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このころ、まだ水木さんはヒーローソングを歌うことに迷っていたそうです。「マンガの歌」だと冷やかされ、しかも顔はテレビに映らなかったからです。
そんなとき衝撃的な出来事が起こります。外で遊ぶ子どもたちが「♪ブロロロ! ブロロロ〜〜〜ッ!」と『バロム・1』の歌を楽しそうに叫んでいたのです。そう、最初は渋ったあのおたけびが子どもたちの心をつかんでいました。水木さんは「僕の歌を歌ってくれている」と感激します。これがアニメ特撮ソングを続けるきっかけのひとつになりました。また、自分が主人公のヒーローになりきり魂を込めて歌うことを心情とし、その後は自然な流れで“おたけび”が増えていったそうです。
♪「変身忍者 嵐! 見参〜!」(『変身忍者 嵐』‘72)
♪「ゴッドマン! ゴッドマン! ゴッドスパーーーーーク!」(『行け!ゴッドマン!』‘72)
♪「セタップ! セタップ! セタ〜ップ!・・・仮面ライダーエーックス! エーックス! エックス〜!」(『仮面ライダーX』‘74)
♪「宇宙の騎士 宇宙の騎士 テッカマ〜ン!」(『宇宙の騎士テッカマン』‘75)
♪「カゲスター カゲスター カゲスター(カゲッ!)」(『ザ・カゲスター』‘76)
♪「ガッキーン アターック!」(『マグネロボ ガキーン』‘76)
〜〜〜他にも数え切れないほど“おたけび”はあります。おそらく日本の子どもたち全員が何かの曲を口ずさみ叫んでいるでしょう。ただ、水木さんはおたけびがトレードマークのようになっていますが、しっとりと聞かせる挿入歌のバラードや優しい曲調のエンディングテーマにも名曲はたくさんあります。基本的に歌唱力が素晴らしいので、機会があればいろいろな水木節を聞いていただきたいと思います。最後に、水木一郎アニキ、約50年僕たちに勇気をくれる歌を歌い続けてくれて本当にありがとうだぁ、ゼ〜〜〜ット!
(新山蹄雄)