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防水スプレーを吹きかける。色褪せないように栄養クリームを塗るetc。靴の手入れをしたことがある人なら、なんら不思議はない、ごくごく普通の光景に映るだろう。でも、もし、これらの行為が間違っているとしたら、いったいどうするだろうか。今回はネットでも話題の某靴磨き店で教えてもらった、革靴の手入れについて考えたい。
そもそも革製品にとって雨は大敵だ。水が染みてしまうと、シミや色落ちの原因になる。それゆえ防水対策として、一般的には防水スプレーが広く浸透している。雨の日前にきまって防水スプレーを吹きかけるという人も少なくないはずだ。しかし、それはどうやら素人判断のようで、某靴磨き店によると、革靴に防水スプレーはNGだという。
「防水スプレーが水をはじくのはコーティングをしているからなんです。でも、それはタンパク質である革製品にとって呼吸ができなくなる行為。革が傷んでしまうからスプレーは避けたほうがいいんです」。役に立つ話が聞けて「へーっ」という反応だったが、すぐに別の疑問が浮かんだ。防水スプレーを使わない=革靴がノーガード状態となるが、雨が降った場合、どうすればいいのだろうか。
返ってきた答えは意外とシンプルで、「雨の日に革靴は履かない」というものだった。できれば雨の日用の靴を用意しておくか、履きつぶし用のものを一足持っておくのがいいという。オススメはシミなどが目立ちにくい黒系の靴で、ブラウン系は極力履かないほうがいいそうだ。市販の着色クリームを使うのはどうかと尋ねてみたが、同じ色合いにはならず、むしろ“まだら”になるからオススメしないと言われた。
栄養クリームも靴によっては合わないものがあるので、必ずしも必要ではないという。むしろ、日常的に手入れをするならば、水拭きをする程度でいいと言われた。
「靴を長持ちさせたければ、2~3カ月ごとに持ってきてもらったほうが確実ですよ」と遠回しに営業をされたが、金額も安く、サービスもよかったので、正直イヤな感じはしなかった。たしかに靴を大事にしたければ、下手に自分で手入れして失敗するより、プロにお願いしたほうが結果的にコストはお得かもしれない。
今回訪れた某靴磨き店はネットでも話題で、某大手企業の経営者などがファンだというのもうなずけた。とはいえ、近くに靴磨き店がない場合はどうすればいいのか。結論としては、やはり自分で手入れせざるを得ないのだろう。
ただその際も、今回の教えを踏まえて、「大事な革靴にはスプレーをしない」「着色クリームは塗らない」と、自分なりの“やってはいけない禁止事項”をつくるしかない。市販のオイルやブラシもあるので、自分でここまではやってもいいと制限をつけて、それ以外は任せるほかない。
ネットには、革靴を丸々水洗いするなど、革製品の扱いではタブーとされる方法もあったりしたが、正直、それで靴が長持ちするか、自分好みの状態になるかはわからない。どうしても自分で手入れをする際は、「代わりが効く靴」で、「自己責任」のもとやるしかないのだろう。