- 週間ランキング
はらだ先生は2014年『恋愛』でデビューしました。
世話焼き攻め×ビッチ受けの日常を描いた『やたもも』で不動の人気を確立。
以来『にいちゃん』『カラーレシピ』などの問題作、『ハッピークソライフ』などのコメディを手掛けてきました。
ヒリヒリした感情を浴びせる画力、人間の本質を抉り出す衝撃的なストーリー展開、生活感あふれる背景描写など、その魅力は語り尽くせません。
エロ度★ 日常★★★ 泣ける★★★
あらすじ
やんちゃしていた頃の過ちを引きずり惰性で生きていたコンビニ店員・幸紀。
チンピラとトラブって刺された彼の前に現われたのは、白い翼を背に携えた、記憶喪失の天使だった。
部屋に帰ったら何故かいた天使となし崩しに同棲を始めた幸紀は、話し相手がいる幸せに気付かされ……。
エロはちょっと……なBLビギナーにおすすめしたいのが『ワンルームエンジェル』!ドラマ化で知名度が高まったので、ご存知の方も多そうですね。
本作はアラサーダメ男・幸紀と居候・天使の日常ライフが中心のストーリー。
受けと攻めの心の繋がり、関係性の変化にフォーカスしたストーリーはヒューマンドラマの趣が強く、クライマックスの雪遊びのシーンはカタルシスが得られました。感動的なラストは号泣必至!
実の弟を見捨てた罪悪感に苛まれ続け、雑な生き方に逃げざる得なかった幸紀の孤独もさることながら、カミングアウトの行き違いが悲劇をもたらした天使の過去には、コミュニケーションの難しさを考えさせられます。
生まれながらの無鉄砲で損ばかりしてきたやさぐれヤカラ男と、ツンツンした言動の裏にナイーブな本音を秘めた美少年の交流には年の差好きもぐっとくるはず。
Hなしでも大満足なプラトニックBL好きは要チェック!本作の自堕落シェアライフにハマった人には、同作者の『やたもも』シリーズをおすすめします。
エロ度★★★ リバ★★★ 下ネタ★★★
あらすじ
エリート会社員・粕谷は深夜のオフィスで恋人の社長令嬢とハードプレイに耽っていたのがバレ、ド田舎に左遷されてしまった。一日も早く手柄を上げて返り咲こうと奮闘するも、アナニー狂いの隣人・葛谷とひょんなことからセフレになってしまい……。
頭からっぽで笑えるBLを探しているなら『ハッピークソライフ』!
息するように下ネタが繰り出される、ハイテンションギャグ漫画です。
まず馴れ初めからして衝撃的。扇風機にバイブを装着し、ピストンマシーンに改造している隣人と会えば、「へ、変態だー!!」と仰天しますよね。
しかしご安心ください、粕谷も立派に変態です。お尻を開発されるのが大好きなカスクズコンビなのです。
注目すべきはお尻で気持ちよくなるのが好きなだけで必ずしもゲイではないこと。
セフレ関係はギブアンドテイクの産物、本人達は甘い空気と無縁な腐れ縁。
故に毎度の如く低レベルな争いを繰り広げ、隙あらば受けに回らんと悪知恵を絞り、挙句ド滑りして醜態を晒すのがお約束です。
ここだけ抜粋しても十分カオスなのですが、プレイの幅を広げるアイテムを2人に貸すオカルティックな「神」、葛谷に恋する純情サイコパス・レオ、性癖暴露で場を凍らせるリョナラー・虎太郎など、エキセントリックな準レギュラー陣がストーリーをひっかき回してくれるので飽きません。
食わせ者揃いの女性陣も素敵です。リバに苦手意識がある方もぜひ読んでください!新しい世界が拓けますよ。
エロ度★★★ バンド★★ 青春★★★
あらすじ
女子にモテたい下心からバンドを組み、ボーカルを担当している朝一。ある時朝一のバンドにサポメン加入したヨルは、端正な容姿と類いまれな歌声を持ち、朝一の劣等感を刺激してやまず……。
BL界において『ギヴン』(キヅナツキ先生)と双璧を成すバンド漫画。
