ラオス北部に位置するポーンサワンという町。地図上では一応「市」ということになってはいるが規模的には程遠い。夜も早く、8時頃には飲食店も仕事を切り上げ、町の明かりはほとんど街灯のみになってしまう。みんな仲良く家族団らんの時間を楽しんでいるのだろうか。

 健全な夜の中を散策していると、一際光を放つ広場が1つ。昼間は気にも留めなかったが、中心に立つおじさんの像が見事にライトアップされている。ラオスの歴史や政治についてほとんど知識がないため、誰の像なのか全くわからないがおそらくこの国にとっては重要な人なのだろう。そういえば他の町にも同じものがあった気がしないでもない。

 広場には若い男が数グループたむろし、何をするでもなく話し込んでいる。ちょっとやんちゃな雰囲気。他にもサッカーをしている子供もいて、像の周りを囲っている噴水に誰がボールを入れられるかで競っている。面白いのでしばらく見ていると意外と上手く、見事にゴールを決めると彼らは爆笑していた。

 像の前にはいくつかお供え物があったのでご紹介しよう。

・その辺にある枯れ葉
・底に少しだけ水の残ったペットボトル
・弁当にタダでついてくるビニールに入った漬物

 これらはポイ捨てされているわけではなく、花と一緒にたむけられているのだから笑ってしまう。

 後で調べてみると、この像はどうやらカイソーン・ポムウィハーンという革命家のものらしい。ラオス人民民主共和国の初代首相で全国の県庁所在地に設置されているみたいだ。

 アバウトなラオス人なりの敬意の払い方なのだろうか、それともそこにいた人がたまたま反対派の遺族だったのか。おそらく答えはどちらでもなく、彼らは特に何も考えていない。ただ遊んでいるだけで、ただ漬物が余ったので置いてみただけ。いたずら心というわけでもなさそうだ。国民性というものはきっと、教育がどうとか作法がどうのではなく、こういう何でもないところに現れるものだと感じた。

國友俊介

【プロフィール】
國友俊介 (くにとも・しゅんすけ)
旅×格闘技、アジアを自転車で旅をしながら各地のジムを渡り歩いている。目標は世界遺産を見ることではなくあくまで強い男になること。日本では異性愛者でありながら新宿2丁目での勤務経験を持つ。他にも国内の様々なディープスポットに潜入している。
ブログ http://onkunion.blog.fc2.com/

【記事提供:リアルライブ】
情報提供元: リアルライブ