『紫式部の旅』では、10月18日に京都府宇治市で「出立の儀」、19日に福井県敦賀市で「境迎えの儀」、同県南越前市で「鹿蒜神社詣」の再現イベントがそれぞれ実施された。
越前市で披露された「着任の儀」は、国府が置かれていた越前市に到着した為時が、「自分は本物の藤原為時である」と証明したのち、都に納める米などが入った蔵の鍵、国守が使う刻印を引き継ぐという内容。「着任の儀」が無事に済んだことで、紫式部もいよいよ新たな暮らしを始めることに。越前国の豊かな自然や文化は紫式部の感性を刺激し、『源氏物語』の執筆の原動力になったとされている。
そんな越前市での『紫式部の旅』で藤原為時役に抜てきされたのが、2024年パリオリンピックのフェンシング男子エペ団体で銀メダルを獲得した見延和靖選手(同市出身)。また紫式部役は、大学生の市橋蘭奈さん(同市出身)がつとめた。
総社大神宮からスタートした国司行列では、馬に乗った見延選手に「本物(の為時)みたい」といった声援がかけられ、輿から降りて歩きながら手を振る市橋さんには「きれいやねえ」と見惚れる観客の姿があった。さらに越前市役所前広場での「着任の儀」では、見延選手が当時の言葉遣いによる長台詞や所作を凛々しく演じ切った。市橋さんも、日野の岳(現日野山)の雪景色を待ちわびる紫式部の様子を麗しくあらわした。
閉会セレモニーでは、越前市の山田賢一市長が「1000年前を彷彿とさせ、想いを馳せる素晴らしい機会になった。1000年前のことを誇りに思う」と述べると、見延選手も「越前市という歴史ある町に生まれたことを誇りに思います。フェンシング日本代表として日の丸を背負って世界で戦っていますが、日本代表である前に、僕は越前市の代表であることを常に心に置いています」と町への深い思い入れを語った。
再現イベント終了後の囲み取材では、見延選手は自身の演技の“メダルの色”について「予選落ちくらい」と苦笑い。「やっぱり練習を積んでいかないと」とトレーニング不足だったとした上で、「僕の座右の銘は『限界を迎えてからが勝負』。これも始まりかなと思います。こういった(演技の)道も楽しいので、次はこの分野でもメダルを狙っていきたいです。(大河ドラマへの挑戦も)お声がかかればチャレンジしてみたい」と、フェンシングと俳優の“二刀流”を宣言した。
『紫式部の旅』では10月31日まで「紫式部の旅 フォトコン」と題し、福井県、滋賀県、京都府で平安や紫式部を思い起こさせる写真の投稿企画をSNSで実施。また越前市では、『光る君へ』の衣装、小道具、制作の舞台裏に迫る特集パネルなどが観覧できるほか、紫式部関連のグッズなどが購入できる「光る君へ 越前 大河ドラマ館」(しきぶきぶんミュージアム)も12月30日まで営業している(営業時間9時から17時/定休日なし)。