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5月の夕暮れ時、大崎駅南口を出て線路沿いをひたすら歩き、T字路を右へ曲がると…そこは『百反坂(ひゃくたんざか)』。昔は階段だったため百段と呼ばれていたが、その後路面が平坦になり、名称だけ残ったという。
その坂道は大崎駅側が高層ビルエリア、渡った大井町側が開発前からの街並みで、まるで境界線のようになっている。(明治時代の地図では、大崎町と品川町との境界に百反坂がある)最初に現れたのは「天志乃」という店。
キャッチフレーズは何と!「日本酒ととんかつの店」(驚)。昼はとんかつ店で夜は日本酒バーとなる店のスタイルに惹かれたが、まだ先に良い店があるかもしれないので、とりあえずキープ。(後で調べたら『吉田類の酒場放浪記』で放送したお店でした)
さらに、坂道を歩くと続いては『田吾作』という焼き鳥店。ガラス戸に障子という店構えがイイ感じでしたが、満席のため先へ進むことに。他にも数軒そそられる店がありましたが、坂をだいぶ上ったところで異色の店を発見!
『魚玉』と書かれた店名の横に「鮮魚・仕出し・刺身屋・出前」とのうたい文句。これは「当たりだ!」という直感に従い店内へ。
魚屋さんそのものの造りに驚きつつカウンター席に座ると、目に前に寿司屋さんのネタケース。寿司桶や船盛器もありました。(魚は相当うまいに違いない)酒類はサワーやワイン、ウイスキー、ホッピーなど各種ありますが、ビールは黒ラベル、日本酒は菊正宗という王道のラインナップ。
まずはビールを注文。すぐに出てきたお通しは立派過ぎる「のれそれ」(驚)。アナゴの稚魚で透き通った神秘的な姿から水の妖精とされる「のれそれ」は春の珍味。つるんとした食感がたまりません!しかも、この「お通し」のお値段が300円(驚×2)。さすがは魚屋さん。思わずビールから菊正宗にチェンジしてしまいました。
本日のおすすめから旬の3品をお願いしたところ、どれも申し分なし。“生の美味しさ”を満喫したので、次は焼き物へ。魚種はブリに決めたものの「塩焼き」か「照り焼き」か…悩み始めたら出口が見えず、店主に相談すると、「刺身で食べられるやつだから、どっちでも美味しいよ」と決め手にならず。
結局、塩焼きにしたところ、これが大正解。(照り焼きでも正解だったと思うけど)
いよいよシメ。寿司も握れる店主とあって、周りのお客さんはシメに握り寿司を注文していましたが、私は「海苔巻き」に決めていました。ところが、注文直前で2択の壁…「ねぎとろ」か「とろたく」か…1つに絞り切れず。
店主に託したら「かっぱ巻きとねぎとろって聞かれたら、答えられるけんだけどね」たしかにおっしゃる通り。で、「とろたく」を頼んで待つことしばし。目の前に出されたのは、とろたくとねぎとろが半分ずつ。
驚く私に店主が「両方、巻いちゃったよ」おぉ~!感謝感激。(なんて粋な店なんだ)
駅前のオフィスビルに入るオシャレな店を横目に歩き続け、坂を上り、たどり着いた“呑める魚屋”『魚玉』さん。満足感がひときわ高い独り呑みのスポットです。
店名:『魚玉』
住所:東京都品川区西品川3-5-2
電話:03-3494-1494
営業:月~土、祝前日: 11:30~13:30 17:00~22:00 (料理L.O. 21:30)
定休日:日、祝日