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「すべては両国で変わるから! 両国が運命の日だ!」
4・10両国国技館大会でオカダ・カズチカが保持するIWGPヘビー級王座への挑戦が決まっている内藤哲也。3・27後楽園ホール大会でオカダとの前哨戦を制した内藤は、バックステージでこのようにまくし立てた。
内藤が「20代のうちにIWGP王者になる」と言って挑んだ2012年3・4後楽園大会、「ドームのメインでIWGP王者になる夢」を掲げて挑んだ2014年1・4東京ドーム大会、「2年連続ドームでIWGP挑戦」のチャンスだった10・13両国大会のIWGP挑戦権利証争奪戦。この全ての試合で勝利を収めたのはオカダで、内藤はIWGP王者になる道をことごとく阻まれてきた。
「今後、競い合っていく関係になる」
2007年8月にオカダ(当時は岡田かずちか)のプレデビュー戦の相手を務めた内藤は、試合後このようなコメントを残している。両者の対戦成績はオカダの3勝2敗。オカダがレインメーカーになってからは3勝1敗で優位に立っているが、今回の注目すべき点は、内藤が本隊を抜けて新たなユニット、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンを立ち上げたことにあるだろう。かつてのオカダもそうであったように、こうした変化は勢いを生む。IWGPに近い所にいるのになかなか獲れないという状況は後藤洋央紀に似ているが、後藤は本隊の中にいたため変化をするにも制限があったように見えた。逆に現在の内藤は“制御不能”で、木谷高明オーナーをはじめ団体の方向性についても自由奔放に批判するなど、ファン心理を突いた発言が注目を集めている。
【精神的には内藤が優位】
2012年以降の対戦を振り返ると、IWGPヘビー級王座戦に関しては、全て内藤がオカダを追う形で挑戦していた。前哨戦や調印式でもオカダは終始余裕を崩さず、内藤が一方的に挑発していた感は否めない。しかし、今回に関してはこれまでとは違う流れが来ているように思う。『NEW JAPAN CUP 2016』の開幕前に内藤は「オレが優勝しても両国では挑戦しない。大阪城ホールで挑戦する」と発言。3・12青森マエダアリーナ大会で後藤を破って優勝し、IWGPヘビー級王座への挑戦を表明するも「4月の両国国技館? 勝手に決めんなよ。俺のタイミングで挑戦するから」と宣言。ダウンしていた後藤にロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのメンバー全員で公開リンチを行った。
そこに、後藤をCHAOSに勧誘していたオカダが石井智宏とともに救出に駆けつけて事態を収拾。マイクをつかんで内藤に対し「4月10日の両国で俺に挑戦して来い!」と言い放つと、内藤は「チャンピオンのリクエストだからさぁ、オカダの望みどおり両国でやってやるよ!」と応えた。レインメーカーショック以降、オカダを追い続けた内藤としては、してやったりの展開。「大阪城で挑戦する」という発言はカムフラージュで、オカダもファンも内藤の掌の上で転がされていただけなのではないかと思えるほどだ。
今回のIWGP戦は、内藤が初めて精神的に優位な状態で臨むことになるだろう。今の内藤にはEVIL、BUSHIというロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのパレハ(仲間)がいる。これまでも試合中、バレットクラブのメンバーに介入されたことがあるオカダにとっても、より厄介な相手であることは間違いない。特にBUSHIの毒霧によるアシストは成功率が高く、内藤の対戦相手を大いに悩ませている。オカダも3・27後楽園大会でグリーンミストを浴びて動きを止められた。また、冒頭のコメントは内藤が何かを予告しているように聞こえなくもない。それが何を指しているのか知る由もないが、今回のチャンスを逃したら内藤自身はもちろん、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンとしても失速する危険性をはらんでいるため、ベルト奪取のためには手段を選ばないだろう。
これまでは内藤の思惑を打ち砕き続けてきたオカダだが、今回ばかりは簡単にはいかないだろう。内藤が必殺技デスティーノで勝利し「運命の日」になるのか? それともオカダがレインメーカーで勝利し、いつもの光景が見られるのか? 4・10両国決戦まであと1週間だ。
(増田晋侍)
<新日Times VOL.12>
【記事提供:リアルライブ】