本作の見所はヤリチンクズ攻め×一途美人受けのすれ違い。そこに劣等感や嫉妬、憧れや独占欲のクソデカ感情が絡み、疾走感ある青春ストーリーに仕上がっています。
同性に欲情している事実を認められずヨルやファンの子に当たり散らす朝一、手荒な扱いに耐えて彼を想い続けるヨル……2人の情緒がグチャグチャになるのと比例し、そのリビドーを発散するかのようなライブシーンの、エキサイティングな盛り上がりが際立ちました。
ハードな濡れ場も必見!オラオライキり散らしていた朝一がヤクザの不興を買い、砂利入りローションで拷問されるシーンはトラウマになりかねません。
一方で「犯される攻め」の不憫さに滾り、アブノーマルな性癖に目覚めた人も多いとか。
互いの気持ちを確認し両思いになるまでが1巻。同棲突入後の描写が中心となる2巻はギャグ成分+糖分多め。
普段は天然不思議ちゃんのヨルが、咄嗟の時に朝一や女子を庇う、行動力を兼ね備えたイケメンに変わるのもツボでした。
また、ひより・虎太郎・ユージは『ハッピークソライフ』にも出演しており、同じ世界線な事実に驚きます。
朝一&ヨルが葛谷&粕谷と出会うことはあるのでしょうか?
ひより:ヨルの追っかけ→葛谷のバイトの後輩
虎太郎:大阪ライブで朝一たちと共演したバンドのメンバー→葛谷の友人
ユージ:朝一のバンドの元ベース→粕谷の会社の後輩
エロ度★★ お仕事★★ 執着★★★
あらすじ
無愛想な美容師・笑吉の職場にイケメンの福介が移ってきた。福介は持ち前のトークスキルと確かな技術で次々指名を獲得するも、笑吉はへらへらした彼が気に入らず衝突を繰り返し……。
お仕事ものと聞いて真っ先に思い浮かぶのが本作。
前半は美容室の裏話や美容師のライフハックが描かれ、スパダリ攻め×強気受けケンカップルの波動にニヤニヤしながら読み進めていたものの、中盤のどんでん返しから一転サイコホラーに!
ストーカーの本性を露わにした福介が笑吉を監禁調教するエピソードは、視覚的にショッキングな電流プレイも相俟って、本命を堕とす為なら手段を選ばない執着攻めの病みっぷりに震え上がりました。
絶対「計画通り」ってニチャアしてる……。この結末をハッピーエンドと見るかメリーバッドエンドととるか、ぜひ皆さんのご意見を聞かせてください。
エロ度★★ 鬱★★★ タブー★★★
あらすじ
幼い頃自分に悪戯した近所のにいちゃんが忘れられないゆい。数年後、高校生になったゆいは偶然にいちゃんと再会するが……。
小児性愛のタブーに切り込んだ、はらだ先生最大の問題作。
グルーミングされた被害者と彼を性搾取した加害者の共依存、さらには加害者の生い立ちまで掘り下げ、フィクションとして切り離せない息詰まるリアリティーの獲得に成功しました。
幼い頃に歪められた性癖を矯正できず、遂には家族にも見放され、苦悩するにいちゃんと共に堕ちることを選んだゆい。
ラストページの後ろ姿と、自分に言い聞かせるように繰り返す言葉に悲壮感が漂います。
現実に根差した重いテーマを扱っている為か、雰囲気は終始鬱々しくシリアス寄り。ゆいの友人・まいが重要な役割を果たしています。
はらだ先生作品の魅力は共依存を通り越し狂依存MAXな執着攻め、あるいは執着受けの暴走ぶり。
『カラーレシピ』の福介、『にいちゃん』のゆいしかり……いずれも読者が引く位のクソデカ感情を拗らせ、好きな人を手に入れる為なら倫理から逸脱した嘘や、刑事罰が下る犯罪すら厭いません。
拉致監禁拘束洗脳下剋上どんと来い!ヤンデレの計画的犯行に戦慄してください。
Hのバリエーションが充実しているのもはらだ先生作品の魅力。
『よるとあさの歌』の砂利入りローション尿道注入、『カラーレシピ』の拘束電流プレイなど、SMを含むマニアックな嗜好もグッドですが、女体化・幼児化・触手飼育etc、極め付けが着脱チンコ遠隔操作と、公式でやりたい放題な『ハッピークソライフ』は抱腹絶倒です!
