プロ野球は2月1日、いよいよキャンプインするが、4年ぶりのAクラス入りを目指す中日ドラゴンズが、“ある爆弾”を抱えることになった。それは、落合博満GM(62)と谷繁元信監督(45)の確執だ。

 昨季終盤、落合GMはチームの功労者でもある山本昌投手(50)、和田一浩外野手(43)、小笠原道大内野手(42)、谷繁捕手、朝倉健太投手(34)といったベテラン陣をバッサリ切り捨て、若返りを図った。

 ただ、谷繁監督は和田、小笠原に関しては、翌年も戦力として考えていたため、落合GMとの間にミゾが生まれた。現実として、和田は打率.298、小笠原は.294の好打率を残しており、今季も構想に入っていたのだ。ところが、落合GMの若返り策の前に、2人は強制引退させられてしまった。

 これで終わりならまだいいのだが、ここに来て、落合GMと谷繁監督とのバトルが再燃しかねない事態に陥ってしまった。それは、大ベテラン・多村仁志外野手(38)の獲得だ。中日は1月15日、多村と年俸300万円(推定)で育成選手契約を結んだことを発表した。

 多村は昨オフ、DeNAを戦力外になったが、どこからもオファーがなかった。手を差し伸べたのは、“若返り”を図ったはずの落合GMだ。01年の秋季キャンプで、横浜の臨時コーチを務めた落合GMが、多村を指導しており、2人はいわば師弟関係にあたる。

 かつて、06年オフ、中村紀洋内野手(前DeNA)がオリックスと年俸交渉でもめて自由契約になった際、獲得する球団がなかったことがある。そこで、中村と師弟関係にある落合監督(当時)が翌07年のキャンプにテスト生として呼び、育成選手を経て、支配下選手に昇格し、レギュラーとして活躍したケースがあった。今回もまた、そのときと同じパターンだ。

 ただ、こうなると、谷繁監督以下、首脳陣からは「だったら、和田を残しておけば良かったのに・・・」とブーイングが飛んでいるのだ。多村は3月28日で39歳となり、チームの若返り方針には逆行する補強だ。

 しかも、和田が抜けた後の左翼のレギュラー候補は、FA権を有しながら、あえて残留の道を選んだ藤井淳志外野手(34)と、メジャー66発の新外国人であるダヤン・ビシエド外野手(26)。保険の意味で、リカルド・ナニータ外野手(34)も残留させたため、新たに外野手を補強する必要はない現状。

 昨季、多村は中畑清監督(当時)に干される格好となり、わずか4試合の出場で、1安打打ったのみ。横浜時代の04年には40本塁打を放った長距離砲だが、年齢的に今季どこまでやれるかは未知数だ。

 「谷繁監督と多村は、横浜時代のチームメイトですから、谷繁監督自身、多村の潜在能力はわかっているはずです。ただ、こういう形になると、『和田を引退させないでほしかった』と思うのは当然のこと。左翼手はたくさんいますし、多村が支配下選手に昇格しても、役どころは右の代打要員でしかありません。だとしたら、『どうせなら、もっと若い選手を獲ってほしかった』となるのです」(某スポーツ紙記者)

 落合GMの息のかかった選手である以上、谷繁監督もチャンスを全く与えないわけにもいかず、頭が痛いところだ。中日は、落合GMと谷繁監督とのバトルが再燃した状態で、キャンプを迎えることになる。

(落合一郎)

【記事提供:リアルライブ】
情報提供元: リアルライブ