- 週間ランキング
会社勤めをしていると、健康診断(健診)を毎年定期的に受けているだろう。
では、健診を受けるだけで、どこまで健康や病気のことが分かるのか疑問に思ったことはないだろうか。
今回は「検診」の必要性について解説していく。
健診の項目は法律で最低限定められている。
身長、体重、腹囲、視力、聴力、血圧測定、心電図検査、血液検査、尿検査、医師の問診・診察などである。
全身をひと通り確認できるので、もちろん健康診断は病気の発見に役に立つ。
なお、健診はあくまで、高血圧や糖尿病、生活習慣病などの病気の予防をするのが目的だ。
一方で検診は、特定の病気を見つけるために行うもの。
例えば、がん検診、歯科検診、脳卒中検診などがある。
検診でどのような検査をするかは病院・施設によって異なる。
次に、大腸がんについて考えてみる。
大腸がんは、男性・女性ともに、人生でかかりやすいがんの順位や、亡くなってしまうがんの順位でトップ3に入る。
大腸がんは、早ければ30代からかかってしまい、40代以降で急に増えてくる。
少なくとも40歳をすぎると、大腸がんにかかるリスクがかなり増加する。
経験上、40代の方の多くは「大腸がん検診」を受けていないように思う。
実際、大腸がんで受診する人の多くは、便に血が混じるとか、貧血の症状がある。
そのような段階で検査をすると、比較的がんが進んでしまっている場合が多い。
早い段階で見つかれば、大腸カメラで完全に治すことができ、再発することもほぼない。
進行した段階で見つかってしまうと、手術が必要で再発しやすく、場合によっては永久に人工肛門をつけなくてはいけない場合もあるのだ。
手術をして大腸がんを取り切れても、再発率をおさえるために抗がん剤をしたり、治療費もかかってしまう。
なお、便の潜血検査だけでは大腸がんを早期発見できないことが多いので、大腸がんの検診には、大腸カメラをおすすめだ。
大腸がんだけでなく、病気になると体力も気力もお金もかかってしまう。
1年から数年に1回検診を受けるだけでよいのだ。
少しでも早く多くの方に、検診を受けていただきたいと願うばかりだ。
執筆者:あやたい
医療制度や医療職・医療現場が抱えるさまざまな問題について考える医師。
日々変わっていく医療現場から生の声や、日常に役立つ医療知識を発信したいという思いで執筆。