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「2045年問題」をご存じでしょうか。
簡単に言えば、人工知能(AI)の性能が人類を上回り、もはや人間ではなく、人工知能自らが急速に技術革新などを行っていくとされる予測値のこと。「シンギュラリティ(技術的特異点)」という言葉で語られ、まさに映画「ターミネーター」の世界観が現実味を帯びてきたといえます。
とはいえ、そんな未来について、いまから何をすればいいかといわれてもさっぱりわかりません。むしろ、人工知能に仕事を奪われて、数年後に無職にならないことのほうがより切実です。では、いったいどのような視点で働き方を考えていけばいいのでしょうか?
オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授らが発表した『雇用の未来』という論文では、「消える職業・なくなる仕事」として「銀行の融資担当者」「データ入力作業員」「簿記、会計、監査の事務員」「レストランの案内係」「電話オペレーター」「レジ係」「塗装工、壁紙張り職人」などが挙げられています。
これらの職種には一見、共通点がなさそうに思えますが、じつは“マニュアル化できる作業”という点では同じといえるのです。たとえば、「レジ係」と「塗装工、壁紙張り職人」では、専門スキルの有無という違いがありますが、作業手順をマニュアル化できれば、むしろ機械のほうが一定水準のレベルで効率よく作業をこなしてくれます。
また、データや数字を解析する力も、人工知能のほうが秀でています。
それゆえ情報を分析してサービスなどを提案するような仕事も淘汰されていく可能性があるでしょう。実際、アメリカの大手ゴールドマンサックスでは、600人いたトレーダーを2人に減らし、あとはすべて人工知能に置き換えたということが現実で起きています。
その一方で、人間の感情に訴えかけるような仕事は、まだまだ人間のほうに分があるでしょう。映画監督、作曲家、編集者、デザイナーなどの、いわゆる右脳を駆使する職業です。これはなかなかマニュアル化できませんし、受け手の心情によって対応はこまかく分かれるでしょうから、十分なサービスを提供するには、まだまだ時間を要するでしょう。。
クリエイティブ力が求められる仕事は、いますぐになくなる可能性は低いでしょう。
しかし油断は禁物です。なぜなら、一部のクリエイティブ職では、すでに人工知能の侵食が進んでいるからです。たとえば、AP通信では2014年から「Wordsmith」という人工知能を導入して企業業績の記事作成を行い、記事数を平均300記事から4300記事にまで増やしたといいます。
また、テンポや曲の長さなどを選ぶだけで自動作曲できる「Jukedeck」というwebサービスが登場したことで、もはや簡単な作曲であれば、素人でも作曲できることが可能になりました。
もちろん、プロのレベルと比べれば、まだまだ見劣りするかもしれません。ただ、自分たちの知らないところで少しずつ仕事が取って代わられているという事実は意識しておかなければならないといえるのかもしれません。