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2016(平成28)年11月7日に築地から豊洲へと移転する東京都中央卸売市場。その機能や役割を都民のみなさんに再認識・再発見してもらおうという『TOKYO ICHIBA セミナー』が14日、東京・築地市場で行われた。
今年、3回目となるセミナーは、「実りの秋特別企画!築地・豊洲市場見学と秋スイーツ教室」。有名パティシエの日高宣博シェフが、この日のために考案したスイーツの実演と試食が出来る女子限定。23人のスイーツ大好き女子が参加した。司会進行は、『TOKYO ICHIBA PROJECT』応援団長で、コミックソングデュオ『あのねのね』のタレント・清水国明(64)が担当。
本日集まった参加者は、「築地市場が移転すること」は、大多数の人が知っていたが、「豊洲に移転する」と知っていたのは、3分の1以下と、まだまだ認識されていないことが判明。清水団長は、「よかった。だから、このセミナーがあるんです。安心して進行できます」と、笑わせて、緊張をほぐしつつ、話を進める。
第一部のセミナーでは、そもそも卸売市場とは何をするところか、その役割を説明。続いて、なぜ、「築地市場」から「豊洲市場」へと移転しなければならないのかをわかりやすく解説。
理由はいたってシンプルで、「築地市場」が80年前の1935(昭和10)年に出来たため、建物自体が老朽化。さらに、交通量も取り扱う量も増え、市場内でいつ事故が起きてもおかしくないほど手狭になったこと。混雑しすぎて仕事がはかどらないことなどが挙げられた。
実際に市場を歩いてみると小さな台車のような車のターレットトラックとトラックがギリギリですれ違い、その合間を縫って作業員が横断する近い距離ですれ違うこともあった。道も凸凹で、この日は生憎の雨ということもあり、そここに水たまりができていた。
そこで、築地から車で約5分の2.3キロという距離で、しかも築地市場の1.7倍というディズニーランドと同じくらいの広大な敷地面積を確保できること、首都高湾岸線の豊洲出入り口に近接しているなど、自動車での輸送には都合がいいという理由から、豊洲に白羽の矢が立った。
ただ、「豊洲市場」の敷地は、かつて東京ガスのガス工場があった敷地。そこで、土壌汚染の問題が指摘されていたが2011(平成23)年8月~2014(平成26)年10月までの3年かけて、元々の工場の地面部分から2メーター掘って、全て綺麗な土に入れ替え、さらにその上に2メーターの土を盛った。その結果、地下水のモニタリング調査でも、環境基準値を下回る数値を出しているなど、安全対策を講じたことも説明された。
このあと、参加者たちは築地市場内を見学。その後、建築途中の豊洲市場をバス車内から見学。豊洲市場用地をグルリと一周して、その広大な敷地と、巨大な建物群を直接、眺めてから、お待ちかねのスイーツ教室が行われるスタジオへ移動。この日のために考案した『豊洲への期待、春巻き林檎タルト』の実演を真剣な表情でメモを取りながら写真に収め、考案したスイーツの他に2品のスイーツに舌鼓を打っていた。
『パティスリー・ラ・ノブティック』の日高シェフは、「東京は世界一、食材がなんでも揃っている場所。その安全・安心を担保しているのが、東京卸売市場」と、重要性を強調。
築地東京卸売市場というと、水産卸売場と思うが、青果も旬なものが揃っている。水産物の取扱品目は480種で1676t(16億1100万円)だが、青果物(野菜、果物)の取扱品目も280種で1095t(3億2300万円)ある。
東京卸売市場の青果物には、パティシエばかりか、料亭の主人なども買い付けに来るそうで、旬のフルーツを使ったスイーツや料理をつく切る人たちにとっては欠かせない。日高シェフは、「旬のフルーツ・・・今ならば、洋なし、りんご、イチヂクといったところですかね。豊洲市場に移転しても、より良い素材を継続して提供していただきたいなぁ」と、期待を寄せた。
始まる前は、「スイーツはあまり知識がなく得意じゃない」といっていた清水だったが、シェフの作ったスイーツを食べると満面の笑みで、「言葉はいりません。顔を見れば美味しさがわかる」と、スイーツ男子に返信したかのように絶賛していた。