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「夏のスイカ割り」と対極にある行事といえば「冬の餅つき」だろう。寒い日にペッタンペッタン餅をつく姿はもはや恒例行事だが、ふと疑問が……。「ん、わざわざ冬に餅つきをする意味ってなんだ?」。夏じゃダメなのかだろう。冬に絶対やらなきゃいけないのだろうか。
以前、『二位じゃダメなのか』と詰め寄った議員がいたが、このままでは自分もまったく同じ状況になってしまう。いい大人が理由を知らないのも恥ずかしいので、さっそくその理由を調べてみた。
なぜ餅つきを冬にするのか――。
「餅つき 冬 理由」。さっそくググってみると、いくつか関連サイトがヒットした。さすがグーグル先生、調べ物には心強い味方だ。いくつかサイトをのぞいてみて、わかったことといえば、どうやら餅つきには「ハレの日」が関係しているということだ。
「ハレ」とは簡単に言えば、おめでたい日を指す言葉。出産や入学、卒業といったお祝い事、特別な日を指し、現代でも「晴れ着」「晴れ姿」などの言葉として残っている。そして、そうした特別な日に振る舞われたのが「餅」というワケだ。ひな祭りの「菱餅」、端午の節句の「柏餅」はその典型で、この「ハレの日」に冬に餅つきをする理由があった。
「八百万の神」という言葉を聞いたことがある人は多いだろう。日本にはすべての自然に神様が宿っているという考え方だが、つまりは、主食とする稲(お米)にも神様が宿っていて、「稲魂(いなだま)」「穀霊(こくれい)」という言葉があるように、お米は神聖なものとして考えられてきた。
そして、冬になり、年末が近づくと、年明けには、新年を司る歳神様がやってきて、新年の魂を授けてくれるという考え方があった。そこで歳神様にお供えするものとして、神聖なお米(もち米)をついた「餅」が登場したのだ。つまり、冬に餅つきをするのは、「ハレの日」である歳神様がやってくる日にお餅をお供えするため、というのがその理由なのだ。
では、なぜ餅を丸くするのだろうか? 四角だっていいじゃん、という声も聞こえてきそうなので、触れておこう。餅を丸くするのは鏡に見立てているから。というのも、昔から鏡は神様の象徴で、神聖なお餅を丸くすることで神様に模していた。そして歳神様の力が込められたそのお餅を、みんなでお正月に食べることで無病息災を祈願していたのだ。
ざっといえば、ここまでが冬に餅つきをする大きな理由だ。つまり、夏に餅つきをしてもいいし、仮に夏神様なる神様がいたとしたら、真夏の炎天下にも餅つきをして、お餅をお供えしていた可能性もあるということだ。
ちなみに大人であれば知っておいたほうがいい雑学もあるので、いくつか紹介しておきたい。たとえば、以下のようなネタだ。
鏡餅を等分するときの表現は?
→「鏡開き」であって「鏡割り」ではない。「割る」という表現が縁起が悪い
→神様の魂が宿っているので刃物は使わず、木槌で割るのが正しい
鏡餅はなぜ大小の餅を重ねるか。
→陽の太陽と陰の月を模していて、円満に歳を重ねるという語呂の意味がある
鏡餅にみかんが乗せる理由は?
→みかんの色が橙色なので、「子孫が子孫代々」栄えるようにという語呂がある
餅つきで使う、臼と杵は女性と男性を表し、子孫繁栄を表している
餅つきをするのが最適な日とは?
→12月28日(12月29日は二重に苦しむとされ、「苦」を連想させる、12月26日は「ろくなことがない」とされる、12月31日は一夜飾りとされ、慌てて準備するのは神様に失礼とされている
こうして上記を振り返るだけでも、日本人がいかに縁起のいい日を気にするか、げんを担ぐかが読み取れる。