- 週間ランキング
写真)新宿神経クリニック院長 渡辺雅子先生
もし、てんかん症状が疑われた場合は、小児は「小児科」、成人後は「脳神経内科」や「脳神経外科」、「精神科」を受診し、発症時にビデオ撮影などをして診察時に見せるとスムーズです。
主な治療法は「薬物治療」「外科治療」「ケトン食療法」「誘発因子を避ける」などで、約70%は薬物治療により発作消失、あるいは寛解します。治療中は発作を抑制(コントロール)する薬を手放すことはできず、例えば、有事の際にはスマホよりもお金よりも予備分の薬を持って逃げることが最優先されます。
以前は副作用に悩む患者さんも多かったそうですが、現在は副作用が少ない薬も開発され、①規則正しい生活と睡眠の確保。②アルコールの摂取をひかえる。③決められた時間に薬をきちんと服用する。という3点に留意しながら日常生活をおくることができます。
もしも身近な人が発作を起こした時には、以下のことに気を付け慌てずに対処すると良いでしょう。
渡辺先生は「以前は正しかった対処も研究や治療法が進み、現在ではNGになっている場合がある。最新の情報を知っていただくためにも、ぜひ、専用のポータルサイトや啓発サイトなどで確認して欲しい」と話します。
例えば、“舌を噛まないようにタオルや箸を口に噛ませる”は間違いだそう。現在では、噛ませることでむしろ嘔吐を誘発し、吐物が気管に入るなどの事故が起こる可能性や、また固いモノを噛ませることで歯が欠ける、さらに噛ませた際に指を傷つけてしまうなどの恐れがあると考えられています。
てんかんは遺伝する確率は極めて低い病です。しかし遺伝や生まれつきの特殊な病だと認識している人は多く、治療の予後が良好で発作をコントロールできている状態でも、子児期の発作が原因で成人後も周囲の偏見に苦しむ人が大勢います。
症状が現れるきっかけは、光(テレビ画面・点滅する光・木漏れ日など)、におい、文字、図形など人それぞれ違うため、必要がある場合は個人にきちんと確認することが大切です。
なかには、以前TVアニメ放送で強い光を見た子供たちが痙攣をおこした事件があったためか、強い光を見ると必ず発作を起こすという誤った認識が定着してしまい、エステなどでレーザー美容脱毛を断られる例が多いそうです。
てんかんは、2年以上発作が消失し日常生活に支障がなければ、普通自動車第一種免許の取得が可能など、コントロールしやすい病にもかかわらず、発症すると生活やコミュニケーションに何らかの悪影響を与えることがあります。渡辺先生は「治療のゴールは発症を消失させるだけでなく、身体面・精神面・教育面・社会面のQOLを向上させること」と訴えます。
そのためには周囲の理解と協力が必要。パープルデーを機会に、まずは病を知ることから始めてみませんか。詳しくは『一般社団法人Purple Day Japan 』https://www.purpleday-jp.net/ まで。