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その点、ソニーが開発、販売している自律型エンタテインメントロボットaiboは、手軽にペットとのコミュニケーションというシーンを楽しめるということで、非常に好評であります。そのaiboに対するソフトウェアAPIをソニーが公開することを決定、11日よりそのライセンスプログラムがスタートすることになりました。
これに合わせ、東京・渋谷モディ1階のソニースクエア渋谷プロジェクトでは、いち早くaiboのオリジナルの動きが体験できる新プログラム「Shibuya Town with aibo〜自由にプログラミング編〜」を同日にスタート、会場オープン前にメディアに向けた記者発表会がおこなわれました。
このAPI公開は「aiboデベロッパープログラム」または「aiboビジュアルプログラミング」という二つのプログラム提供によっておこなわれます。
「aiboデベロッパープログラム」は直接aiboのソフトウェアAPIを使用する方を対象としたプログラム。開発に必要なaiboへのアクセス手順や各種ドキュメント類とともに、aiboにアクセスするためのトークンが提供(aibo一匹につき一つ)されます。APIの仕組みとしては一般的なREST APIと同様でブラウザによりインターネットにアクセスできる環境があれば実装が可能です。
一方「aiboビジュアルプログラミング」は初心者でも使いやすいようにドラッグ&ドロップを基本操作とした簡単なプログラミングでaiboをコントロールできるようにしたツールを提供します。このツールはaiboデベロッパーツールを活用した実装事例として作られたもので、無償で提供されます。
また、クリエイターとの共創をテーマとして掲げるソニーは、今回も各界のクリエイターとのコラボを実施。ロックバンドのOKAMONTO'Sのドラマー、オカモトレイジさんにモデルの小谷実由さん、マルチクリエイターのパントビスコさんという三人が「aiboビジュアルプログラミング」を使用し思い思いのaiboプログラミングをおこなうというコラボレーションがおこなわれました。
この日は代表してオカモトさんが登場。オカモトさんは「子育てaibo」というテーマにてプログラミングを実施しました。これまでプログラミングの経験がないオカモトさんですが、普段はパズルゲームなど先読みしてプレーするようなゲームが好みというだけあり、簡単に利用できるGUI操作も難なく使用できた様子であります。また子育てというテーマからして「親がプログラムを楽しみ、そのプログラムしたaiboで子供が楽しむ、という形かな」と先進的なコメントも飛び出しました。
簡単な操作とはいいつつ、実際に用意されているAPIの種類としてはかなりの数にもなり、中には「歌わせる」といったAPIも。これを見てオカモトさんは「シンセサイザーなんかと連動してシーケンスに合わせて歌う、みたいなプログラミングができれば。3〜4台並べて動かせば、MVなんかも撮れるかと」と、ミュージシャンならではのアイデア。確かにこうしたコラボレーションは、新たなアイデアを生むきっかけとして大きな働きを見せそうですね。
今回実際に先行してソニー社内で実施したイベントで、大学生にプログラミングを実施するとともに動画制作をおこなうというコンテスト「Video competiton with aibo at Sonu STEAM Studio」や、幕張メッセでおこなわれたイベント「CEATEC2019」で、日立製作所の展示ブースで、家電とaiboのコラボレーションをおこなうなどの実例もすでにおこなわれており、単にペットに戯れるという使用方法から、さらにビジネスや教育現場など、広範囲におけるさまざまな場面での活用が期待されています。
一方、「Shibuya Town with aibo〜自由にプログラミング編〜」で用意された環境も、なかなかに楽しめるものであります。メインコンテンツは「aibo×渋谷のまち」というもの。渋谷の街を模したジオラマの中、三匹のaiboが用意されており、別に用意された端末でAPIプログラミングを実際に体験してもらおうというものであります。
先述の通りプログラムとしては画面左側にあるタグをドラッグ&ドロップし、その組み合わせをシングルクリックすることでaiboをコントロールするというもの。APIの内容としてはaibo自体の動作をコントロールするものから、いわゆるプログラム言語の「IF文」的に条件を定義するものまで用意され、これを組み合わせてプログラミングをおこないます。
中には作り上げた一つの動作をブロック化してそれを何度も活用できるというオブジェクト指向的な設定もおこなうことができ、「どうせ『吠える』『喜ぶ』くらいの動作が設定できるくらいでしょ?」くらいに思われた方はきっと「えっ?こんなに細かく設定できるの?」と驚かれることでしょう(笑)。
なおこのAPI公開に際し、「aiboを自由にプログラミングできるようにするなんて、かわいそうじゃありませんか?」などといった問い合わせも多かったようですが、そこは自律型ロボットだけに、API公開に対してaiboの自尊心に配慮した設計をおこなわれているとのこと。例えば吠える場合にも「悲しく吠える」「嬉しそうに吠える」とか。なかなかソニーさんも芸が細かいですなあ…(笑)。でもこれは大事なことですよね。あくまでaiboは愛されるものでなければなりませぬから。
それはさておき、確かにこのAPI公開はさまざまな場面での応用も考えられ、かなり広い可能性を感じられるところ。このプログラムの行方を期待して注目していきたいところであります!