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飼い主の代わりに伊勢参りをしていた犬のことでございます。江戸時代に流行っていたとか、いないとか…。そんなのウソでしょ。作り話でしょ。いえいえ、実在したのでございます。歌川広重さまの「伊勢参宮 宮川の渡し」や「東海道五十三次 四日市」にも、その姿が描かれております。
江戸時代には「おかげ参り」というものがございました。群衆による伊勢参拝、参拝ブームのことでございます。江戸時代から伊勢参りは有名でしたが、約60年周期(江戸時代に3回)で大ブームがあり、日本全国から集団で伊勢を目指したそうでございます。
そんななか、高齢や体が弱いなどの理由から、参拝がままならない人が、犬に参拝を託したのございます。その託された犬が“おかげ犬”でございます。最初は、近所の参拝する知人に連れて行ってもらっていたそうですが、そのうち、犬だけで参拝(往復)するおかげ犬も登場してきたのだとか。
それにしても、どうやって伊勢まで… と思う方、少なくないかと。まず、この犬が参拝目的であることが誰にでもわかるように、伊勢参りの旨を書き記したものや道中でかかるお金を首に巻き付けておきます。そして道中、この犬を見かけた人々は、エサや寝床を与えたそうでございます。さすが江戸っ子でございます。粋なはからいでございます。
もう少し詳しく知りたい!と思われた方、是非、絵本でご確認ください。
先日、バッチグーなタイミングで、“おかげ犬”の絵本が出版されたばかりでございます。おそるべしタイミングでございます。読むとご利益があること、間違いナッシングでございます。
「おいせまいり わんころう」(文:あおき ひろえ 絵:長谷川 義史 出版社: ブロンズ新社)
こちらが、その絵本でございます。米問屋の娘のこいちゃんが、父の健康祈願のために、愛犬わんころうに伊勢参拝を託すお話でございます。果たして、わんころうは無事、伊勢参拝を果たせるのか…、わんころうの珍道中でございます。
独特の絵のタッチとユーモアあふれる作風で大人気の絵本作家、長谷川義史さまが絵を担当。文は、長谷川さまの奥様で絵本作家のあおきひろえさまが担当。読後感は、ほっこり、読中はニコニコ間違いナッシングな絵本でございます。
伊勢神宮の内宮前にあるおかげ横丁では、参拝客のためのグッズやお土産屋がしこたま並んでおりますが、そこには、おかげ犬のストラップ、手ぬぐい、置物はもちろん、サブレまでラインナップされているそうでございます。是非、おかげ犬土産も、お楽しみ頂ければと…。
(文:絵本トレンドライター N田N昌)