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東銀座のランドマークといえば歌舞伎座ですが、少し歩けばもうひとつの“演劇の殿堂”<新橋演舞場>があります。誕生当時(大正時代)の住所は東京市京橋区木挽町10丁目14番地。そこは川に面した荒れ地で、草木がうっそうと生い茂り、夜は人影まばらで不気味なエリアだったそうですが、銀座6丁目となった現代でもこの界隈の夜は静かです。
東京を代表する“芝居小屋”として親しまれる新橋演舞場ですが、実は、美味しいお酒をいただきながら円熟の芸を堪能できる“穴場スポット”でもあるのをご存知でしょうか?その穴場とは、新橋演舞場地下食堂「東」。
お酒+演芸の会が年間を通して何度も開催されているんです。
この日は「落語と日本酒と有機無農薬野菜を楽しむ会」へ。
正面玄関から地下へ降りると、広いスペースに並んだテーブルの指定席に誘導されます。どの席からも高座が良く見えるレイアウトでゆっくり足を伸ばして鑑賞できるのはうれしいポイント。
各席に用意されている<酒の肴膳>で2種類の日本酒をいただきながら、プログラムにじっくり目を通すのは至福のひと時。第七十一回を数える「演舞場発 東寄席」の高座に上がるのは、瀧川鯉八と桂宮治のおふたり。どちらも勢いのある二つ目で「成金」のメンバーでした。
最初の高座は桂宮治。アドリブと時事ネタ満載の「まくら」から大爆笑の連続。思わずお酒がすすみます。そのお酒ですが、まずは宮城県の酒蔵<一ノ蔵酒造>が誇る発売20周年を迎えた「すず音」と「特別純米生原酒 立春朝搾り」の2銘柄。「すず音」は言わずと知れた発泡清酒の先駆けなのでご存知の方も多いはず。一方、立春朝搾りは生原酒ならではの味わいで、思わずニンマリしてしまいます。
こうしたおいしいお酒が瓶ごとテーブルに置かれ、4人でシェアするシステムなので「さぁ、どうぞ」「こりゃどうもすみません」なんて具合に美酒を注いだり、注がれたり。独り呑みでも笑いと共に“おいしい時間”を過ごせます。
次の高座は瀧川鯉八。今年、真打昇進を控えた新作落語の申し子と称される噺家です。
この日も<豪華客船に一週間乗船する営業>の話から、次々に笑いを生み出していました。仲入り後は再び桂宮治さんが高座へ。今度は座布団の上に仁王立ち!大熱演で爆笑をとったあと、主催者でもある一ノ蔵酒造さんが登場。ここで新たに2種類のお酒と温かい料理が運ばてきます。
ちなみに<特別純米生原酒3.11未来へつなぐバトン>というお酒は、その売り上げ全額を東日本大震災で被災した子供たちへの支援基金「ハタチ基金」に毎年寄附。継続的な被災地支援の一つで、お酒を飲むことで誰でも貢献できるようになっているそうです。
大いに笑って、心がホッコリする東銀座の独り呑み。
次の東寄席が待ち遠しくなりました。
店名:新橋演舞場地下食堂「東」
住所:東京都中央区銀座6-18-2
電話:03-3541-2600(代)
営業:食堂や売店それぞれの営業時間は公演により異なります