自立型エンタテインメントロボット『aibo(アイボ)』(ソニー)のブログラミング機能を使って、新たなアート作品の制作に挑戦した「aibo×graphic artコンペティション」が12月19日に東京・渋谷モディ1階にある「ソニースクエア渋谷プロジェクト」で、行われた。


 絵の具を染み込ませた特別な足裏パットをつけたaiboを、自由にプログラミングして紙やキャンバスの上を動かすことにより、オリジナルな絵を描いていく。直進させると直線、その場で旋回すると円形を描く。その他にも、蹴る、穴を掘る、ダンスをさせるなど様々な動きをプログラミングすることにより、味のある表現ができる。


 学生や若手クリエイターたちが、aiboが描く“オリジナルな絵”に、各自の表現方法を組み合わせることで、「aiboといっしょに渋谷を感動で満たそう」をテーマにした、新たなアート作品を制作した。


 コンテスト出品作


 ■作品名:いたずら




 ■コメント


 渋谷を舞台にaiboがペンキで街、人を汚してしまい人々がスクランブル交差点に集まるというストーリーをビジュアル化。人をメインの作品にしたかったので、地面、壁に比べ、汚れ具合を調節。コントラストを付けた誘目性の高いものにした。5つの人形を違うカラーリングにして、人種、文化、思考の違いを表現。aiboを通じてそれらの違いを超えて共存しているところを表現した。


 ■作品名:虹とaiboと渋谷




 ■コメント


 人々のそれぞれの個性を色として表現し、渋谷の街にした。aiboの足跡で描いた二次は、自分の中では大成功だと思っているので、ぜひ注目して!


 ■作品名:○(えん)




 ■コメント


 渋谷の「ファッションや様々な流行が生まれる街」というイメージから、aiboと新しい流行を作ろう!と考え、4枚のテキスタイルを制作。コンセプトは、「aiboと人間の関係」。テキスタイルには1枚ごとに「春夏秋冬、aiboと一緒にやりたいこと」というテーマがあり、それぞれaiboと過ごす様々な人や家族をイメージして、プログラミング、デザインした。


 また、aiboには「しつけの仕方や環境によって性格が変化する」特徴があることから、「渋谷で育ったaibo」の気持ちや存在を大切に扱いたいと思った。その思いから、aiboとのグループワーク=(aiboを素材を作る係などと扱わず)同じ目線に立って共同作業がしたいと考え、私たちも絵を描く場面では、aiboと同じように手に絵の具を付けて描いた。


 ■作品名:prayer




 ■コメント


 コンセプトは「融和」。人の心に温もりを与えるaiboが、人とロボットの共存する明るい未来への1つの光になると感じた。「融和」をイメージする水のテクスチャーをaiboと一緒に描き、人とテクノロジーという2つの世界をつなげるその小さな「ウミ」を希望の光が優しく照らしている。


 今回aiboのビジュアルプログラミングを可視化させたいと考え、より柔らかな質感が出るように試行錯誤した末、糸を使ってペインティングした。aiboの軌跡を描きつつ、糸の先の動きが読めない偶然性は、完全には支配できない自然を連想させる。


 ■作品名:スクランブル交差犬




 ■コメント


 アイボが人と遊ぶように渋谷と戯れるのをイメージして作製。私は渋谷はいろいろな人で昼夜問わず賑わっていて、イベントがあると何故かスクランブル交差点に人が集まってくる不思議な場所だと思いそれを作品にしたくてこのような形にした。


 渋谷をただただ建物で表現しても面白くないと思い擬人化することで人とも渋谷とも戯れている様子を表わした。スクランブル交差点はアイボの足跡で作製。散歩するかのように描かせたかったので、一筆書きで描けるようにプログラミングした。手の表面は渋谷の街並みの写真。





 参加した5チームの作品をイラスト、ムービー、コピーライティングなどで活躍する、話題のマルチクリエイターのパントビスコ氏、ソニー株式会社 AIロボティクスビジネスグループ コミュニティ企画推進室の石田敦雄氏、ソニー株式会社 ブランドデザインプラットフォーム クリエイティブセンターの前坂大吾氏の審査員3名が総合評価し、優勝チームを1組選出した。





 優勝作品は、4枚のテキスタイルで「aiboと人間の関係」を表現した、作品名「○(えん)」。選定理由についてパントビスコ氏は、「一つひとつのaiboのモーションにストーリーがあり、四季に寄り添って人間が描かれている点が、aiboとの親和性を感じ、一番共感したポイントです」と、話した。


 石田氏は、「人とのつながりということで、さまざまな世代のことも考えて作られている点が良いですね」と感想を。前坂氏は、「人の生活にすっと入っていくスカーフを選んだとのことでしたが、人との共生というaiboの本質が、作品のコンセプトに含まれている点がとても良かったです」と、評価した。


 優勝作品に選ばれた受賞者は、「実はもともとロボットに興味がありました。今回aiboの自由な動きによって思いもよらない面白い表現が生まれました」と喜びを語った。また、「参加する前はロボットは人の手で操られていると思っていましたが、aiboは感情があるので、まるでパートナーのように感じながら一緒に作業することができました。今までやったことのなかった、アートとテクノロジーの融合を経験して、『偶然が生み出す美』に心動かされました。これをきっかけに今後の作品にそういった『偶然性』を生かしていきたいです」と、コメントした。


 なお、優勝作品は2020年1月14日~2月初旬にかけて、ソニースクエア渋谷プロジェクト内で展示されるほか、渋谷モディ壁面大型街頭ビジョン「ソニービジョン渋谷」でも紹介される。ソニービジョン渋谷での放映は、9時~24時毎時間あたり数回が予定されている。


 






 


作品名「○(えん)」-春


作品名「○(えん)」-夏


作品名「○(えん)」-秋





作品名「○(えん)」-冬


糸を使ってペインティング


手の表面は渋谷の街並みの写真


マルチクリエイターのパントビスコ氏




情報提供元: News Lounge