平成29年 某日 江戸三十三観音めぐり…第3日目。

 

※肌寒さはあるものの、とても天気のいい日。

 

3日目にして(この趣味、なかったことにしようか…)と面倒くさくなる。なにせ寺院の多くは午前中から16時くらいまでの運営で、夜型の私には億劫。しかし一方で、途中でやめたらバチが当たるとの恐怖心もあり、結局、出かけることにした。

 

※本日は札所3、4、5を地図4、5、6の順にめぐりました。

 

4番目…『大観音寺』(第三札所)

東京メトロ日比谷線、都営地下鉄浅草線の人形町駅に降り立ったのは13時ごろ。地上に出ると近代的なビル群。この三十三観音巡りをするようになって気付くのは、都会の中に意外と寺があるということ。お寺のイメージといえば、のどかで厳かで森林のしじまにあるように思っていた。が、この大観音寺も件の通り、ビルとビルの間の路地をちょっと入ったところにあった。

 

 

階段を上ると、こじんまりとした境内があらわれる。参拝を済ませ、御朱印を書いてもらい境内を出た。

 

昼食を食べていないことに気付き、階段を降りた脇の小道を抜けてみる。そこは都会のガチャガチャした雰囲気とは違い、落ち着いた空気が流れる路地。老舗っぽい蕎麦屋、古風な路地に溶け込んだ喫茶店、ランチも頂ける上品な居酒屋…など、一本筋を入っただけで景色が変わる。そんな寺の周囲然とした街を楽しみながらお店を物色、そして一軒のお店に入る。

 

ケンタッキーフライドチキンである。

 

(だいたい街に根付いた店なんて敷居高いし、常連が呪詛の言葉のような注文をしたりして一見さんは置いてけぼり。味の保証だってない。だったら世界が認めるケンタ、馴染みのケンタが大正義。大観音寺の向かいにあるし…ふん。)

 

5番目…『回向院』(第四札所)

さて、小腹を満たしたころで人形町駅から浅草線に乗り、浅草橋駅で中央総武線に乗り換えJR両国駅へ。この街はご存知、相撲の聖地。

 

 

どうやって他と差別化しているのだろうと不安になるほどちゃんこやが並び、次の目的地『回向院』までの道すがら偉大な横綱たちのオブジェが点在している。

 

横綱達に気を取られながら駅から歩くこと10分弱、回向院にたどり着く。

 

 

ちょっと近代的にも見える寺。本堂が分からず寺務所で聞くと何のことはない、この建物内にあると言われ、案内された通りに進むとお堂のような場所にご本尊が安置されていた。手を合わせ参拝し御朱印を書いてもらう間に境内を見て回る。

 

 

ここは動物供養もしており、犬や猫はもちろんオットセイの供養塔まである。なんと!中には義賊の伝承で知られる鼠小僧の墓まで…

 

 

で、こちらが頂いた御朱印。「時間的にあと2つはいけるな…」と思いつつ次へ急いだ。

 

6番目…『大安楽寺』(第五札所)

JR両国駅総武線に乗り、秋葉原駅でメトロ日比谷線に乗り換える。約20分で小伝馬町駅に到着。駅を出てすぐとあり、大きな道を挟んで大安楽寺はあった。うっかりすると見逃してしまうほど境内はコンパクト。しかし都会の中に、独特の霊験厳かな雰囲気を醸し出している。

 

 

参拝し、寺務所の呼び鈴を押すと、お年を召した優しそうなご住職が現れ御朱印をお願いする。待っている間にこれからの予定を思案する。(急げばもうひとつお寺に行けるな)(4つも参拝したら徳も上がるな)(そうだ!秋葉原駅を通るなら大人のデパートへ行こう)などと考えていると、ご住職がやってきて御朱印帳を渡してくれた。

 

 

お礼を言い帰ろうとしたときご住職から思いもかけない言葉をいただく。「観音巡りは、そんなに急いでやらなくてもいいんだよ。じっくり何か月、何年かけてやる人もいる。気を付けてね」

 

み、見透かされている…。

 

きっと、あとひとつお寺に行こうとしていることや、朝、面倒だなって思ったこと。街に根付いたご飯を食べずファーストフードを食ったこと。もちろん大人のデパートに行こうとしていることさえも…。

 

自分の浅はかさに恥ずかしくなり、頭を下げ境内を出た。結局、ご住職の言う通りゆっくりやることにし今日は終了。帰路についた。焦ったってお目当ての淫猥DVDが手に入るわけじゃない…。

 

ロマンはまたいつか…。

 

その四につづく・・・

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 不信心だけれども江戸三十三観音めぐる。男の御朱印集めの旅 ~その三~