いいぞもっとやれ。
はらだ先生作品では攻めだって処女じゃいられません、平等にケツを狙われます。
もともとリバは好き嫌いが分かれるジャンル。しかしはらだ先生はリバに肯定的で、受けと攻めのリバ率が非常に高し。
『よるとあさの歌』ではオラオライキり散らしていた攻めがヤクザにレイプされました。
伝説の砂利入りローションです。他、飲尿強要など尊厳破壊レベルの仕置きを受けています。こ、これが「わからせ」……。
攻めが受けに回った時しか得られない栄養がある!リバは一組で二倍お得、攻めがヤられる背徳感はまた格別!
『ハッピークソライフ』には葛谷・粕谷、それぞれを狙っている人物が登場。
カスクズコンビがカップル成立するのが先か、ムラムラした外野にヤられてしまうのが先か、地獄のチキンレースに滾ります!(葛谷は手遅れですが……)
はらだ先生作品のヘヴィな世界観が好きな人には、朝田ねむい先生の漫画をおすすめします。
代表作『マイリトルインフェルノ』は、裏社会に属する天才ハッカー×彼のオモチャにされた浪人生ハッカーの話。
BLの枠におさまりきらないノワールなドラマ性と屈折したキャラクターが売りなので、はらだ作品の読者は波長が合うのではないでしょうか。
幼児強姦殺人の冤罪を着せられ服役していた元神父・秋鷹一郎。
出所後も偏見に苦しんで職を転々とし、自殺を考えある町に流れ着いた際、品行方正な神父・木場恭介に声をかけられ……。
幼児強姦殺人犯攻め×冤罪被害者受け。木場の行いは到底許されざることですが、元被害者の苦しみと加害者の悔恨を同時に抱え、秋鷹に縋り付く姿には哀れを催しました。
片や愛情表現を間違えた木場に、片や父に人生を壊され、赦しと救いを求める彼等は報われるのでしょうか?
『にいちゃん』と合わせて読んでほしい問題作です。
営業課の万年平社員・大門は、同期でエースの小島に何かと絡まれる日々を送っていた。
ある時小島の傲慢な態度に堪忍袋の緒が切れた大門は、衝動の赴くまま彼を押し倒し……。
はらだ先生が描く執着攻め、執着受けに萌える方は、イイモ先生の『悪癖』を読んでください。
一見面白味のない平和主義者・大門をわざと挑発し、自分を襲うように仕向けた魔性のドMビッチ・小島。
何から何まで正反対の2人が危ない本性を探り合い、倒錯の極みの悪癖で結ばれる展開には、インモラルな興奮が止まりませんでした。
暴力を快楽に置き換えるHシーンはガッツリ濃厚!『カラーレシピ』にハマった人は特に楽しめます。
『怪物』『正欲』他、性的マイノリティを扱った社会派映画のヒットを鑑みて、『にいちゃん』を第1位に選出させていただきました。
テーマ的に危うい感じもしますが、個々人に生き辛さを押し付ける「多様性」の是非がたびたび議論される令和の今こそ、より多くの人に届けてほしい作品です。
連続ドラマ向きの青春バンド物は実写化向き。
濡れ場の多さがネックですが、ライブシーンは絶対映える!実際に演奏と歌声を聞いてみたいです。
前半は美容師のお仕事ものとして、中盤以降はサイコホラー風味のサスペンスとしてアピールできるのが強み。
Netflixなどのサブスク独占配信で、攻めた表現に挑戦してほしいです。
以上、はらだ先生作品の魅力やおすすめ作品を紹介しました。
これからはらだ作品を読もうと思っている方、面白いBL漫画を探している方の手引きになれば嬉しいです!