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先日、「魔女の宅急便」の作者、角野栄子様が、「小さなノーベル賞」とも言われている国際的な児童文学賞「アンデルセン賞」を受賞されニュースになっておりましたが、安野様は1984年に、この賞を受賞されております。
その他にも、ケイト・グリナウェイ賞特別賞、ブルックリン美術館賞、ホーンブック賞、最も美しい50冊の本賞、1977年BIBゴールデンアップル賞)、ボローニャ国際児童図書展グラフィック大賞、…。海外の賞を総なめにしております。
そんな日本を代表する絵本作家、安野光雅様の絵本デビュー作が、「だまし絵」の絵本なのでございます。それだけではございません。そのデビューの背景には、エッシャーや日本絵本界との興味深いエピソードがあるのでございます。
「ふしぎなえ」(作・絵:安野 光雅 出版社:福音館書店)
こちらが、そのデビュー作の「ふしぎなえ」でございます。昇っても昇っても下へいく階段、どうしても逆さまに歩いてしまう横断歩道、…。不思議な世界が続々と繰り広げられる「だまし絵」絵本でございます。
子どもだけでなく、大人もずっとその世界に浸れるクオリティの作品でございます。
安野様が絵本デビューを果たしたのは、42歳の時。当時、安野様は小学校で美術を教えていらっしゃいましたが、なんと、その時の生徒の保護者に、「ぐりとぐら」「はじめてのおつかい」などのロングセラー絵本の数々を生み出してきた老舗絵本月刊誌「こどものとも」の伝説の編集長、松居直様がいたのでございます。
そこで、松居様から絵本を描いてみないかと誘われ、描いたのがこの作品なのでございます。1978年に「こどものとも」として刊行されたのでございます。こちら、絵本マニアには、たまりまセブンなエピソードでございます。
ちなみに、その頃、安野様はエッシャー様の絵が気になっており、それを松居様に見せたことがきっかけで、だまし絵をテーマにした作品になったとのだとか。安野様は1961年にフランスを旅した際に目にしたエッシャー様の絵に大きな影響を受け、エッシャーの生地レーワルデンにも訪れておられます。
そんなエッシャー様と安野光雅様のだまし絵、是非、見比べて頂きたいのでございます。そして、安野様の絵本に興味を持たれましたら是非是非、安野様の絵本をチェックして頂きたいのでございます。大人が楽しめる大人絵本ばかりでございます。ちなみにエッシャー展の音声ガイドを担当しているのは、バカリズム様でございます。
(文:N田N昌)