亀梨和也、独立後、初の映像作品は「北方謙三 水滸伝」初挑戦の馬上アクション8カ月特訓
亀梨和也(39)が、WOWOWで26年に放送・配信の連続ドラマ「北方謙三 水滸伝」で、法に背いても正義を貫き腐敗した国家権力に立ち向かう梁山泊(りょうざんぱく)の、天下希代のやり使い林冲(りんちゅう)を演じることが26日、分かった。今年3月に独立した亀梨にとって、24年12月から撮影が始まった今作は、個人事務所設立後に撮影に臨んだ初の映像作品となった。時代劇で初めて武人を演じ、馬上アクションにも初挑戦し7~8カ月もかけて本格的に習い、習得。「完全に亀梨和也という人間とは離れ、日に日に自然と林冲にトリップしていく感覚があって、新しい自分自身の側面を見つけられた気がします」と語った。
林冲は、槍術にかけて右に出る者のいない天才武人で、豹子頭(ひょうしとう)のあだ名でも知られ、その鋭さとスピードを武器に、騎馬隊を率い場を駆け抜ける姿は“風の武人”だ。ただ、圧倒的な武に恵まれながらも、国家の策略によって愛する者を失った過去が人生と戦いに影を落とす。そんな内に深い悲しみを抱えながらも、屈指の強さと人気を誇る英傑として、作家・北方謙三氏の「水滸伝」の出版元・集英社が、累計1000万部突破記念として実施した読者アンケート「キャラクター人気ランキング」で、好きな人物1位に輝いた人気キャラだ。
撮影は、梁山泊(りょうざんぱく)の頭領・宋江(そうこう)役で主演の織田裕二(57)が「いてつく寒さ…洞窟、過酷な環境下での長時間に渡る撮影(中略)雪山、また別の洞窟、山、川、湖と…一体、何十県行っただろう。どれだけ力を入れているのか」と評するほど、こだわり抜いたものだ。亀梨は「四季を感じながらの撮影でした。林冲と同じように、冬は凍えるような苦しい寒さの中で撮影をして、春には緑の美しさと花の香りを感じ、そして夏の暑さの中で大きな山を登る。1年を感じながら、1つの作品ではなかなかできない経験をさせていただきました」と感謝の思いを交え振り返った。
林冲を演じるにあたり「強さと弱さ・太さと細さ、のようなどちらでもない内面をテーマとして常に持って臨みました」と自らの中にテーマを持っていた。「時代劇で武人の役を演じるのは初めてだった」上、「本格的な馬上でのアクションも今回が初めての経験でした」と馬に乗ったアクションにも挑戦。「自分のスキルとしては全くないところからのスタートだったので、7~8カ月かけて本格的に習って、馬上で違和感なく演じられるところまで成長できたので、アクションにも注目してもらいたいです」と、馬上アクションだけで約8カ月かけて習得したと明かした。
織田と、もう1人の頭領・晁蓋(ちょうがい)を演じた反町隆史(51)との共演からも、大いに刺激を受けたようだ。「撮影現場では織田さんや反町さんをはじめ、自分がこの世界に入る前からテレビで拝見していた方たちばかりでしたが、おふたりがすごく自然体で我々にも接してくださり、『誰も壁がなく同じ志を持って現場にいる』という作品とリンクするような空気感でした」と感謝を重ねた。
作品については「本作からはどの時代にも通ずる人間の深さであり浅さであり、生きるというメッセージを感じます。善悪という簡単なものではなく、人それぞれが正義や志を持っていて、複雑な交わりの中でゆがんでしまったものをどう捉えるのか。そういった人間模様の複雑さ、難しさを表しているのが『北方謙三 水滸伝』の魅力の1つだと思います」と評した。その上で「生きていく上で何を思い、誰を思うか、そういった温かさをこの作品から感じていただければと思います」と呼びかけた。
「北方謙三 水滸伝」の魅力に取りつかれ、高校時代から愛読してきた、WOWOWの大原康明プロデューサーは「林冲は、『水滸伝』読者から圧倒的な支持を集めています。誰もかなわないほどの強さを誇り、やりの腕前は天下一。しかし、その胸の奥には切ないほどの弱さも併せ持ちます。私も林冲の魅力に取り憑かれた人間のひとりです」と林冲を評した。その上で「誰なら林冲を演じることができるのか。それは、『水滸伝』をはじめて読んだ高校時代以来、永遠のテーマでした。そんな中、亀梨和也さんと他の作品でご一緒した際に、華やかな佇まいでありながら、誰よりもストイックに作品に向き合われる姿、お芝居の力強さ、繊細さを間近で拝見し、心をわしづかみにされました。林冲を演じられるのは、亀梨さんしかいない。そう確信しました」と亀梨をキャスティングした理由を説明した。
その上で「スタジオで衣装に身を包み、初めてカメラの前に立った亀梨さんの姿を見た時のことが今でも思い出されます。スタッフは皆、息をのみました。『林冲が、ここにいる』と」と、キャスティングに間違いがなかったと衣装合わせの段階で確信したと強調。「冬にはマイナス10度の雪山で撮影に挑み、吹雪の中を猛進し、夏には馬に乗り、平原をひた走る。その身体から放たれる気迫やたけだけしさは、まさに原作の林冲そのものです。あの頃、思い描いた姿でした。きっと本作をご覧いただいた誰もが、亀梨さんの熱演に心を奪われるはずです。ぜひ、ご期待ください」と、亀梨の妥協のない作品と役への向き合いを語った。
◆「北方謙三 水滸伝」 累計発行部数1160万部を記録する「大水滸伝」シリーズの1つ「水滸伝」全19巻を完全映像化。腐敗がはびこる乱世に、正義を信じるひとりの下級役人が立ち上がった。その名は宋江(織田裕二)。彼が記した“世直し”の書「替天行道」は、時代に抗う者たちの心を震わせる。裏社会に生きる者、軍を追われた者、すべてを捨てた者たちが、旗のもとに集結。戦う理由は違えど、志はひとつ。信じる者のため、旗のもとに集結した108人が、国家という巨大な敵に挑む、理不尽な時代を変えようとする者たちの、命を懸けた反逆の物語。