- 週間ランキング
……あれ、何か変だ。音がこもっている?ふと耳に違和感を覚えたら気をつけてほしい。
もしかすると突発性難聴の可能性があるかもしれない。人気歌手が突発性難聴を告白してニュースにもなることも多いが、これはなにも音楽業界に限った話ではない。ごく普通の一般人、それも働き盛りの40代以降がなるケースが多いという。原因不明、早期治療が回復のカギともいえるこの病気の知っておくべきポイントを探ってみた。
突発性難聴はじつにやっかいな症状だ。というのも、そもそも前兆がなく、あったとしても人によって耳鳴り、耳詰まり、めまいがある程度。片耳だけに違和感が生じるため、日常生活に大きな支障がなければ、病院に行かず、つい様子見してしまいがちで、根治の可能性を阻んでしまうという。
理想は48時間以内、遅くても1~2週間以内に治療を開始しなければならない。早期治療ができても完治は3分の1。残り3分の2は症状が軽減するか、治らないそうだ。医師の「治らない」という宣言ほどズシンと重くのしかかる言葉はないだろう。
仮に超ポジティブな人がここまでの文章を読んで、「もう片方の耳は聞こえるんでしょ」「症状が軽減するなら大丈夫」「音楽をやっているわけじゃないからな」と思うのであれば、それは間違っている。2017年6月に突発性難聴を発症して、現在も治療中のKinki kids堂本剛がコンサートやメディアなどで自身の症状に関して次のように語っているが、これを読めば、その認識が誤りだったと気づくだろう。一部を引用する。
・(発症初期について)「トラックが横を通るだけで頭蓋骨に響くし、食事に行っても食器の音しか聞こえずリラックスできなかった」
・(退院してからの鍼灸治療後について)「前ほどは音がうるさくないけど、ひどい時は自分が咀嚼するたびに『ホワンホワン』って鳴って、それで食べるのに疲れちゃう」
・(音楽の仕事をしていない人であれば日常生活に支障がないという一部勘違いについて)「『大音量避けましょう』って言われているけど、町中のほうが大音量あるんですよね、僕からすると。ご飯に行こうが車がバーッて走ろうが急に大きい音で宣伝の車とかも来るじゃないですか?」「予測できない音、急に後ろのお客さんが騒いだりとか、今はそのへん楽ですけど最初2週間3週間はそれが怖かった」
いかがだろうか。ちょっとした音が騒音に聞こえてしまうやっかいさ。音の周波数にもよるのだろうが、ナイフやフォークがあたってカチャカチャする高音が耳の中で終始響くのはどうしても耐え難い。車のクラクションはもってのほかだろう。
いまだ明確な原因はわかっていないが、突発性難聴の症状の原因として考えられるのは「耳の血流障害」や「ウィルス性疾患」だ。前者は、ストレスなどを抱えたことで、耳の「内耳」と呼ばれる部分が痙攣したり、血栓ができることで血流が悪くなり、耳の機能が低下するというものだ。後者はおたふく風邪やはしかなどが難聴を引き起こすというものだ。
40代以降が発症しやすく、男女でかかりやすさに大きな違いはない。むしろ仕事でストレスが溜まりやすかったり、気分転換ができていない人は気をつけたほうがいいだろう。電話をしたときに聞こえが悪かったり、話しかけられたときに気づきにくいことがあれば、先延ばしせず、早めに診察を受けたほうが安心だ。