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それがアイディア&熱意で、殺り尽くされた感のあるゾンビというジャンルに「まだこんなやり方があったのか!」と業界内外の人類を驚愕させ続けている低予算ゾンビ映画が『カメラを止めるな!』なんです。ボクも昨今の大量生産される粗悪品ゾンビ映画にうんざりで。ただ、あまりにネットや雑誌で目にするので、先日、やっと劇場へ。ごめんなさいと逆立ちしたくなりました。すでに、ゆうばりファンタで観客賞、イタリアのウディネ・ファーイースト映画祭では2位、ブラジルのファンタスポアでは最高賞……と着々と火が回ってるんです。
ゾンビ映画を作ってるクルーの中から本物のゾンビが発生!! 次々と襲われていくクルーたち!! ……という気持ちが良い程のストレートな物語を37分間の長回しで見せきるんです! それだけでもかなり凄いんですが、普通にエンドクレジットが出た後、その2ヶ月前のお話に。なんと、ここまでの話が『ワン・カット・オブ・ザ・デッド』という生放送ドラマだったという対向車線に身を乗り出すような急ハンドル!
本作の主人公である監督が、テレビ局よりゾンビ・ドラマの製作を請け負い、クセのあり過ぎる役者&スタッフたちと本番に挑むという三谷幸喜ばりの裏方コメディが始まるんです! すると、前半のチープだけど熱量のあり過ぎた『ワン・カット・オブ・ザ・デッド』が、チープ所か、実は巧みに付箋を張り巡らせた傑作だった事が発覚! あんなに真剣な空気で観てた観客たちも、ドッカンドッカン大爆笑してるんですよ! その歓声に、これは事件だと思いましたよ!
もう後半のネタばらしを知ってしまうと、印象が全く違う作品にトランスフォームしてしまう、1本で2度おいしいアーモンドグリコのような映画になってるんです。故に、2度~3度と劇場へ足を運ぶリピーターさんが続出。ボクが劇場へ行った日もロビーでは「何回目ですか?」という会話が挨拶のように交わされているんです。『カメラを止めるな!』
ファンの交流の場にもなってる訳です。こんなゾンビ映画、他には無いです!
暑くなってきた今日この頃、ゾンビ好きから、ゾンビ嫌いな人まで納得な話題の波を劇場で体感してみてはいかがでしょう。