2016年のチームスローガンが発表された。『超変革 Fighting Spirit』。金本知憲監督(47)は就任以来、チーム改革という意味で変革なる言葉を何度も繰り返し、語ってきた。「それをさらに超えて」との思いを込めて、『超変革』となった。

 「金本監督は掛布(雅之=60)二軍監督とも蜜に連絡を取り合っています。生え抜きのクリーンアップを育てることを目標としており、とくに横田(慎太郎=20)に期待しているようです」(プロ野球解説者)
 金本監督はスタッフ会議でこうも語っていたそうだ。「(シーズンで)30本以上のホームランを打つ生え抜きのバッターが育っていない」と。たしかに、その通りである。85年以降、阪神生え抜きのバッターで30本以上の本塁打を放った選手がいない。その懸念はフロント経営陣も持っている。
 「ファンからも『まずは若手を育ててくれ』が多い」(前出・同)
 こうしたファンの声は金本監督にも届いている。しかし、伝統球団である以上、勝たなければならない。「若手を育てながら勝つ」というのはもっとも難しいことだ。

 来季、勝利を目指すほうのチーム変革も見えてきた。
 まず、金本監督は「2番バッターを重要視する」という。通常、2番バッターといえば、犠打や右方向へのバッティングが求められるが、理想は3番バッターのような攻撃的な2番バッターだ。その『攻撃的2番バッター』に指名されるのは、大和(28)ではないだろうか。
 「大和は和田政権でも2番を任された時期がありますが、そのときは犠打や右方向へのバッティングを求められていました。大和は器用なので、そういうこともこなせる」(球界関係者)
 しかし、金本監督の目にはこうしたチームバッティングによって、大和の本来の持ち味が消えてしまったと見ている。秋季キャンプ中、金本監督は打撃練習中の大和のそばに行き、「インコースは引っ張れ、強い打球を打て!」と指導していた。

 また、金本監督は投手継投については矢野燿大・作戦兼バッテリーコーチ(46)と香田勲男投手コーチ(50)を指して、「全て任せる。(自分は野手出身だから)分からないから」と各メディアに語っていたが、実際は違う。9回の最後のマウンドを託すクローザーに関しては、自分のカラーを出そうとしている。
 チーム関係者がこう明かしてくれた。
 「呉昇桓で固定しないつもり。点差、相手打線が下位にまわったり、めぼしい代打が残っていないなどの条件次第では、若手に経験させるつもりです」
 あくまでも呉昇桓が残留した場合を前提にしての構想だが、金本監督は若手を実戦で使っていくという。その一環として、僅差でないゲーム展開では二軍から昇格したばかりの若手投手に9回最後のマウンドを託し、たとえそれで試合を落としても、良しとするという。

 「先発5番手として、岩崎優(24)に期待しています」(前出・チーム関係者)
 大和、岩崎が「育てながら勝つ」の「勝つ」の部分を背負うことになりそうだ。「若手を育ててくれ」のファンの声は金本監督にも届いている。だが、ペナントレースが始まれば、ファンは許してくれないとも覚悟しているそうだ。若手がチャンスを生かせなかったとき、金本監督は彼らをかばわなければならない。かといって、ベテランも無下にできない。金本監督の目指す変革とは、決して平坦な道ではない。

【記事提供:リアルライブ】
情報提供元: リアルライブ