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Instagram @athlete365より(https://www.instagram.com/p/CSJIQ93iIO_/)
8月4日に有明アーバンスポーツパーク(東京都江東区)で開催された東京五輪スケートボード・女子パークにて四十住さくら(19歳)が金メダル!開心那(12歳)が史上最年少で銀メダルを獲得!4位には岡本碧優が入賞を果たした。
スケートボード・パーク種目は45秒間滑走するランを3本行い、100点満点中一番高かった点数で競われる。ランの途中で技を失敗してしまうと、その時点で滑走は中断され、それまでに決めた技の得点となる。
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予選を4位で決勝に進んだ四十住は、決勝1本目のランでいきなり2種類の540(空中で1回転半まわる大技)で勝負に出る。
今年5月のデューツアーでバックサイド540を披露し、見事優勝に輝いたが東京五輪ではさらなる進化を見せ、さらにノーハンド(グラブをしない)のオーリー540を見事メイク。
2種類の540を軸にノーミスのランで60.09ポイントを獲得し、後に続くスケーターに大きなプレッシャーを与えた。
全ての五輪選考大会を見てきて改めて思った事は、彼女は本当に気持ちの強いスケーターだという事。
国際大会でも、常に笑顔でどんなプレッシャーをも自分の力に変える素質があり、東京五輪でも見事に笑顔のさくらを満開にさせ、金メダルに輝いた。
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予選3位で決勝に進んだ開は1本目のランでバックサイドノーズグラインド、キックフリップインディ、女子では誰も攻めなかったエリアのセクションで、フロントサイドスミス ストール、さらにステイルフィッシュ360などの大技をノーミスで決め58.05ポイントを獲得。一気にメダル圏内に入る。
2本目のランでは、上記のトリックにフロントサイドノーズグラインドを加えるルーティンを披露し59.04ポイントを獲得、見事最年少銀メダリストに輝いた。
東京五輪という大舞台でも物怖じせずに、予選から終始楽しそうに滑る姿が印象的だった。
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これまでの五輪選考大会では、女子パークシーンのトップで活躍してきた岡本。
予選のランでは徐々にトリックの難易度を上げていき、予選1位で決勝に駒を進めた。
予選後のインタビューでは「得点がどのくらい出るかを確認した」と話し、優勝に必要な得点の計算も視野に入れている様子だった。
決勝では、1本目と2本目のランをフルメイク(最後まで失敗なく滑りきる事)出来ず、迎えた3本目のランではボディバリアル540(板を掴み、空中で体を横に1回転半、板は横に1回転させるトリック)と、540をメイクし途中までは完璧なランを見せるも、最後のキックフリップインディを外してしまう。
これまでトップを走ってきた彼女の悔しさが痛いほど伝わったのか、各国の出場スケーターたちは、攻めの姿勢を貫いた岡本を祝福し、ラン直後に担ぎ上げてたたえており、そのシーンは本当に感動的だった。
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2年前の2019年時点では、540(空中で横に1回転半回転する大技)をメイクしているのは、岡本とイギリスのスカイ・ブラウン(フロントサイド540)の2人だったが、今年5月に行われたDew Tourでは四十住もバックサイド540をメイク。
今大会でも四十住はノーハンドのオーリー540と、バックサイド540をルーティンに入れる構成で、見事金メダルを獲得しており、女子パーク種目はわずか数年の間にとてつもない進化を遂げている。
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東京五輪スケートボード競技では、特に10代女子の活躍が注目されている。
ストリート種目では13歳の西矢椛、同じく13歳でブラジルのライッサ・レアウ、16歳の中山楓奈と、いずれも若い世代が活躍し、今回のパーク種目でも上位はいずれも10代となった。
筆者がスケートボードを始めた約20年以上前は、女子スケーターを見ること自体が奇跡に近かったが、今では女子のスケートボード人気は高い。
スケーターだった親が子供にもスケートを始めさせたり、一昔前と比べて国際大会の練習も行えるようなセクションが充実したスケートパークの増加や、それに伴うスケートスクールの充実など、競技人口の裾野が広がったことも、今若いスケーターが活躍している要因と見られている。
何よりも一番の理由としては、SNSやYouTubeでトップスケーターの技を世界中どこでもチェック出来る環境が、技術の向上につながっている。
さらに言えば、日本人スケーター特有の、一つのトリックを極める為に、ひたむきにスケートと向き合う姿勢が、今回解説の松井さんも言っていた“自分越え”につながっているのだろう。
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数年前までは、ストリート種目かバート種目(スノーボードのハーフパイプのような形状のコース)の2択だったスケートボードコンテストにおいて、東京五輪ではバートではなくパーク種目が採用された。
これに伴い、日本でもパーク種目で女子スケーターが活躍するようになるのだが、ここで中村貴咲(21歳)というスケーターを紹介したい。
彼女は2016年のX Gamesスケートボード競技でアジア人初優勝を果たし(当時16歳)その後も主に海外で開催される、パーク種目最高峰の国際コンテストVANSパークシリーズ プロツアー・ハンティントンビーチにて優勝をするなど、日本女子パーク種目の礎を築いた存在と言える。
世界中から20名が参加出来る東京五輪において、世界ランキング7位にも関わらず、日本人の中で4位だった彼女は、東京五輪に出場することは叶わなかったが(各国3人までの為)これまでも多くの女子スケーター達の道しるべとなり、道を切り開いてきた。
改めて、中村貴咲というスケーターに心からリスペクトを送ると共に、今後の彼女のスケートにも注目していきたい。
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1位 四十住 さくら–60.09
2位 開 心那–59.09
3位 スカイ・ブラウン–56.47
4位 岡本 碧優–53.58
5位 ポピー・スター・オルセン–46.04
6位 ブライス・ウェットスタイン–44.50
7位 ドラ・バレラ–40.42
8位 インジアラ・アスプ–37.34
文 小嶋勝美 Twitter: @katsumikojima1
スケートボードを趣味としており、ライターとしてスケートボード関連の記事を執筆。
約10年間芸人として活動後、現在は放送作家としても活動中。