“したコメ”の愛称で親しまれている『第9回したまちコメディ映画祭 in 台東』クロージングセレモニーイベントが19日、東京・浅草公会堂で開かれ、女優・倍賞千恵子(75)や俳優・佐藤蛾次郎(72)らが歌唱やトークで盛り上げた。
クロージングセレモニーでは、今回の第9回でコメディ栄誉賞を受賞した山田洋次監督の笑いと音楽に敬意を表して『山田洋次リスペクトライブ』を開催。山田監督といえば『男はつらいよ』シリーズで知られるが、佐藤蛾次郎 with 浅草ジンタとして、佐藤が『男はつらいよ』のOPを歌唱するなど、情緒にあふれるものに。
全プログラムが終了……かと思われたさなか、『男はつらいよ』シリーズに旅役者の娘・大空小百合役で出演している女優で声優・岡本茉利(61)が登壇。その岡本が「若奥様!さくらさん!」と呼び込むと、倍賞がサプライズで登場し、観客は温かな拍手で迎えることとなった。
佐藤の『男はつらいよ』の歌唱を聴いていたという倍賞は、「渥美(清)ちゃんがいつか言っていたんだけど、『もし「男はつらいよ」が終わっちゃったらさ、お前(倍賞)と蛾次郎と俺でキャバレーまわりしよう』って言ってて。私達が歌って、渥美ちゃんが周りで何かやるって言ってて」と、懐かしげにエピソードを語り、観客も沸き立つことに。
さらに、倍賞は山田監督や渥美さんと出会えたことによって、「いろんなことを学んできたと思っています。その中で一番大切なことは、山田さんの作る映画の中で生きている人たちの生き方や生きざまみたいなものをたくさん学んで来ました。演じることより、まずその人の気持ちになれという山田さんの視点が好きで演じさせて頂いております」と、思いを語っていた。
倍賞はしたコメの舞台に立ったということで、山田監督が作詞をした『男はつらいよ』の楽曲をアカペラで歌うことに。情感たっぷりの歌唱に場内はしんと静まり返り、聴き惚れる観客が続出となった。
ほかにも、この日、映画『家族はつらいよ2』の撮影のため出席がかなわなかった山田監督のかわりに、倍賞が東京都葛飾区の青木克德区長から賞状などを受け取ることに。その中で、青木区長から「柴又にある寅さんの銅像の隣にさくらの銅像をつくることになりました。来年の3月にお披露目を予定しています」と、発表があり、これに倍賞は、「山田監督にどうしましょうと言ったら『諏訪さくらだからいいんじゃないか』と言われて」と、笑みを浮かべながら話していた。
ラストは登壇者全員で『男はつらいよ』の曲を合唱し、温かい雰囲気に包まれたまましたコメの幕が下ろされることとなった。