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ペットボトルの蓋を開けるときに、手こずった経験ありませんか? それは、握力の低下が原因かもしれません。
普段の生活でものを強く握る機会は少なく、鍛えることもあまりしないので、握力は意外と落ちやすいんです。でも、実は握力は長生きと関係が深いとされ、重要な筋力でもあるのです。
今回は、医師の小田切ヨシカズ先生に、握力と長生きの関係についてお話をお聞きしました。
■握力の強さは病気のリスクに関係
「握力と長生きの関係は、さまざまな研究で明らかになっています。握力の強い人と弱い人とに分けて行った実験によれば、強い人の方が脳卒中や認知症のリスクが少ないという結果が出ています。
他にも、心臓病などの循環器系の病気の発症リスクも、握力の強い人の方が少ないとも言われています。
また、単に歳を取ると足腰が弱くなり転倒しやすくなるところを、瞬時に近くのものを掴んで回避できるという、日常的な面でのメリットも、長生きに関係していると言えるでしょう」
■握力は低下に気付きにくい
「握力とは、具体的に言えば前腕部の浅指屈筋と深指屈筋、指を動かすための母子内転筋と長・短母指屈筋などを組み合わせたものです。
男性の平均が48キロ程度。女性が29キロ程度といったところ。40代前半あたりでピークを迎え、そこから徐々に落ちてきます。
握力はなかなか測る機会もないため、衰えていることに気が付きにくいというのも、低下を招く要因となります」
■開いて閉じて簡単に筋力向上
「握力を鍛えるのには、ハンドグリップを使うのが一般的です。もしなくても、手を広げたり閉じたりを繰り返すだけでも効果はあります。それをお風呂の中など、水中で行うとさらに負荷が大きくなり、より効果も得られます。
近くに公園などある方は、鉄棒にぶら下がってみるといいでしょう。体重を支えるのに、指の力や上腕の力が必要になります。そこから懸垂をして体を持ち上げれば、背筋や胸筋などの全体の強化に繋がります。
ちなみに、テレビなどで見かけるリンゴを握りつぶすシーン。あれを可能にするには、80〜90キロぐらいの握力が必要になります。新たな特技を身につけたい方は、チャレンジしてみてもいいのではないでしょうか」
握力と長生きの関係性をお伝えしましたが、握力のみを鍛えることが、必ずしも長生きに繋がるとは限らないようです。実験においても、握力のみ強い人を対象にしたわけではないからです。握力の強い人の多くは、その他の筋力も発達しています。握力を鍛えつつ、バランスよく全身も鍛えるのが正しい健康法と言えるでしょう。
【取材協力】
小田切ヨシカズ・・・湘南育ちのサーファー医師。ワークライフバランス重視の36歳。現在、横浜の内科クリニックに勤務中。
【記事提供:リアルライブ】