所属する太田プロダクションの芸人部門では、ヒエラルキーの最上部に位置。明石家さんま、ビートたけしらと同じ“オレたちひょうきん族世代”であるにもかかわらず、おごり高ぶりはいっさいなく、ピンでマイクを向けられると、なぜかいまだに緊張する。上島竜平、肥後克広、寺門ジモンのダチョウ倶楽部は、奇跡のトリオといえる。

 今年、芸能生活30周年を迎えたにもかかわらず、メモリアルとして神輿に担がれることはなく、ひっそりしっぽり、祝われる。地上波では、同世代のさんまが還暦を迎えるSP番組がこぞってプランニングされているにもかかわらず、ダチョウの場合は、刺し身のツマのように「結成30周年」が書き加えられるだけだ。しかし、世間は知っている。リアクションと天然ボケと肉マニアによる3人が、バラエティ界になくてはならない存在であるということを。

 先日、ソフトバンクのCM会見で、ダチョウの“ウケる鉄板ギャグベスト3”が発表された。3位は、怒って→ジャンプで→ドン。2位は、「どうぞ、どうぞ、どうぞ」。1位は、「聞いてないよぉ」。誰もが1度は使ったことがあるであろう3大ギャグだが、驚くべくらくは、伝説のバラエティ番組『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!』(日本テレビ系)で咄嗟に言葉にした「聞いてないよぉ」が、今なお支持されている点だ。これは、93年の“流行語大賞”で銀賞を受賞。20年たった今では、そのルーツを知らない世代も使っているのだ。

 熱湯風呂やアツアツおでんなど、一般人では決してまねすることができない熟練業も併せ持ついっぽうで、場が和むギャグもしっかりキープ。これが、著しく変わるお笑い情勢においても、ダチョウが唯一無二のポジションをキープできている理由だ。

 上島が後輩芸人からひたすら労われる“竜平会”からは、カンニング竹山や土田晃之、有吉弘行、劇団ひとり、デンジャラス・ノッチなど、多くの芸人が売れた。芸人に愛される上島、肥後。肉を愛でる寺門。絶妙なバランス感覚で成り立っている3人は、奇跡という名の運命に導かれたに違いない。(伊藤由華)

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