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「オニのサラリーマン」(文:富安陽子 絵:大島妙子)
言うまでもありませんが、読者は圧倒的に大人でございます。主人公は、赤鬼のオニガワラ・ケン。地獄カンパニーの平社員でございます。毎日、びしっとスーツで決めて地獄へ出勤いたします。妻子持ちでございます。愛妻弁当持参でございます。
この日、上司の閻魔大王から言いつけられた仕事は、「血の池地獄の見張り」。そこで、過労がたたったのか?、オニガワラ氏はあるミスを犯してしまう…そんな物語でございます。大人が笑える、会社員だから笑える絵本でございます。
実は、このお話、約90%、富安様の2013年の初夢の内容のままでございます。鬼のサラリーマンが出て来たくらいなら、まだ分かりますが、ほぼ絵本通りのストーリーの夢だったそうでございます。あまりにも完成度が高い夢だった為、絵本にしなければと思い出来上がったのがこの絵本でございます。
そして、大島妙子様の絵も素敵でございます。笑えるのでございます。実は、富安様の夢に出て来た鬼のサラリーマンは虎のパンツを着用していたそうですが、大島さんが描いた鬼のサラリーマンはスーツを着用、さらに髪は七三分けでございます。
しかも!オニガワラ氏が地獄へ出勤した際に、ロッカールームで、スーツから虎のパンツに着替えて仕事に就くのでございます。
富安様は、その大島さんの絵を見て「そうか、虎のパンツはユニフォームだったんだ」と…。まさに、文と絵のお二人の共同作業で生まれたナンセンス絵本でございます。そんな富安・大島の黄金コンビが再び集結!去年、刊行されたのがこちら。
「オニのサラリーマン しゅっちょうはつらいよ」(文:富安陽子 絵:大島妙子)
こちらは、地獄勤めのオニガワラが同僚のオニジマと共に、閻魔さまから出雲出張を命じられ、「ぜんこく神さまサミット」の会場警備を手伝うことになるというお話。こちらも、読み応え、笑い応え十分でございます。節分前でもございます。是非、鬼のサラリーマン絵本で悪い気を笑い飛ばしてくださいませ。
(文:N田N昌)