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2015年に、興味深い研究結果がイギリスから発表された。
そもそも蚊に刺されやすい人はいるのだろうか。
蚊は、人の体臭を区別して刺すかどうかを決めているとの研究結果がある。
しかし、そのメカニズムは不明だ。
体臭とは別に、妊婦や双子は蚊に刺されやすい。
なお、体格の良さや体温の高さなどは関係ないとされている。
ニンニクを食べたり、ビタミンB、ビールを摂取したりすると、蚊に噛まれにくくなるのではという意見があった。
しかし、それらは刺されやすさに、特に影響しないという研究結果が出た。
蚊に、双子の手のにおいを嗅がせて、どこに蚊が近寄っていくのかを観察した。
なお、双子には2種類のパターンがある。
一卵性双生児か二卵性双生児だ。
同じ卵の中で育つか、2つの卵で別々に育つかの違いがある。当然一卵性双生児の方が、双子の遺伝子が似ている。
結果は、一卵性双生児の方が、二卵性双生児に比べて蚊が惹きつけられやすいことがわかった。
遺伝子がより似ている方に、蚊はより近づく習性があると筆者は指摘している。
つまり、遺伝子が似ている親子では、親が蚊に噛まれやすかったら子どもも噛まれやすくなるだろうというと推測できる。
蚊に刺されやすさは、食事や体格、体温などは関係ない。
遺伝子が似ている双子が刺されやすく、さらにはより遺伝的に似ている一卵性双生児が刺されやすいということのようだ。
このことから、「蚊が好きな体臭が遺伝する」とは断言はできない。
しかし、蚊に刺されやすさという傾向は、何らかの遺伝的なことが関与しているのだろう。
蚊は刺されるとかゆいだけではなく、マラリアなどの病気を広めることもある。
そのため、蚊に刺されやすい特徴がより分かると病気の予防につながる。今後の研究結果に期待したい。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。