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「情報社会学科」は、情報(ICT)を軸に、経営(Management)または文化(Culture)を学ぶ学科です。同学科には経営システム専攻とメディア文化専攻があり、いずれも「情報を使いこなせる人材」の育成を目指しています。
訪ねたのは、経営システム専攻「ビジネスモデル研究室」の林ゼミ。ゼミスローガンは“変わる勇気”で、ゼミや就職活動を通して「会社」「仕事」「自分」を、今までとは違う新しい視点で見つめ直します。
今回のゼミ課題は「自分の気になる業界を調べて紹介する」というもの。学生達は、まず、世の中にあるさまざまな業界を知り、興味をもつことからはじめます。果たして、あまたの情報のなかから目的にそった質のよい情報を探すことはできるのか…“調べる力”を身に着けるのも目的のひとつです。
参加したのは、3年生の松村くん(旅行業界)、佐藤くん(物流業界)、遊佐くん(IT業界)、河村くん(銀行業界)、佐藤くん(ホテル業界)ら5人。それぞれ、好きな業界の歴史、概要、比較対象企業のデータや情報などを分析し、業界が抱える問題に対する解決策や興味を持った理由などをプレゼンテーションします。
写真)林ゼミの皆さん。下段右)埼玉工業大学人間社会学部 情報社会学科 経営システム専攻「ビジネスモデル研究室」林 信義 教授
いざ、調べてみると、毎日のように利用し生活に密接に関わっている企業でも知らないことだらけ。正直、まだまだ情報を“収集するだけ”で精一杯の様子です。
そのなかでも意見として目立ったのは「人と関る仕事に興味がある」「AIの台頭で雇用の未来が心配」「人手不足をITで解消したい」など。なかでも雇用は、高齢化と人口減少による人手不足と、AIによる雇用消失という相反する課題が複雑に絡み、今の学生が直面する大きな社会問題です。
指導にあたる林教授は、大手経営コンサルティング会社のビジネスコンサルタントだった経歴の持ち主。自身の経験を活かし、学生達にビジネスモデル研究の一環として「情報」の収集、調査、分析をはじめ、グラフの見方や、プレゼン方法などの課題に取り組みながら社会で役立つ知識や力を伝えます。やがて、これらの課題が、就職活動に結びついてくるのが林ゼミの良さであり特徴です。
実際に、内定が決まった4年生に話しを聞くと、3年時からゼミ課題としてビジネスモデル研究を実践してきたため、面接やグループディスカッションなどにおいて、かなり優位なプレゼンテーションができたと話します。
ただ「興味があるから」「好きだから」ではなく、有価証券報告書などから事業戦略と収益構造を読み取ったり、売上高・営業利益などのデータから会社を分析し、将来性を見極めたりするなど「なぜ、この会社を選んだのか。そして将来、何にチャレンジしたいのか」を明快に説明できたそうです。
■「IT業界のビジネスモデルは人件費がコスト。いかに生産性を高くして働くかが課題」■「物流業界は人手不足が深刻。ITを活用し作業の効率化をはかり労働環境を向上させたい」■「ネット通販が主流だからこそ、人と人とのコミュニケーションでしか体験できない新サービスを提供したい」■「鉄道事業は地域密着が大切。よりよい沿線環境づくりを目指し、お客様を呼ぶアイディアが必要」…など、それぞれの就職先で目標とするビジネスビジョンがしっかりとあるようです。
写真)同ゼミの4年生。JRやNTTをはじめさまざまな企業に内定。
就職活動を終えた学生からは、「ゼミで就職に関する情報を調べることができ、業界や企業、ひいては仕事を見る目が変わった」「情報分析のノウハウは、社会に出てもさまざまなところで役立つと思う」といった感想を聞くことができました。
今回、普段通りのゼミ授業を見学するという貴重な体験をさせていただき、筆者個人的には3年生たちの素直で熱がある想いや姿がとても好ましく思えました。
埼玉工大の学生は全国的な大企業に加えて北関東の有力企業に就職する学生も多く、地元愛が溢れる大学でもあります。金融業界に興味をもつ河村くんは、「地元の銀行の知名度をあげたい!誰も知らないしメガバンクに比べてお金もない。もっと知名度が上がれば利益がアップするとおもう!」と提案。一見、粗削りすぎる課題提議ですが…いやいや、地銀がメガバンクよりも上を目指して何が悪いのか?これだけITが進化すれば、今までにないサービスや業界を根底から覆すようなシステムが生まれるかも知れません。
老婆心ながら思うのです。夢は大きく!冷静と情熱の両方を維持しながら、目指す業界の就職にむけて邁進してください。日本の未来は皆さんの手に委ねられているのですから。