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2020年1月キメラAサイドでの写真 Photo by Katsumi Kojima
ラン2本を終えて、ライバルのナイジャ・ヒューストンがトップで折り返す中、堀米はランでミスが続き、8位の最下位という厳しい展開で、ベストトリックに進む。
しかし、ベストトリックでは堀米の真骨頂とも言えるノーリートリックで会場を魅了する。
1本目にノーリーバックサイド270ボードスライドを決め、8.98点。
2本目に、ノーリー270スイッチバックサイドテールスライドを決め、9.20点。
3本目に、ノーリーバックサイド180ノーズグラインドリバートを決め、9.10点
4本目に、ノーリーバックサイド270ノーズスライドを決め、この日最高得点となる9.47点を獲得。
神がかった集中力とメイク率で、4本連続で高得点を出し、一気にトップに躍り出る。
一方のナイジャは、珍しくベストトリックを3本ミスしてしまったが、それでも2位に輝くという、強さを見せた。
3位の白井は、これまでの五輪予選大会では誰もやっていない技、バックサイド180フェイキーフロントサイド5-0グラインド(スイッチフロントサイドノーズグラインド)を決めて9.39点を獲得し、見るものの度肝を抜いた。
この技は、一昨年に世界を驚かせ、通称ソラグラインドとも呼ばれた、フロントサイド180フェイキーバックサイド5-0グラインド(スイッチバックサイドノーズグラインド)のバックサイドバージョン。
五輪予選大会の最終戦で、さらなる進化を見せた。
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ジェイク・イラーディが最後のベストトリックで、バンクからギャップ越えのキックフリップ フロントサイドブラントスライドにトライし、ミスしたのだが、諦めきれずに再度挑戦し(もちろん採点には関係ない)失敗。さらに、再度トライする姿勢を見せた時に、MCが観客を煽り、観客もそれに応えて大盛り上がりを見せた。
これは、世界選手権という競技としての舞台でも、こういったスケートボードコンテスト本来の“楽しむ”部分が残っていることを再確認できて、嬉しく思える場面でもあった。
その反面、採点方法など難しい問題もある。
セミファイナルで堀米が最後に見せたノーリーヒールフリップバックサイドノーズスライド ビッグスピンアウトの得点が低い事に対する観客からのブーイング(ナイジャも一緒にブーイング)。
ファイナルでは、白井のラン1本目において、ラストトリックであるバックサイドシュガーケーングラインドでトラック(軸の部分)がレールから外れ、完璧なメイクとは言えず、8.03点だったが、2本目では1本目と全く同じルーティンで、最後のシュガーケーンを完璧に決めたにも関わらず8.0点という採点に、これまた観客からはブーイングが(1本目はフルメイクとみなされていて、2本目は全く同じ構成という事で、減点されたのか?)。
他にもいろいろ「ん?」と思う場面もあったが、50年以上前にカルチャーとして生まれ、発展してきた歴史を持つスケートボードが、突然“スポーツ競技”となった事により、その採点方法にも戸惑いが生まれるのは、ある種の必然なのかもしれない。
しかし、競技としてのスケートボードが発展することによって間口が広がり、日本人スケーターが海外でも注目を集め、活躍できる舞台が増えたのは確かだ。
堀米雄斗、白井空良を始め、五輪に出場する日本人選手は、オリジナリティ溢れるトリックに加え、大きなセクションにも適応性を持つ、高いスキルを持っている。
彼らの独創的で、完成度の高い技の一つ一つに注目し、東京五輪では多くのメダルに期待したい。
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1位 西村 碧莉–14.73
2位 西矢 椛–14.17
3位 ライッサ・レアウ(Rayssa Leal)–13.47
4位 パメラ・ロザ(Pamela Rosa)–13.44
5位 レティシア・ブフォーニ(Leticia Bufoni)–13.36
6位 中山 楓奈–11.94
7位 マライア・デュラン(Mariah Duran)–11.64
8位 ローズ・スヴェッツロット(Roos Zwetsloot)–0(棄権)
1位 堀米 雄斗–36.75
2位 ナイジャ・ヒューストン(Nyjah Huston)–35.75
3位 白井 空良–34.58
4位 ジャガー・イートン(Jagger Eaton)–34.36
5位 ケルビン・ホーフラー(Kelvin Hoefler)–33.71
6位 マット・バージャー(Matt Berger)–32.15
7位 ジェイク・イラーディー(Jake Ilardi)–30.12
8位 ミッキー・パパ(Micky Papa)–24.29
【https://www.redbull.com/int-en/live/world-skate-championships-rome-finals-2021】
文 小嶋勝美 Twitter: @katsumikojima1
スケートボードを趣味としており、ライターとしてスケートボード関連の記事を執筆。
約10年間芸人として活動後、現在は放送作家としても活動中。