アニメ「BLAME!」トークショーが開催!


 劇場アニメーション『BLAME!(ブラム)』(監督:瀬下寛之/配給:クロックワークス)【劇場∞Netflix】トークイベントが12日、都内で開かれポリゴン・ピクチュアズの守屋秀樹取締役、NETFLIXのジュリアン・ライハン氏が登場し、数土直志氏が司会を務めた。


 『シドニアの騎士』などで知られる漫画家・弐瓶勉氏のデビュー作『BLAME!』を映像化。人類が「違法居住者」として駆除・抹殺される暗黒の未来が舞台。無限に増殖を続ける、超巨大な「階層都市」の中をある目的から探索し続けている霧亥(キリイ)とわずかながら生き残った人類が出会ったことから始まるSFアクションとなる。


 本作は今月20日から劇場公開とNetflixによる190ヶ国でのオンラインストリーミングサービスを同時に開始するという史上初となる取り組みということで、その狙いなどが語られることとなった。


 まずは、NETFLIXとポリゴン・ピクチュアズの関係が守屋氏から語られることに。NETFLIXの日本法人がない頃のタイミングでポリゴン・ピクチュアズがNETFLIX側にアプローチをかけたところ、『トロン:ライジング』や『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』の制作実績から『シドニアの騎士』、『亜人』のタイトルをNETFLIX側が放送前に買ったということがあったそうで、その流れで『BLAME!』を打診したところOKが出たという。


 「NETFLIXのサポートがなかったら『BLAME!』も作られませんでしたね」という守屋氏だが、ライハン氏は「NETFLIX初のオリジナル映画ということでご一緒することができました」と、重要なタイトルの1つになっているそうだ。


 NETFLIX側として『BLAME!』についてライハン氏は「トップクリエイターが集まっているのもそうですが、原作も素晴らしくて、このストーリーですと、全世界に絶対に通用できるのではないかなと思っていて、アクションのファンもアニメのファンも、弐瓶先生も全世界で知られていますので」と、作品製作にゴーをかけた理由も口にした。


 劇場公開とNETFLIXの同時公開という前代未聞の状態となったが、守屋氏自身も最初は懐疑的だったよう。しかし、「キングレコードの関係者の方に相談したら『大丈夫、大丈夫』と言って(苦笑)。配給さんは苦労されたのですが1件1件丁寧に話したところ、50館ほどやって頂けると言って頂けて」と、裏話を話しつつ、「1つ新しいカタチになれば」と、期待も込めた。


 広告展開方法として、守屋氏は「うちらが交通広告やオフラインの広告をやって、NETFLIXさんはオンラインの広告をやると。キャッチコピーも【劇場∞NETFLIX】と入れて。両方で広告をやって。『BLAME!』も誰でも知っているタイトルではないので、とにかく知名度を上げようと、1+1じゃなくて3、4倍になるようにとやっています」と、アプローチ方法も。


 劇場用とNETFLIX用で差別化も意識したといい、音響面で7.1チャンネル、5.1チャンネル、爆音ミックスと3種類用意と劇場に一番合ったものを実現したうえ、守屋氏は「あとは入場特典でファンの喜びそうなものをつけたりもしています」という。


 しかもこの同時公開、“ガルパン”こと『ガールズ&パンツァー』の劇場版の例も参考にしたようで、守屋氏は「予習・復習をして劇場に行くとか、ガルパンもそうですけど、劇場のライブ感を楽しむというところで、実際にファンはBlu-rayも買って予習して、さらに(劇場に)戻るみたいな、ライブと家で楽しむというのを結構ユーザーの中で広がっているんじゃないかなと思いますね」とのコメントも寄せていた。


 ほかにも、ポリゴン・ピクチュアズ側が作品を制作するときに心がけていることについて質問が挙がり、守屋氏は「僕らの作品って、やっぱり日本の場面、場面で描かれる2Dアニメにはまだまだかなわないなというところがあるんです。やっぱり最初から世界をマーケットにしないとリスクが高いと思っているんです。最初からある程度、日本でも行けて、世界でも行けるという作品を探すのに苦労しているんです」としみじみ。


 その世界で戦うための技術として、守屋氏は、「エミー賞を(『超ロボット生命体 トランスフォーマー プライム』で)頂いて、そちらはフル3DCGですが、こういうタイトルって、ピクサーを筆頭にいろいろ制作する会社があって、われわれより安く作る会社もインドとか韓国とか台湾とかにあります。ここよりも、ほかのスタジオがまねできないっていうところでいうと、セルルックCGっていうのが他国では作るのが難しいんです。クリエイターに染み付いているものが表現されているので。現時点ではセルルックCGはわれわれの強い武器になるのではないかと思って注力してますね」と、現状も語りつつ、「今後は原作モノとオリジナルモノもやっていきたいですね」と、意気込んでいた。


 今後の会社としての展望として、ライハン氏は「われわれのミッションとしては、アニメを観たことがない人のなかでアニメのファンを増やしていければと思っています」と、アニメを見る人口の分母を増やしていく方向に力を入れるといい、守屋氏も「一緒に盛り上げようとNETFLIXさんもなってくれたので、今後も一緒に力を合わせて頑張っていきたい。ポリゴン・ピクチュアズとしても世界が驚くような作品をと思っています。どういう形で驚かせられるか分からないですけど、映像的にも進化していきたい」と、さらなる飛躍を誓っていた。



守屋秀樹取締役


NETFLIXのジュリアン・ライハン氏

情報提供元: News Lounge