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意識をコントロールしている、脳への酸素が不足してしまうのだ。
そして、6〜10分程度で、命を落としてしまうリスクが上昇する。
のどがつまって息ができなくなれば、早急に救急車を呼びつつ対応しなければ、亡くなってしまうこともあるのだ。
のどがつまる感じがあっても、呼吸がしっかりできていれば焦る必要はない。
しかし、窒息して呼吸ができなくなると、人はほぼ必ず苦しそうにし、その後声にならないうめき声を出すか、まったく声が出ない場合もある。
そして、喉をつかむように両手でおさえること(チョークサイン)が多い。
これらの症状が出現すれば緊急事態であり、すぐさま対応が必要だ。
窒息してもまだ呼びかけに反応がある場合には、異物除去と救急要請をする。
異物除去には、背部叩打法と腹部突き上げ法の2種類がある。
背部叩打法は、誰が窒息しても行える方法で、背中にある両側の肩甲骨の間あたりを、手の根元で思い切りよく何度も叩く。
痛みを恐れて、弱々しく叩いても効果は出ないので、力強く叩いて欲しい。
腹部突き上げ法は、妊婦や小さな子どもには行ってはいけない。
窒息した人の背中側にまわって、おへその少し上のみぞおちあたりで、片方の手で親指を上にして握りこぶしを作る。
そしてもう片方の手で、その握りこぶしを上からおおう。
最後に、すばやく手前上向きに引き上げるように圧迫しながら押し上げる。
この時、ゆっくりしても効果は薄いため、すばやく行うのがポイントだ。
内臓が損傷する危険性もあるため、行ったことを救急隊や病院に伝えてほしい。
窒息した後、反応がなくなった場合には、すぐに心肺蘇生術と救急車を呼ぶ。
心肺蘇生術と書くと難しいが、心臓マッサージだけでもして欲しい。
胸の真ん中で、1分間に100回程度、1回につき5cmの深さを目標に心臓マッサージをする。
これだけで、その後生きて元気に社会復帰できる可能性が高まるのだ。
ぜひ心臓マッサージの講習会などに参加して、身につけてほしい。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。