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野生のクマと遭遇!……近頃、そんなニュースをよく見かける。
餌を求めてクマが農村部に下りてきたというケースが増えているようだが、仮にクマと対峙したなんてことになったらきっと頭が真っ白になるだろう。正直、笑えない。山間部に行けば、シカやイノシシなどクマ以外にも遭遇することだってある。筆者の友人は野生のサルに後をつけられて想像以上の恐怖体験をした。そこで今回は野生の獣に出くわしたときの対処法をざっくり確認しておこう。
クマよけの定番といえば「鈴」だろう。人が近づいてきたことをクマに知らせる効果がある。ただ、谷が近かったり、風が強かったりすると、音がきちんと響かないことがあり、鈴の音が聞こえる範囲にも限りがある。「ラジオ」も同様に音で、クマが逃げていくきっかけになるようだが、餌を持っている人かもしれないと近づいてくるケースもあるので過信しないほうがいいようだ。
トウガラシなどを主成分とする「クマよけスプレー」は遭遇したときに役立つようだが、風向きを考えないで使うと、クマ以上に人間がダメージを負ってしまい、形勢不利になることがある。折り畳み傘はバッと開くことで、クマを威嚇できるので、傘は機能的にも便利と言えるだろう。
人里にクマが出没する件数が増えてきたとはいえ、ほとんどの人はクマとの遭遇をリアルには考えられないだろう。きっと大多数の人は無策でクマと対峙するはずだ。そんなときいったいどうすればいいのか。知床財団によると、ヒグマと遭遇したときのケースについて、以下のような対処法を解説している。
クマがこちらに注目 or 気付いているがこちらを無視している
→クマの様子をみながら、静かにゆっくりと、その場から離れましょう。
ゆっくりと近づいてくる
→人間だということを知らずに来ている可能性があるので、クマに人間だということを知らせるため、石や倒木などに上がり、大きく腕をふりながら、穏やかに声をかける。
クマがのっそりと立ち上がる or ひょっこり出てきた場合
→あわてずにゆっくり両腕を上げてふり、穏やかに話かけながら(万が一の突進に備えて)クマとの間に立ち木などが来るように、静かに移動しましょう。クマが立ち上がり、または四つんばいのまま、鼻をヒクヒクさせる行動は、相手を確認するためのものです。
上記対応を行っても、クマがこちらを無視している場合
→上記の行動に加えて、クマから目を離さないように(ただしにらみつけずに)ゆっくりとクマから離れましょう。
上記対応を行っても、クマが立ち去らない場合
→立ち去らない理由(子グマやシカの死体など)がないか、付近を冷静に観察し、ゆっくり離れましょう。急な動きはクマを興奮させるので避けましょう。こちらがいつまでも動かずにいると、敵対行動と受け取られる可能性があります。
落ち着いて。静かに。走らない!
→とにかく、突発的に走って逃げるとか、大声でわめくような行動は、ただでさえびっくりしているクマを更に怯えさせ、ストレスのあまり防衛的な攻撃に移らせる可能性があります。落ち着いて。静かに。走らない! ゆっくり両腕をあげて振り、穏やかに話しかける。
すぐそばに障害物(立木など)があれば、可能ならクマとの間にそれを置く位置関係に静かに移動(注:万一の突進に備えて)。クマ撃退スプレーがあれば準備しながら…と言いたいが、多くの場合、そんな余裕はない。ほとんどの場合、唖然として立ちすくむと、とたんに、クマが全速力で逃げていきます。
なお、同サイト内でも解説されているが、走って逃げることだけは厳禁のようだ。ヒグマの習性から素早く動くものに反応して追っかけてくることがあるという。ビックリしたからといって背中を見せて逃げることだけはしないほうがいい。その他にも、クマが突進してきたときの対処法、襲われたときの防御姿勢もあるので、非常時の知恵として読んでおくといいだろう。
クマとの遭遇は危険だが、それでも読むだけでは、その危険性が肌で感じにくいだろう。そこで、人とクマの基本スペックを比べてみた。日本の場合、北海道にヒグマ、本州以南にツキノワグマが生息していて、とくにヒグマはツキノワグマの体格や体重をはるかに凌ぐ。人とヒグマでどう違いがあるかを比べると、遭遇したときに、どれほど脅威かがわかるだろう。
人 ヒグマ
体格 160~180㎝ 200~230㎝(頭の先からお尻まで)
体重 40~80㎏ 150~250㎏
速さ 100mを9秒58(世界記録) 100mを6秒台(時速60㎞)
頑強 自動車と衝突して重傷or死亡 自動車と衝突後、平然と走って逃げていく